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「今までのFWと違う」「いてほしくないタイプ」青森山田も驚き隠せず…絶賛された尚志FW染野唯月

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ハットトリックを達成した尚志(福島)FW染野唯月(写真協力・高校サッカー年鑑)

1.12 選手権準決勝 尚志高 3-3(PK2-4)青森山田高 埼玉]

 対戦した者だから分かるものがある。青森山田高(青森)の選手、そして指揮官は認めた。尚志(福島)FW染野唯月(2年)の能力の高さを――。

 染野はまさに圧巻のプレーを披露した。前半26分にセットプレーから1点目を奪うと、後半23分には青森山田3選手をワンフェイクで手玉に取って2点目。さらに同30分にはスルーパスから冷静に流し込んでハットトリックを達成した。得点だけではない。空中戦での強さを発揮し、抜群のスピードで裏へ抜け出すなど、攻撃の核として存在感を放ち続けた。

 対峙したのは福岡内定が発表されているDF三國ケネディエブス(3年)だったが、染野の対応に苦戦した。「今までやってきたFWとはちょっと違う」と表現した三國は、「ヘディングも強いし、技術もある。背後に抜け出すタイミングや足元で受けるタイミングが一味違うと感じた」と多くの引き出しを持つストライカーの能力の高さを実感。特にゴール前でのワンフェイトで仲間3人が置き去りにされた場面では、「絶対に打つであろうところで切り返した。飯田(雅浩)も決められた直後に『これはしょうがない』と言っていたので、皆が認めるほどのうまい選手だった」と脱帽するしかなかった。

 ゴールを守ったキャプテンのGK飯田雅浩(3年)も、「同じ選手に2点を取られたら相当警戒するけど決められた。高校生になってから初めてのハットトリック。何でもできるオールラウンダーなプレーヤーだった」と驚きを隠せない。「2年生とは思えないくらい伸び伸びとプレーしていた。プレミアでも戦ってきたけど、一番相手にいてほしくないタイプのFW。競り合いでケネディはほぼ勝ってくれるけど、染野くんはヘディングも強く、五分五分だったり、ケネディが劣勢になる場面もあった。そういう場面はプレミアではあまり見ない」。

 そして、青森山田を率いる黒田剛監督も「彼はヘディングが強いし、背後を取るのもうまく、足元も長けている。背後を警戒してラインを下げ過ぎたとこを確実に足元で受けて仕掛けられたり、きちっとサイドにボールを配球できたり、最後は冷静にゴールも決められた。やっぱりうまかった」と賛辞を惜しまなかった。

 J内定者も、キャプテンも、指揮官も認める怪物ぶり。しかし、染野はまだ2年生だ。伸びしろが十分だからこそ、飯田は「染野くんは来年もある。本当に来年の青森山田からしても脅威になる選手だと思う」と話す。将来性豊かなストライカーは、来年度も全国で猛威を振るうことになりそうだ。

(取材・文 折戸岳彦)

●【特設】高校選手権2018

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