beacon

仲間が導いてくれた埼スタ…“12cm差”も奮闘した尚志DF黒澤誓哉はサッカー人生終幕

このエントリーをはてなブックマークに追加

埼スタにたどり着いた尚志高DF黒澤誓哉(3年)(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[1.12 選手権準決勝 尚志高 3-3(PK2-4)青森山田高 埼玉]

 仲間が導いてくれた舞台だった。今大会で1回戦から3回戦までセンターバックを務めた尚志高(福島)DF黒澤誓哉(3年)は累積警告のため、準々決勝は出場停止となった。

「悔しい思いをしたけど、みんなが自分のために、チームのために、応援してくれている人たちのために勝利すると言ってくれた」。DFフォファナ・マリック(3年)とともに、ボランチの主将MF大川健(3年)がセンターバックを務め、「誓哉のために埼スタへ」と帝京長岡高(新潟)の猛攻を最後まで跳ね返した。

 たどり着いた埼玉スタジアムのピッチ。180cmの黒澤は空中戦で強さを見せ、地上戦でも粘り強く体を張ったが、後半9分に自らのファウルでPKを献上し、同点弾を許した。セットプレーでは192cmのCB三國ケネディエブス(3年)をマーク。超高校級CBへの対応は「勝てなくても体を当てて、相手のバランスを崩すことを意識した」と奮闘したが、後半18分にCKから三國にゴールを献上。FW染野唯月(2年)のハットトリックで一時は逆転に成功したものの、シーソーゲームの末に突入したPK戦に敗れ、県勢初の決勝進出はかなわなかった。

 昨夏に左足を負傷。完治しても先発に戻れず、「不貞腐れた時期もあった」という黒澤。大会前には守備陣の要だったCB馬目裕也(3年)が負傷離脱。「全国の舞台で馬目とやりたい」と盟友を決勝に導きたかったが、わずかに届かなかった。

 引退が1試合早まっただけではなく、黒澤のサッカー人生はこれで“終幕”。「大学ではサッカーを続けず、教員の勉強をします」と新たな目標に向かう。自身のラストゲームとなった埼スタの東北勢対決は、人々の記憶にも残る激戦だった。

(取材・文 佐藤亜希子)

●【特設】高校選手権2018

TOP