beacon

悔恨のキャプテン…麻也「チームの油断や隙を律することができず不甲斐ない」

このエントリーをはてなブックマークに追加

うなだれるDF吉田麻也

[2.1 アジア杯決勝 日本1-3カタール アブダビ]

 キャプテンとして悔恨の念にかられていた。日本代表DF吉田麻也(サウサンプトン)は「(準決勝の)イラン戦でいいパフォーマンスを出して、この試合に臨んで、この流れで行けるだろうという油断、隙をチームの中で感じていたのに律することができなくて、勝利につなげられなかった。不甲斐なさを感じる」とうなだれた。

 今大会は準決勝まですべて1点差勝利で、僅差の試合に競り勝ってきた。ところが、FIFAランキングでアジア最上位のイランと対戦した準決勝は3-0の完勝。事実上の決勝戦とも言われた大一番で今大会最高のパフォーマンスを見せたことが、チームの慢心につながったのではないか。吉田は率直にそう感じていた。

「行けるだろうという感じがあって、もちろん、それがいいときもある。それも大事だけど、決勝は疲労もあるけど、精神面が大事で、肉体的より精神的な準備をしないといけない。チームを律することができなかったと自分自身感じる」

 精神的な準備不足とともに戦術的な準備不足も響いた。3バックと4バックを併用して大会を勝ち上がってきたカタールに対し、4バックで来ることも想定していた中で、蓋を開けてみれば相手は3バック。前線からのプレスがハマらず、自由に動いて起点になるFWアクラム・アフィフをつかみ切れずに前半12分、27分と失点を重ねた。

「プレスのかけ方がハマらなかったのと、ボランチの脇で11番(アフィフ)がフリーになって、そこをだれがつかむのかがハッキリしなかった。1点目、2点目はそこを起点に失点している。臨機応変さが足りなかった」

 前半12分の1失点目は吉田を背にしながら浮き球をリフティングしたFWアルモエズ・アリが豪快なオーバーヘッドキックをねじ込み、同27分の2失点目は吉田の寄せが甘くなったところをMFアブデルアジズ・ハティムにミドルシュートを叩き込まれた。1点を返したあとの後半38分にはビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の助言で吉田がハンドを取られ、PKで3失点目。「3失点すべて自分のところでやられている」と唇を噛むと、「自分自身、未熟だなと毎試合感じたし、特にこの試合のあとは感じる」と自らを責めた。

 キャプテンとして臨んだ初の公式大会。「新しい役割を任されて挑む大会でチームを優勝に導けなかった。自分の未熟さを悔いている」。敗戦の責任を背負うキャプテンは「ここでチームとしてダメになるのか、這い上がって強くなるのかは自分たち次第」と、自らにも言い聞かせるように言葉をつないだ。

(取材・文 西山紘平)

●アジアカップ2019特設ページ

TOP