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「一番、優大が上手い」。青森山田5人目のPKキッカーは1年生

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PK戦5人目、青森山田高DF藤原優大が右足シュート決めて決着。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[1.12 選手権準決勝 尚志高 3-3(PK2-4)青森山田高 埼玉]

「藤原か――」。PK戦5人目、3-2とリードした青森山田高のキッカーとしてDF藤原優大(1年)がスポットへ向かうと、記者席からは驚きの声が上がっていた。

 決めれば決勝進出という大きな重圧。ただし、ベンチ、チームメートは彼に絶対の信頼を寄せていた。黒田剛監督は「最後、1年生の藤原優大は練習の時から非常に冷静で、ほとんどのPK全部決めていましたから」と5人目での起用について説明。また、4人目のキッカーを務めた左SB豊島基矢(3年)も「一番、優大が上手いので、PKは。1年ですけれども、監督も信頼してPKキッカーに置いている」と藤原のPKの上手さを認めていた。

 18,924人の観衆のざわめきに動揺した瞬間もあったという。だが、大きく深呼吸してから細かいステップの助走を始めた藤原は、左隅を狙って右足シュートを蹴り込む。GKに反応されたが、黒田監督から教わっている通りにコースへの強いシュート。次の瞬間、ボールはゴールネットに突き刺さり、藤原はスタンドへ向けてダッシュしていた。

 藤原は「練習からずっと5人目で蹴らせてもらっていて、はっきり言って自分のPKには相当自信があって、1年目とか関係なくてずっと練習でも決めていたし、(GKの)逆を取るのが得意でした。蹴った瞬間、自分のコースにGKが飛んできたので焦りましたけれども(微笑)。(5人目のキッカーとして)心の準備はできていたし、PKが回ってくるんじゃないかというのは想定していた。気持ちの面でも結構準備ができていた」。気持ちの部分の準備ができていたこと、そして絶対に決める自信があったことを強調していた。

 U-15日本代表歴を持つ注目MFは本来、ボランチが主戦場。だが、この日は1点を追う後半35分にCB三國ケネディエブス(3年)を前線に上げるため、CBとして投入された。ただし、この起用法はプレミアリーグEASTの首位攻防戦でも経験済み。対応力の高さも特長とする藤原は問題なく守り、味方の同点ゴールとPK戦勝利に貢献した。

 大舞台で大きな経験をし、次は決勝戦。「一昨年(の優勝時)はスタンドから観戦した。それを目標にやってきたけど、自分がこんなに早くピッチに立てるとは思っていなかった。こんな舞台で名前を覚えてもらって、先輩たちのおかげ。PKを蹴る時もいろんな先輩が声をかけてくれて、今大会は本当に先輩に助けてもらっています。感謝の気持ちでやっています」という1年生が、先輩たちとともにあと1勝を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)

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