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“Abema化”進む町田、CA藤田社長は現場に理解「監督が浮かれることを許さない」

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開幕戦を勝利で飾ったFC町田ゼルビア

[2.24 J2第1節 町田1-0東京V 町田]

 FC町田ゼルビアは今季、IT大手のサイバーエージェント(CA)が本格的に経営を担い、J1昇格に向けた機運が一気に高まっている。24日に行われた開幕節・東京V戦に1-0で勝利し、成績面でも順調な滑り出しを達成。世間を盛り上げるフロント、目の前の一戦を闘う現場がそれぞれの役割をこなし、創設30年目での歓喜を呼び込む構えだ。

「やっぱりサポーターの方もこれから何か起こりそうと思ってくれている。J2からJ1に上がることもそうだし、町田が大きくなりそうだという期待感を感じた」。

 同社の藤田晋社長は開幕戦の終了後、報道陣の囲み取材に応じた。試合は昨季J2リーグ4位に躍進したアグレッシブな戦い方を継続し、都内のライバル東京Vに完封勝利。「球際の頑張りがすごいですよね。他からは面倒くさいチームとも言われているらしいですが(笑)」。勝利という結果だけでなく、独特のプレッシング戦法への満足感を述べた。

 試合前には鶴川駅から町田市立陸上競技場までの『男気コース!!』をサポーターと一緒に歩く名物企画に参加。冒頭のサポーターからの反応は藤田社長がイベント中に感じたものだ。変化の前触れを間近に感じた藤田社長は「やると勝てるということが今日あった」と振り返り、今後も「ゲン担ぎ的に」参加していく姿勢を見せた。

 新たな取り組みは着実に進んでいる。同社子会社のネットテレビ局『Abema TV』では今季、ホームゲーム全試合の生中継を敢行。資金面の援助だけでなく、クラブを広く周知させる役割を担う。さらに3月からはサポーター参加型番組『FC町田ゼルビアをつくろう~ゼルつく~』もスタートし、Jリーグ史上例のないPR作戦が動き出しそうだ。

「日本人選手全員がスタメンで出ていて、なかなか初めて見る人には分かりづらい。髪型も金髪とかアフロヘアーとかはいないので、特徴付けなどを番組を通じてアプローチしていきたい」(藤田社長)。気がつけばマニア化しやすいサッカー観戦文化において、重視しているのはライト層への訴求だ。

 その一方、ピッチで戦う現場からは適度な距離を置いている様子。開幕戦で決勝ゴールを決めたFW富樫敬真には「イケメンで若いし、スターになってほしい」と期待を寄せつつ、「まだ会ってはいない」とおおっぴらな対面はせず。チームの落ち着きにも「監督が浮かれることを許さない性格なので、引き締めながら、モチベーションは静かに上がっている感じがしている。素晴らしいと思う」と理解を示した。

 そのように一定の距離を取った雰囲気は選手たちからも感じられた。主将2年目のMF井上裕大は「目標J1昇格でスタートしているのでモチベーションは高い」としながらも、「相馬さんも毎回言っているけど、まずは一戦一戦」と強調。「先を見るんじゃなく、今は自分たちがやれること、この試合にかける強いメンタルを持とうと言い続けている」と地に足はついている。

「去年の戦い方で『自分たちができる』という自信がついて、絶対に勝てるという強い気持ちに繋がっているので、まずはそれを継続していくことが重要」(井上)。そう語ったチームリーダーは「まだ一試合しか終わっていないので」と過度な展望は避けた。変革を迎えるフロントとは対照的に、現場は一戦一戦を大切に戦いながら磨き上げてきたサッカーの質を着実に高めていく構えだ。

(取材・文 竹内達也)
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