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割り切って守備の防波堤に…遠藤航「絶対にボールを持って戦うみたいなプライドはない」

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守備で存在感を見せたMF遠藤航

[1.21 アジア杯決勝T1回戦 日本1-0サウジアラビア シャルジャ]

 中盤の底でピンチの芽を摘んだ。日本代表MF遠藤航(シントトロイデン)は「相手がボールを持てるという分析はしていた。立ち上がりから回されるシーンは多かったけど、我慢強く守ってセットプレーから点を取ることができて、後ろが最後まで(失点)ゼロで守れたのは評価していい」と胸を張った。

 後半7分には自陣でのボールロストからカウンターを招いた場面で遠藤がボールを奪取し、ピンチを未然に防いだ。「意識していたのは出過ぎないこと。まず僕がフィルターになって裏を通させない。2列目から当てて出ていくとか、コンビネーションが相手の良さだったので、そこの受け渡しも良かった」と守備の防波堤になった。

 一方で「落ち着かせるか、カウンターをやり切るか、ハッキリしたかった。ボールを失う位置が低くてクリアが多くなって、つなげなかった」と、攻撃の起点になり切れなかったことを悔やんだ。「もっと攻撃に絡んでいくのが最近の自分がイメージしていること」。攻守両面で理想は高いだけに、決して現状のパフォーマンスには満足していない。

 とはいえ、「こういう大会で勝つことを考えたら、今日みたいなプレーも必要」ということは自覚している。この日はサウジアラビアにボール支配率76.3%を許したが、「アジアのレベルは上がっているし、そこは僕らも理解している。絶対に日本が勝てるというアジアの戦いではなくなってきている意識がある」と冷静に受け止める。

 年代別代表から何度となくアジアの戦いを経験してきた25歳は「相手をリスペクトしながら、割り切って自分たちの戦い方を変えられるというか、絶対に自分たちがボールを持って戦わないといけないみたいなプライドは今は別にない。勝つために相手にボールを持たせることも戦術だし、持たせてカウンターがハマるならその戦術を取るべき」と言い切る。「理想を追い求めるところと、現実を見ていくところがある意味、割り切れているのかなと思う」。その臨機応変さは日本代表全体の血肉となっている。

(取材・文 西山紘平)

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