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田坂マジック炸裂! 采配的中の指揮官「今週あえて準備をしていた」

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交代策が的中した田坂和昭監督

[3.16 J2第4節 東京V 2-3 栃木 味スタ]

 策士は準備も周到だった。栃木SC田坂和昭監督は1-2の後半27分にDF久富良輔とFW大島康樹を投入し、同時にシステムを3バックから4バックに変更。息を吹き返したチームは終盤に2ゴールを奪い、逆転で今季初勝利を飾った。指揮官いわく、システム変更は事前に用意していたものだったようだ。

 昨季J2で総得点がリーグワースト3位、ポゼッションがリーグ最下位だった栃木は、今季から田坂監督を招聘。これまでの栃木の良さである堅実な守備やハードワークに上乗せする形で、後方からショートパスをつなぐ新たなスタイルに着手した。しかし、チームは開幕から3試合を終えてリーグ唯一の無得点で、シュート数もリーグワースト。さらに前節の横浜FC戦では最終盤に押し切られてゴールを破られるなどディフェンスの強度も失いつつあり、産みの苦しみを味わっている状態だった。

「サポーターに勝利を届けられず、クラブに関わるスタッフやスポンサーの皆さんも非常にヤキモキした気持ちにさせてしまっていた」

 Jリーグ屈指の戦術家は苦境を脱するため、「ここ3試合なかなか得点を取れなかった、勝てていなかったというところで、あえて今週はシステムを変えるトレーニングをしていました」と、この試合に向けたオプションを用意。前半に先制しながら逆転を許す展開の中、「どこのタイミングで(システムを)変えるか」と、“秘策”を繰り出すタイミングをうかがっていた。

 田坂監督が動いたのは後半27分。3バックの左を務めていたDF温井駿斗に代えて久富、左ウイングバックのMF西谷優希に代えて大島を同時に投入する。これに伴い、布陣を3-4-2-1から4-4-2にチェンジ。久富は左サイドバックに入り、大島はFW大黒将志と2トップを組んだ。

「やはり大黒の近くに人を置きたかった。大崎と(西谷)和希のところにもう1枚いたらゴール前に厚みが出るんじゃないかと。いいところまで行ってるんだけど、どうしてもPA内に厚みがないなと。大島はクロスボール(に合わせること)も得意なので彼を入れました」

 指揮官の狙いは後半32分に形となって表れる。左サイドでこぼれ球を拾った久富が折り返し、右足で合わせた大島が同点ゴールを奪取。同42分にはカウンターから持ち運んだ西谷和希が右足のシュートを突き刺し、3-2の逆転勝利を収めた。

「システムが変わってもコンセプトは何も変わらないから、カウンターの時は速く攻めようと言っていた。よく和希が持っていって最後によく決めてくれたと思います。3点目は相手が出てきた分、うまく隙を突いて人数をかけたカウンターができた。選手がよく判断したと思います」

 自身のメッセージを汲み取りつつ、最後は個々の判断で逆転までつなげた選手たちを称えた田坂監督。「今日は試合前のミーティングで『結果にこだわらないといけない。そういう試合はリーグ戦でもサッカー人生の中でもある』と伝えていました」。戦術、メンタル面で闘う準備を行い、必勝を期して臨んだ一戦でつかみ取った今季初勝利。だからこそ、その価値は大きい。

(取材・文 阿部哲也)
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