beacon

[新人戦]魅せて勝つ飯塚、5-0で福岡8強入り

このエントリーをはてなブックマークに追加

先制点を喜ぶ飯塚高の選手たち

[1.26 福岡県高校サッカー新人大会3回戦 福岡舞鶴高 0-5飯塚高 東海大福岡高G]

 平成30年度福岡県高校サッカー新人大会の3回戦が26日に行われ、福岡舞鶴高と飯塚高が対戦。MF原田泰知(2年)の先制点を皮切りに5点を奪った飯塚が大勝した。

 2015年に中辻喜敬監督が就任して以来、メキメキと力をつけ注目を集めるのが飯塚だ。2017年度は選手権予選で4強入り。昨年は惜しくも2回戦で涙を飲んだが、県大会を6年連続で制した東福岡高をPK戦まで追い詰めた。昨年のエースMF橋岡佳のようなスーパーな選手はいないが、九州では異色と言えるテクニカルなスタイルは今年も健在で、この日も随所で持ち味を発揮し、スタンドを沸かせた。

 だが、序盤は試合開始と共に降り始めた雪に苦戦し、理想通りにゲームを運べなかった。事前のスカウティングで相手が苦手とする背後へのボールを狙っていたが、「ピッチがスリッピーだったので思うようにボールを蹴れなかった」(DF轟凌磨、2年)。エースFW村越凱光(2年)やMF黒木翔海也(1年)の単独突破が目立ち、決定機まで持ち込めない場面が続いた。前半15分には雷が鳴ったため、試合が中断するアクシデントもあったが、再開後は福岡舞鶴を押し込む回数が増加。前半23分にはMF吉岡陸(2年)の左CKをMF原田泰知(2年)が頭で合わせて、飯塚が均衡を崩した。

 以降は、「1点獲って、余裕が出てきた」(村越)ことによって、狭いエリアをコンビネーションで抜け出すなど飯塚らしい崩しが増えた。守備も「カバーリングをいつも以上に意識していた」轟凌を中心に隙を見せず、与えたピンチは34分にDF佐藤涼(2年)のパスからFW赤野友弥(2年)にシュートを打たれたのみで前半を終えた。

 1点リードで迎えた後半は「相手を見て、論理的にサッカーができるようになった」(中辻監督)ことで、相手を圧倒する。まずは後半10分にFW河野奎吾(1年)が右サイドをドリブルで突破。ゴール前に低いクロスが入ると、「奎吾は縦に行くと分かっていたので、中に走れば絶対にクロスが来ると思った」と振り返る村越がダイレクトで合わせて加点した。25分には、MF野見山楽斗(1年)が遠目から左足シュート3点差までリードを広げると、以降も2点を追加し、5-0でタイムアップ。試合後、村越は「もうちょっと繋ぎたかったけど、2回戦にしてはやりたいサッカーができた」と満足した表情を見せた。

 観る人を魅了するサッカーで、着実にその名を広めている飯塚が、狙うのは初の選手権出場だ。知名度の向上により年々、入学してくる選手の質も高まっており、中辻監督は今年の選手をこう評する。「昨年よりも頭の中が成熟している。どういうサッカーをすれば良いか絵が見えているので、サッカーの仕組みが話せる」。鍵となるのは、更なる頭の成長だ。タレント面では東福岡らに真っ向勝負で挑んでも勝てないため、いかに相手の弱点を見つけて嫌がる攻撃をできるかが大事になる。そのためにはより賢く強かにプレーできなければならず、中辻監督は「個の力ではなく、インテリジェンスを上げていきたい」と口にする。

 積み上げてきた物に自信はあるだけに、今年は善戦だけでは気が済まない。村越が「昨年は東福岡に押されながらPKまで持ち込んだけど、今年は単に勝つだけでなく、自分たち圧倒して勝ちたい。自分たちがやりたいサッカーをやって勝つのが目標。冬の選手権までに理想とするサッカーを作っていきたい」と話すように、魅せて勝って、チームの新たな歴史を作るつもりだ。

(取材・文 森田将義)

TOP