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昨季2試合13失点の天敵相手に…“3連敗”仙台がしたかったこと、できなかったこと

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苦手横浜FMに3連敗となったベガルタ仙台

[3.2 J1第2節 横浜FM2-1仙台 日産ス]

 独特のポゼッション戦法をとる横浜F・マリノスにボールを回されることは織り込み済みだった。しかし、戦前のゲームプランに反して、求めた結果には繋がらなかった。試合後、ベガルタ仙台の監督・選手たちが一様に語ったのは、前半に喫した2失点の重みだった。

「0-1でうまくゲームを進められていれば、また違ったものを見せられたと思う」(渡邉晋監督)。

「前半の2失点は正直、いらなかったかなと思います。1点に抑えておけばもうちょっと何とかなると思っていたので、我慢できなかった部分が良くなかった」(MF兵藤慎剛)。

「失点が重かった。失点しなければ我慢して守って、相手が焦って、さらに人数かけてきたところを1点というのがあり得た」(GKシュミット・ダニエル)。

 横浜FMが新たなスタイルに着手した昨季、リーグ戦では2試合で4得点13失点と大きく苦手にしていた仙台。この日もやはり、一方的な守勢を強いられた。「しっかり対策したつもりだったが、前半は守備のズレをうまく突かれた」(兵藤)。ほとんどの時間を自陣1/3のエリアで過ごし、なかなか主導権を握れなかった。

 ただ、こうした戦況は想定内だった。試合後会見で「しっかりと守備から入って、そこから攻撃に転じていく」というプランを明かした渡邉監督。「ある程度相手を引き込んで、出ていくスペースを生み出す狙い」のうえで「ボールを奪った先にサイドチェンジで二回、逆にチャンスを作れた」という手応えも感じていたという。

 何より1失点は覚悟していた。それが前半27分のPKだった。しかし、最後まで響いたのはプレスをかわされての2失点目。「前線で3対1くらいで取りに行ったけどはがされて、それだけ枚数をかけたら最終的に4対5くらいになる。人数をかけた場合は取り切らないといけない」(シュミット)。プランとは異なる動きでブロックを破られたことが発端だった。

 全体を通しては「試合を通してGKと1対1になる場面はあまりなかったので、そういう意味では5バックの守りはクロス対応を別として良かった」とシュミットが振り返れば、渡邉監督も「非常にタフに3枚のボランチがスライドして粘り強く守備をしようとしてくれた」とブロック守備には一定の評価。だからこそ、悔やまれるのが2点目だった。

 実際、後半はFWジャーメイン良、MF梁勇基の投入を機に大きく持ち直し、敵陣へのフィードも次々に配給されるなど、互角以上の戦いぶりを演じた。「相手を深く押し込むシーンもできてトライしたことも出た」(兵藤)。終盤には「ほとんどやり慣れていない」(渡邉監督)という4-4-2で攻勢をかけ、覚悟していた分の1点は取り返した。

 細かい部分を見れば、守備では「もう少し1メートルでも2メートルでも押し上げたところでプレーしたかった」(渡邉監督)、攻撃では「奪った後のミスが多かったり、預ける場所がなかったりした」(同)という課題があったのも事実。だが、それらは全て準備していたゲームプランの中でのクオリティー。前線を担う新戦力の順応も含め、これから向上していく余地はある。

「(攻撃で)思いのほかヘッドダウンしてしまうこともあった。それが小さい局面なのか、あるいはチームの全体像として問題があるのか、映像をしっかり見ながら分析していきたい」(渡邉監督)。

「あらためて失点しちゃいけないというか、先制点を取られたらうちは厳しいので、僕がどんな形でも失点しないようにするしかない」(シュミット)。

「この反省をしっかり次に生かさないと意味がないと思うし、これを一つずつ克服できていければいいチームになると思う。下を向いていないで前向きにやっていきたい」(兵藤)。

 昨年7月の対戦は2-8の惨敗、それから2か月後は2-5、そして今回は1-2。ならば……。仙台にとって10年目になるJ1の戦いはまだ2試合が終わったばかり。数々の戦いを繰り広げながら、それぞれの持ち場でクオリティーを高め、9月のホームゲームで“4度目の正直”を演じる構えだ。

(取材・文 竹内達也)

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