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スペイン完封の立役者・ブラサカ日本代表・田中の誓い「イングランドには今年も勝つ」

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田中は股間を狙われてもゴールは守った

2020年の東京五輪にむけた「プレ・パラリンピック」と位置づけられる「IBSA ブラインドサッカーワールドグランプリ 2019」で21日に強豪・スペイン代表を撃破したブラインドサッカー日本代表は23日の準決勝に備え、22日を休養にあてた。世界ランク4位の強豪を完封した立役者、田中章仁は「イングランドには昨年も勝っているので今年も勝ちたい」と力強く語った。

グループリーグ3試合で3得点の川村に注目が集まりがちだが、スペインを完封した守備も勝利の原動力。それはピンチになりそうなスペースを消す、田中の頭脳プレーによるものだ。

「(完封は)GKを含めて5人で守らないと世界の強豪には勝てないので、チーム力の勝利です。(最終ラインの)ロベ(佐々木ロベルト泉)は相手のボールを奪いにいくときに1対1の勝負で強さを発揮するので、そこは信じて任せながら、その先にピンチになりそうなところ、空きそうなスペースを予め予測して、必要なところを埋めていく意識でプレーしました」

 ピンチになってから対応するのではなく、ピンチの状態を極力作らないようにした。最後尾から選手たちに指示を送ったGK佐藤大介が解説する。

「相手選手がボールをもったらフェンス際に追いやり、中央に入れさせない守備ができました。(後半だけで決定的なシュートを4本浴びた)コロンビア戦は大変でしたが、(スペイン戦は)1本セーブがあったくらい。それぐらいピッチの選手が(スペインの)選手にプレシャーをかけにいってくれました。1人が抜かれても2人目、3人目が行く。攻撃を仕掛けてきたスペインが最後ぐちゃぐちゃになっていた」

 日本代表は一番背が高い選手でも172cmの佐々木ロベルト泉。田中は161cmしかない。対するスペインは189cmのイヴァン・ロペスを筆頭に4人が180cm以上。体格面のハンデを田中がどうして埋められるのか。高田敏志監督が明かす。

「彼は『サッカーは頭だ』という僕の考えを体現してくれる選手です。ブラインドサッカーという競技は全力で走ることはない。前半20分あれば、ボール触るのはトータルでも1分ぐらいです。あとは(ボールを持っていないときの)ポジショニングをどうするか、のほうが大切。100mを速く走れるトップアスリートは必要なくて、さぼらずに何度もポジションを取り直すことのほうが大事なので、予測認知、理解力が高い選手の方がいい働きができるんです」

 23日に対戦するイングランド代表は昨年先発した5人のうち4人が今回も主力だ。リベンジへの思いが強いからこそ、田中はきっちり「返り討ち」したいと考えている。

「(スペイン戦後は)めちゃくちゃ喜んだけど、僕たちはまだ何も成し遂げていない。準決勝、決勝と勝たないと大会に勝ったことにはなりませんから」

 ブラサカ日本代表の“心臓”が、残り2戦、チームの勝利のために汗をかき続ける。

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(取材・文 林健太郎)

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