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日本vsボリビア 試合後の森保一監督会見要旨

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日本代表の森保一監督

[3.26 キリンチャレンジ杯 日本1-0ボリビア ノエスタ]

 日本代表は26日、キリンチャレンジカップでボリビア代表と対戦し、1-0で勝利した。

以下、試合後の森保一監督会見要旨

森保一監督
─戦力の底上げがテーマだったと思うが手応えは。
「コロンビア戦から選手を総入れ替えして、この試合に臨んだが、日本代表として戦う責任の中で勝利を目指して戦うということ、サポーターのみなさんや支えてくださる方々に勝利を届けるということは、だれが出ても責任は変わらないと選手にも話した。その中で経験の浅い選手もコロンビア戦、そしてこのボリビア戦でプレーしてもらったが、プレー面で見てある程度の手応えをつかめたということは、経験の浅い選手に総じて評価として言える。ただ、試合を決定づけるとか、試合の流れを変えていくところでは、まだまだ力を付けてほしいということは選手にも先ほどロッカールームで伝えた」

―2列目の香川、乾、宇佐美は経験のある選手だったが、3人とも後半そのまま入れ替えた意図は?
「3人そのまま入れ替えたということで、最終的にはそうだが、人数は2人ずつだったし、力を付けていっている経験の浅い選手と、これまで代表を引っ張ってきてくれた経験のある選手が試合の中で少しでも融合する時間、いろんな感覚を共有する時間を持ってもらいつつ、最終的には我々がこの試合に勝てればと思って交代のカードを使った」

─後半途中に選手交代するまで攻撃のリズムがあまり変わらなかったように見えたが。
「1回目の交代は60分くらいだったと思うが、前半からスタートで出てくれた選手たちはなかなか得点を奪うことができなかったが、相手の嫌なところにボールを動かしながら、あるいは左右に探りながらということをやってくれていた。前半の終わりから相手が疲れてきている様子がうかがえたし、プレーが切れたときに少しでも休む時間を長くして回復させるようなことも相手はしていた。そこは選手たちがこの試合に臨むにあたって相手の守備が堅い中、どうやって相手をこじ開けていくのかという部分で、得点以外では狙い通りの戦い方をしてくれたと思っている。相手がハーフタイムを挟んで体力的に回復した中で、前半の攻撃に対して慣れてきたところもあって、なかなか相手にダメージ与える攻撃は仕掛けられなかったと思うが、その中でも前半にやってきたことが十分に効いて交代の選手が決めたという展開になったと思う。結果論だが、外から崩していくことと、乾がボールを受けて鎌田が決定的な1対1のシーンをつくることができた。そういう部分では、選手たちがどうやって相手の堅い守備をこじ開けるかということはトライしてくれていたと思っている」

─2試合でPKによる1失点だったが、DFとボランチに収穫を感じたのでは。
「コロンビア戦とボリビア戦で2チームの攻撃力の違いはあるが、2試合でPKで与えた1失点だったという部分では、まず攻撃のところで圧力をかけながらリスク管理をしっかりする、ロストしたら素早い切り替えでボールにアタックに行く、それができなかったら一度形をつくってブロックから相手にプレッシャーをかけていく、粘り強い守備をするという基本的な部分は、選手たちがよく表現してくれたと思う。1試合目のコロンビア戦で我々のピンチになるようなシーンは何度かあったが、そのシーンを反省してより良い守備の準備をすることで相手の攻撃の芽を未然に防ぐということをミーティングやトレーニングでやってきた。それを今日の試合で選手たちが生かしてくれたと思っている」

─デビュー戦だった2人の選手(畠中、橋本)の印象は?
「チームとして戦う上で我々がやろうとしているコンセプトを理解して、かつ本人の持っている能力というところでは、代表初キャップで初先発した選手たちは力を発揮してくれたと思う。ただ、まだまだレベルアップすべきところも本人たちは感じていると思うし、この国際試合を通して経験したことを良い刺激としてチームに持ち帰ってもらって、さらなる成長につなげてもらいたい」

─半年で14試合戦ったが、ここまで思い描いたようにチーム作りは進んでいるのか。
「我々がやろうとすることは、これまで招集させてもらった選手たちには確実に浸透していると思うし、初招集した選手たちも割とスムーズにチームに溶け込んでくれているという部分では、我々がやろうとすることを、招集した選手だけでなく、試合を通して日本代表でプレーしたいと思ってくれている選手たちが見てくれているんだなというふうには思っている。これまで招集した選手たちが自チームに帰ったときにいろんな部分で他の日本人選手たちにも我々がやろうとしていることを伝えてくれて、戦術的な部分での理解度はあると思う。ただ、戦力としては少しでも選手層を厚くするためにという部分で、より強い日本代表をつくるということと、より日本サッカーの発展につながることをやりたいと思っているが、まだまだ攻撃の選手にしても守備の選手にしても、日本代表としてプレーできる力を示してもらいたいと、より多くの選手に求めていきたい。特に攻撃的な選手に関しては、決定的な仕事ができる選手がより出てきてくれればと思っている」

