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将来のファースト、セカンドチャンスに貪欲。プレミアリーグ選抜が8-1でイングランド遠征初戦快勝!

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プレミアリーグ選抜はイングランド遠征初戦を8-1で快勝

[1.31 練習試合 プレミアリーグ選抜 8-1 プロ:ダイレクトアカデミー セント・ジョージズ・パーク]

 イングランド遠征中の「NIKE NEXT HEROプロジェクト」プレミアリーグ選抜が31日午後、セント・ジョージズ・パークで地元のプロ:ダイレクトアカデミーと練習試合を行い、8-1で大勝した。

 プレミアリーグ選抜のメンバーは、高円宮杯JFA U-18サッカープレミアリーグ2018で活躍した選手や2年生の推薦選手が中心。当初発表されたメンバーからU-18日本代表スペイン遠征メンバーに選出された5選手が不参加となり、Jクラブに加入した選手も招集されていない。今回の20名は現時点でプロになれなかった、または代表に食い込むことができなかったという悔しさを持つ選手たちだ。

 3年生はプロになる“ファーストチャンス”を逃して迎えた今回の遠征。それでも、チームの指揮を執る岩成智和監督(広島ユース)は、「最初の日のミーティングで話をしたんですけれども、『セカンドチャンスは(大学)1年生からあるよ』と。『大学1年からレギュラーで出る。なおさら代表などに食い込めばセカンドチャンス掴めるからね』、と。また、2年生にとっては『これがファーストチャンスなので、いい評価を掴めばいい』」と選手たちに語っていたのだという。彼ら全員がなりたいのは、プロ。そのためのファーストチャンス、セカンドチャンスをものにしようと意識高く一日一日に取り組んできた選手たちが、マンチェスター・ユナイテッドのスカウトも訪れた一戦で期待値に近いパフォーマンスを見せた。

 プレミアリーグ選抜は4-4-2システム。先発のGKは佐藤海斗(広島ユース3年)でDFラインは右SB大越寛人(広島ユース3年)、CB河井哲太(G大阪ユース3年)、CB鈴直樹(広島ユース3年)、左SB玉城大志(浦和ユース2年)。中盤は八木滉史(流通経済大柏高2年)と田邉光平(名古屋U-18 2年)のダブルボランチで右MF山田楓喜(京都U-18 2年)、左MF鈴木唯人(市立船橋高2年)、2トップは森海渡(柏U-18 3年)と主将の桂陸人(広島ユース3年)がコンビを組んだ。対戦したプロ:ダイレクトアカデミーはナイキがサポートしているクラブ。この日はGKに負傷が出ているということから、前半はプレミア選抜のGK多久美景紀(神戸U-18 2年)、後半はGK佐藤がそのゴールを守った。

 自分たちの強み、“日本らしさ”を出したプレミアリーグ選抜が快勝した。前半5分、DFラインからの縦パスを山田が右サイドの高い位置で受ける。DFを背にしてのキープから体勢を立て直した山田は、PAの森とのパス交換から左足シュート。このこぼれ球を桂が押し込んで先制した。さらに1分後には、桂の左CKから河井が豪快に頭でニアを破って2-0。11分にも中盤で前を向いた森がコンビネーションから右足シュートを左隅に沈めて3点差とする。

 プレミアリーグ選抜は狙い通りに縦パスからのスピードアップ、またオープンスペースへの攻撃で勝負し、連続ゴール。ただし、プロ:ダイレクトアカデミーも一発のあるところを示す。18分、縦パスへの対応が遅れたプレミアリーグ選抜はSBとCBとの間を突破され、そのままゴールを奪われてしまう。接点でさすがの強さ、スピードを発揮する相手に苦戦した部分があったことは確か。それでも、この後のプレミアリーグ選抜は八木や桂中心にハードワークを続け、球際に2人、3人と人数をかけてボールをもぎ取っていく。また、玉城や大越が中盤の選手と連係してサイドに蓋をし、河井がスライディングタックルでのインターセプトを見せるなど相手に攻め切ることを許さなかった。

 そして、攻撃面では河井がハイサイドへの正確なサイドチェンジでスタンドから拍手を浴び、落ち着き光る鈴や田邉が正確なパスを前、左右につけて攻撃のリズムを作り出す。八木と山田が連係で上手く中盤のスペースを取るなど前進し、鈴木や桂が持ち味の仕掛け。そして、桂の突破から森が決定的なヘッドを放ち、田邉の右足ミドルがゴールを捉えるシーンもあった。これはGK多久美のファインセーブに阻まれたものの、38分、八木の縦パスを起点に右の大越がDF間を抜け出す形で突破。そして上げた技ありクロスを森が頭で決めて4-1とした。

 後半、プレミアリーグ選抜は9人をチェンジ。GK佐藤と前半プロ:ダイレクトアカデミーでプレーしたGK多久美を入れ替え、右SB大越、CB平松航(磐田U-18 3年)、CB鈴、左SB吉木大喜(G大阪ユース3年)、MF高木一史(JFAアカデミー福島U-18 2年)とMF桃李理永(C大阪U-18 2年)のダブルボランチ、右MF石田凌太郎(名古屋U-18 2年)、左MF前田泰良(鹿島ユース 3年)、そして小林里駆(FC東京U-18 2年)と齊藤聖七(清水ユース3年)の2トップにスイッチした。

 後半開始20秒、中央でボールを拾った小林が右に流れながら右足シュートを叩き込んで5点目。1分後にはPAの前田が体勢を崩しながらも左足シュートをゴールにねじ込む。その後も齊藤のループパスで小林が抜け出してGKと1対1になり、また左サイドを個でこじ開けた吉木のパスから齊藤が決定的なシュートを打ち込む。

 プロ:ダイレクトアカデミーのGKに入った佐藤の好守に阻まれていたものの、17分には齊藤のダイビングヘッドがポストを叩いてゴールライン上へ。これを桃李が難なく決めて7-1とする。直後には大越と鈴に代えて右SB八木、CB玉城をピッチへ。23分には右サイドから仕掛けた石田がPKを獲得し、これを自ら右足で決めた。プレミアリーグ選抜は前半同様、齊藤や前田が相手をしつこく追い回し、平松を中心とした最終ラインはピンチらしいピンチのないまま試合を進める。

 そして、桃李や高木の配球から石田らアタッカー陣が積極的な仕掛け。34分には鹿島ユースのエースMF前田を3バックの中央に配置する3-6-1へチェンジし、八木と玉城に代えて左WB鈴木とMF山田を投入した。プロ:ダイレクトアカデミーは、点差が開いても球際での強度は変わらず。岩成監督は「抜いたと思ったら足が出てくるとか、ああいうところは日本では絶対に味わえないかなと思う。こうやって海外特有の強さ、速さ、高さ、足の長さ、これは大丈夫だろうというところで足を届かれるとか、日本で経験できないところから学んで欲しい」と期待した。

 試合は8-1と大勝したが、クオリティの部分など選手たちはまだまだ改善する必要性を感じたようだ。2月1日はよりレベルの高い対戦相手となるEDVS Academyとの最終戦。ファーストチャンス、セカンドチャンスを求める選手たちはアピールすると同時に、海外でしか体感できない相手との戦いで、世界で勝つための現在の強みや課題を学んで帰国する。

(取材・文 吉田太郎)
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