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[新人戦]「立正大淞南の“基準”でやってくれ」の言葉に発奮。球際強度増した島根の名門が4発で決勝へ

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立正大淞南高はMF山田真夏斗が“違い”を見せるプレーで2点に絡んだ

[3.17 中国高校新人大会準決勝 就実高 1-4 立正大淞南高 広島皆実高G]

 第11回中国高校サッカー新人大会は17日午後、準決勝を行い、高川学園高(山口1)と立正大淞南高(島根2)が決勝へ進出した。立正大淞南は就実高(岡山2)に4-1で快勝。2年ぶりの優勝に王手をかけた。

 準々決勝・聖光高(山口2)戦の試合前、立正大淞南の南健司監督は選手たちに向けて「ここは立正大淞南や。立正大淞南の基準でやってくれ」と求めたという。前日の初戦(対作陽高)ではガツンとぶつかる部分や、そこでいなしてマイボールにするような球際の部分が立正大淞南の“基準”に達していなかった。

 だが、指揮官の言葉に発奮した選手たちは準決勝を6-2で制すと、球際の激しさと個々の強みを出してくる就実との準決勝も「みんな意識していた」(FW石橋克之主将、2年)という“基準”を発揮して勝利した。

 前半は風上の就実が押し気味に試合を進めた。この試合、右サイドで仕掛けるたびにクロスまで持ち込んでいたMF青木慧大(2年)がGKとDFラインの間にボールを入れていく。16分にはFW三木太陽(2年)のインターセプトからMF井上亮(2年)の放った右足シュートが右ポストを叩く。25分には青木のダイレクトのラストパスから三木が決定機を迎えた。

 全てのボールに躊躇することなく突っ込んでいくMF湯淺怜夫主将(2年)を筆頭に、球際で引かず、最終ラインの選手たちが根気強く攻撃を跳ね返す就実相手に立正大淞南はなかなかリズムに乗ることができなかった。だが、南監督が「完全に違いを見せないといけない」と求める注目MF山田真夏斗(2年)が“違い”を見せる。

 この試合は序盤から2人がかりでボールを取りに来られても余裕のあるプレー。感覚的なスルーパスなどを通していた大型MFは33分に左足で左サイドへ見事な展開を見せる。これを受けたMF片淵竜鳳(2年)が得意のカットインからラストパス。DFのマークを外した石橋が3試合連発となる先制点を叩き出した。

 立正大淞南は畳み掛ける。34分、山田真夏が左中間から縦に持ち出し、ゴール前に絶妙な左足パス。これをMF雨水春陽(2年)がゴールに沈めて2-0とした。山田真夏のビッグプレーで2点を先取した立正大淞南の勢いは後半も止まらない。8分には左サイドからカットインで持ち込んだ片淵が右足シュートをゴール右へ突き刺した。

 3点ビハインドとなった就実だったが、こちらも右サイドで圧倒的なプレーを見せていた青木が魅せる。13分、自らボールを奪うと、さらにDFをかわして一気に縦へ。最後はラストパスを交代出場のFW野口悠吾(2年)が押し込んで1点を奪い返した。

 その後も青木の突破などからゴールを目指した就実だが、2点目を奪うことはできず。逆に立正大淞南は33分に再び片淵が右足シュートを叩き込み、4-1で快勝した。片淵が「もっと強いプレーを全員でやっていきたい」と語るように、常に“基準”をクリアするためにはもっともっと意識高くプレーすることが必要。だが、立正大淞南の選手たちは準々決勝、準決勝の2試合で自分たちのベースを再確認した。

 決勝へ向けては「全員が走って、全員が守備して、戦ってということをやる」と石橋。勝って本格的なシーズンへの弾みをつける。

(取材・文 吉田太郎)

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