─6月のキリンチャレンジカップではどこと対戦したいか。
「強いチームと対戦したいと思う。我々はもっともっと成長していかないといけないので、より強いチームと試合がしたい。今回のコロンビアにしてもボリビアにしても、南米のチームと試合をさせてほしいということは言っている。それでウルグアイであったり、コロンビアであったり、FIFAランクで世界の上位のチームと組んでいただいて、試合ができたことは我々にとって貴重なマッチメイクをしてもらったと思っている。なぜ南米かと言うと、もちろん欧州にも世界一のフランスや強豪国がいっぱいあるので当然やりたいと思うが、南米には日本人がまだまだ培っていかなければならない体の使い方やテクニック、戦術的にも試合の流れの中で臨機応変にやっていく能力が非常に高いものがあるので、そこは日本人が培っていかないといけない部分を彼らから吸収できるようにということで最初に南米をリクエストした」

─鎌田を慣れない1トップで起用したが評価は。
「鎌田は普段、どこでプレーしていますか? (2トップという答えに)前ですよね、だいたい。一応それを見て起用しています。1トップと2トップは違うかもしれないですが、彼が攻撃の部分でポイントになったり、相手の背後に抜け出す動きというところは、2トップでも1トップでもできるかなと思って先発で起用した。技術も非常に高い選手なので、コンビネーションの部分も時間を追うごとにチームの中でいいプレーをしてくれたと思うし、最後は一発で素早く背後に抜けたというわけではないが、GKと1対1の場面をつくり出した抜け出しの部分は2トップでも1トップでも変わりない彼の良さを出してくれていたと思う」

─平成最後の代表戦となったが、監督にとってどんな時代だったか。
「平成最後の試合だからというわけではないが、1試合1試合勝利を目指して戦うということで、今日の試合も選手を入れ替えながら、選手の成長につながるような試合ができればと思っていた。仮に試合を落としていたとしても、そこは言い訳にならないと思って選手を起用しているし、必ず選手たちがこの試合で勝利してくれるという思いで今日のピッチに送り出した。平成最後の試合だということは試合前にも分かっていたので、今日の試合に一つの区切りとして勝てたということはまた次の時代に向かって進んでいけるかなと思っている。試合前の記者会見でも言ったが、私は日本代表の勝利と日本サッカーの発展と日本サッカーの歴史の継承をしたいと思って仕事をさせてもらっている。平成は終わるが、これまで多くのサッカー関係者の方々が尽力してくれたおかげで今の自分たちがあるということ、感謝の気持ちを持って今は戦いたいと思うし、これまで積み上げてくださったものを、どういう元号になるか分からないが、新しい時代に発展させられるように努力していきたいと思っている」

─ロシアW杯組の3人とそれ以外の選手のキャップ数にかなり差があったが、意図的だったのか。
「たまたまというか、全員使わなければならなかったので、こうなった。これまでは意図的に経験の浅い選手と経験豊富な選手というところは考えながらチームづくりをしている。ただ、代表活動をする上で選手を招集するときに代表キャップで招集はしていないし、そこは普段の選手たちがやっているチームの活動の中から選ぶということと、我々がチームづくりをしている中で、そのときの条件の中で成長につながることができればというふうに思っている。今日のメンバー構成で経験の浅い選手たちを経験豊富な前線の選手たちが引っ張ってくれたということは、これまでやってきたことを経験豊富な選手たちが実践してくれたのかなと思っている」

─香川の評価は。
「先ほども言ったが、彼はこれまで日本代表を長く引っ張ってきた存在だと思うし、今日の試合の中で経験が浅い選手がたくさんいる中で、落ち着いてプレーしてくれていたと思う。自らこの試合で結果を出すという思いを持って、準備のところから今日の試合においてもプレーしてくれていたと思っている。試合の流れの中でもなかなか相手の守備が崩れない中、相手を少しでも間延びさせる、あるいは疲労させる、嫌なところを突いていくような経験を生かしたプレーをしてくれていたと思う」

─6月はまた新しい選手を呼ぶのか、今まで呼んできた選手でチームをつくるのか。
「今後のチームづくりとして、これまで招集した選手たちを軸に、あとは普段の選手の活動を通して6月のキリンチャンレンジカップは招集していきたいと思っている。アジアカップから今回、13人の選手を入れ替えてチーム編成をしたが、日本代表として選手層を厚くするという部分で、私自身がいろんな選手を見ながらチームの底上げをしていくことを考えて選んだ。と同時に、アジアカップで戦ってくれた選手たちは、海外組はシーズンが進んでいる中、自分のポジションを失うリスクを負ってアジアカップに来てくれて、その中で戦ってくれた。現実的にチームに帰ったときに、なかなかスタートから居場所がないという厳しい現実にさらされている中、彼らは覚悟を持って来てくれているという部分。そこは私も指導者の一人として、選手ファーストという部分で、選手が所属チームで確固たるポジションをつかんで、より高いレベルでやってもらうことが日本代表の強化につながっていくということで、彼らにはポジションを取る戦いをしてほしいという思いもあった。

 国内組にしても、シーズンが始まってキャンプがある中、自分のポジションがどうなるんだろうと思いながらアジアカップを戦ってくれたという部分で、選手の状態を見ながらだが、そこはチームの活動の中で力を発揮してもらいたいということで考えている選手もいる。特にワールドカップ、アジアカップと連続してシーズンをまたいで休みなく戦ってきている選手たちは、今回招集しないことが休みになるかどうかは分からないが、そういうところで少しでもより良い状態をつくってもらえるようにということは考えてチームづくりをしていきたいと思っている」

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