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ベテランの励まし、叱咤に感謝する森保監督「若手に響くと思う」

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報道陣の質問に答える森保一監督

 FWの得点を素直に喜んだ。先発10人を入れ替えて臨んだ17日のウズベキスタン戦(○2-1)では失点直後にFW武藤嘉紀が同点ゴール。武藤にとって15年10月13日の国際親善試合イラン戦(△1-1)以来、約3年3か月ぶりとなる待望の一撃だったが、森保ジャパンとしてもFW大迫勇也以外のFW登録選手による初めてのゴールだった。

「FWの選手は点を取ることで自信が高まっているところがある。本人にとってもチームにとっても、今後に向けて自信になる得点だった」。ウズベキスタン戦から一夜明け、報道陣の取材に応じた森保一監督はそう言って目を細めた。

 森保ジャパン初陣となった昨年9月11日のコスタリカ戦(○3-0)以降、ウズベキスタン戦までの8試合で計21ゴールが生まれているが、得点者の内訳は大迫とMF南野拓実がそれぞれ4得点でトップスコアラー。MF伊東純也、MF堂安律、MF原口元気が2点ずつで、MF中島翔哉、DF酒井宏樹、DF山中亮輔、DF塩谷司、そして武藤が各1点となっている(それ以外にオウンゴールが2つ)。

 これまで森保ジャパンの1トップには途中出場も含めてFW小林悠、FW浅野拓磨、FW川又堅碁、FW杉本健勇、FW北川航也が起用されてきたが、いずれもゴールという結果を残せず。ウズベキスタン戦は武藤と北川の2トップに近い形だったが、いずれにしても大迫以外でFWの選手が得点を決めたのは武藤が初めてだった。

 グループリーグ初戦のトルクメニスタン戦(○3-2)で2ゴールを決めた大迫はその試合で右臀部痛を再発させ、13日のオマーン戦(○1-0)、そしてウズベキスタン戦と欠場している。オマーン戦では大迫に代わって北川が1トップで先発したが、なかなかボールに絡めず、シュートを打てないまま途中交代。DF長友佑都が「彼とも話したい。若手が生き生きプレーできていないのはベテランである僕らの責任」とかばえば、大迫は「もっと先輩に怒ったって良い。文句を言ったって良いから、もっと自分を出してほしい」と若手に要求した。

 そんな中でウズベキスタン戦に再び先発した北川は持ち味を発揮して決定的なシュートを2本放つなど、積極的なプレーを見せた。得点にはつながらなかったが、「パフォーマンスが良くなっているという実感がある」と表情をほころばせた。

 森保監督は「人それぞれキャラクターも違う。ただ、それぞれが胸に期するものを持っている。その選手がどういう形で自分の力を発揮するのかは個々で違うと思って見ている」と、選手それぞれの個性を尊重したうえで、「ガムシャラさというのは、ピッチ内で一緒にやっている選手が皮膚感、フィーリングで分かるもの。キャリアを重ねた選手が言うことは若手に響くと思う」と、若手を時に励まし、時に叱咤するベテラン選手の言動に感謝した。

 21日の決勝トーナメント1回戦・サウジアラビア戦に大迫が間に合うかは不透明。指揮官は「大迫はチームにとって大きな存在。彼の特徴をこのチームに生かせるものは多くある」と認めたうえで、「大迫がいなくなったとき、チームがダメになるのではなく、大迫に限らず、だれかがいなくなったときには必ず力のある選手が次に出てくると思っている」と期待する。

 大迫がサウジアラビア戦も欠場するとなれば、代役はやはり武藤か北川となる。森保監督は「特徴の違う選手が入ってくることを考えれば、コンセプトの基本の部分は変わらないが、選手個々の特徴に合わせて、少しずつマイナーチェンジして合わせていくこともやっていければ」と話した。

(取材・文 西山紘平)

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