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「言われるのは慣れている」バッシングを受け止める北川、その心中にあるのは…

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ゴールへの渇望を高める日本代表FW北川航也(清水)

 代表戦士たるもの、バッシングに負けるわけにはいかない。アジアカップで全試合に出場しながらノーゴールの日本代表FW北川航也(清水)は「結果が出ていないので、言われるのは当たり前」と批判を受け止めつつ、「言われるのは慣れている。自分が結果を出すことで見返すしかない」と力強く語った。

 エースFW大迫勇也の負傷もあり、ここまで3試合の先発を含む全5試合に出場。しかし、ピッチに立ってもなかなかボールに絡めず、持ち味を発揮できていないのが現状だ。「このままで良いと思っているわけがない」ともがきながらも、「応援してくれる人たちのために結果を残して、日本の勝利に貢献したい」と練習に励んでいる。

 所属先の清水では2トップでの起用が多いため、本職ではない1トップを務めることの難しさを語るファン・サポーターの声も届いている模様。しかし、そこに活路がないことは分かっている。

「試合に出る以上それは関係ない。このさき自分がもっと上に行くため、代表で結果を残していくためには(適応が)必要だし、幅を広げるためにも必要。何よりこのポジションで試合に出ている以上は言い訳はできない。逆にそれは自分のためにならない。いろんなところから学んでやっていければ」。

 合宿開始当初はゴール以外の役割に言及する機会が多かったが、この大会を通じて徐々に退路を断っている様子。そして、得点への渇望はこれまで以上に高まっている。

 そもそも昨年10月、北川が初めて日本代表に追加招集されたきっかけは、直近のリーグ戦での3試合4得点という活躍を評価されてのこと。森保一監督は選出理由を「結果が出ているということ」とシンプルに説明していた。A代表初ゴールは遠い道のりとなったが、目指す方向はそれで間違いない。

 なお代表招集につながる大活躍の直前には9試合無得点というスランプも経験し、苦しみの先にあるものはよく知っている。当時背中を押したのはFW岡崎慎司の「シュートを打ち続けろ。ドリブルし続けろ。プレスをかけ続けろ。クロスに入り続けろ」というアドバイス。同じ清水で育った大先輩の助言はいまも心のなかにある。

「これが日本を背負って戦っている証拠。日本を背負って戦っているんだなと感じる」。そうプレッシャーを受け止める22歳は「自分を信じてやることがすべて。継続してやるべきことをやり続けるだけ」ときっぱり。今の自分と同い年で初ゴールを挙げた先輩の金言を胸に、まだ見ぬ歓喜を迎えるべく闘志を燃やす。

(取材・文 竹内達也)

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