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プレミアリーグ選抜の練習試合は寒波の影響で中止も、100%の力で“熱量ある紅白戦”

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試合が中止になるアクシデントも、プレミアリーグ選抜は熱量のある紅白戦

 試合以上に熱の入った紅白戦だった。イングランド遠征中の「NIKE NEXT HEROプロジェクト」プレミアリーグ選抜は現地時間1日午後、「イングランド代表の本拠地」セント・ジョージズ・パークで練習試合を行う予定だったが、数年ぶりと報じられる寒波と大雪の影響によって対戦相手のEDVS ACADEMYが移動することができず。試合はキャンセルとなり、代わりに10対10の紅白戦を実施した。

 当初の予定では、この日の午後がイングランド遠征最後のトレーニングで、その時間に設定されていた練習試合が遠征最終戦。前日のプロ:ダイレクトアカデミー戦は8-1で大勝していたこともあり、強い相手とされていたEDVS ACADEMYとの対戦を選手たちは楽しみにしていた。

 それが中止となり、選手たちはがっかり。2日午後に練習試合を組み込むことができないか関係者たちが奔走する中、岩成智和監督(広島ユース)は選手たちに「(試合を組むことができるか分からないが)オレが伝えられるのは100パーセントやるんだということだけ」と語り、普段の試合前日と同様のテンション、100パーセントで調整することを求めて練習をスタートした。

 今回の遠征でまとまりの良さを見せている選手たちは、岩成監督の言葉で切り替え、元気にトレーニング。最後にはハーフコートよりもやや広いスペースで30分強の10対10を実施した。指揮官が80、90パーセントではなく、100パーセントの力を求める中、選手たちは非常にテンションの高いゲームで表現し、その期待に応える。

 ビブス無し組とビブス組に分かれての紅白戦。ビブス無し組はGK多久美景紀(神戸U-18 2年)、DFラインは右から吉木大喜(G大阪ユース3年)、河井哲太(G大阪ユース3年)、鈴直樹(広島ユース3年)、玉城大志(浦和ユース2年)、中盤が桃李理永(C大阪U-18 2年)、鈴木唯人(市立船橋高2年)、前田泰良(鹿島ユース 3年)で前線に石田凌太郎(名古屋U-18 2年)と森海渡(柏U-18 3年)が入った。

 一方のビブス組はGK佐藤海斗(広島ユース3年)、DFラインは右から大越寛人(広島ユース3年)、高木一史(JFAアカデミー福島U-18 2年)、平松航(磐田U-18 3年)、八木滉史(流通経済大柏高2年)、中盤が小林里駆(FC東京U-18 2年)、山田楓喜(京都U-18 2年)、田邉光平(名古屋U-18 2年)、そして前線には齊藤聖七(清水ユース3年)、桂陸人(広島ユース3年)が入って行われた。

 試合の中でどんどん強度、切り替えのスピードが速くなっていった印象だ。12分、ボールをより支配して攻めていたビブス無し組の前田がループパス。これで抜け出した石田がGKをかわして先制ゴールを決める。ビブス組はその3分後に素早いパス交換から八木が左足シュートを逆サイドのゴールネットに叩き込んで同点に追いつく。さらにハイプレスでボールを奪って勝ち越しのチャンスを作り出した。

 前田が「昨日のゲームよりも途中からはいい雰囲気というか、いいテンションでできたと思いますし、ゲーム以上のものを普段できていればゲームでもそれ以上の力が出せたり、相手を圧倒できたりすると思うので、そこは普段の練習から120パーセントでやっていければいいと思います」と語っていたように、“試合以上”と言えるような熱のあるゲーム練習。コンパクトなフィールドで行われたこともあって、攻守が目まぐるしく入れ替わり、局面の多いゲームとなった。

 結果は22分に鈴木のラストパスから森が決めて勝ち越したビブス無し組が、決めれば試合終了のゴールを再び森が決めて勝利した。岩成監督は質の部分を上げる必要があることを指摘した上で、熱のあったトレーニングを評価。前田は「今日、いい相手とやれると聞いていたので練習になってみんな残念そうにしていた。でも明日、練習試合のある可能性がある。(それへ向けて)全員が高い意識を持ってできていた」と頷き、高木は「監督も言っていたんですけれども、真剣にやることの楽しさもある。高いレベルでやるのは楽しいし、いい練習だったと思います」と微笑んでいた。

 チェルシーやフルハムとのコネクションを持つというフリーランスのスカウトマンが前日の練習試合を見て、この日も午前中からセント・ジョージズ・パークに再訪。プレミアリーグ選抜全体の技術力の高さに関心を寄せ、特に桂、鈴、河井のプレーを評価していたという。「どこでチャンスがあるか分からない」と岩成監督やスタッフから聞かされていた選手たちは、欧州でのアピールに一つ成功。ロンドンの交通状況やグラウンド確保の問題などがあり、もう一試合を行うことができるかは微妙な状況だが、選手たちは常に100パーセントでプレーすることの大切さを再確認してイングランド遠征“最後のトレーニング”を終えた。

(取材・文 吉田太郎)
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