beacon

昨夏日本一、山梨学院MF平松主将がこだわる「85パーセント以上」と日々の行動

このエントリーをはてなブックマークに追加

山梨学院高の闘将、MF平松柚佑主将

 チームが勝つために、ピッチ内外で必死に考え、戦う一年だ。昨年のインターハイ優勝校、山梨学院高(山梨)は長谷川大新監督の下で新たなスタートを切っている。そのチームの主将を務めるのは、昨年のインターハイ優秀選手で、1年時からレギュラーを務めるMF平松柚佑(新3年)だ。

 厚みのある肉体を活かしたセカンドボールの攻防や、競り合いの強さは全国クラス。丸刈りのハードワーカーが見せるプレーは迫力十分だ。加えて、彼はピッチ内外で誰よりも自分の感情を表現する。味方のゴールが決まれば吼え、セットプレーなどでは大声でチームメートを鼓舞。そして、試合後には満面の笑顔で仲間たちと喜び合っている姿も印象的だ。

 一際目立つ守備面に目が行くことは確かだが、昨年のインターハイでは3回戦の高川学園高戦で先制ゴール。準々決勝の日章学園高戦でも同点ゴールを決めている。技術面、アジリティなどの課題がある一方、2列目からの飛び出しでゴールを奪うこともできるプレーヤーだ。だが、インターハイのプレーについて本人は「インターハイ優秀選手とか選んでもらったんですけれども、ちょっと不甲斐ないというか……」と首を振る。あまりセカンドボールを拾えず、チームに貢献できていないと感じていた。

 今年、彼が掲げている目標は「85パーセント」だ。「自分の特長は守備なので、まずは球際で負けないこと。セカンドボールの回収率を自分の中で85パーセント以上ということを掲げていますけれども、そこをベースとしてボールを失わないだったり、パスの質やスピードだったり、そういう部分にもこだわっていきたいと思っています」と語る。

 なぜ、「85パーセント」なのか。「最初80にしようかと思ったんですよ。でも、そうしたら20攻められちゃう。じゃあ、ちょっと上を目指して85にしようと」とはにかんだ。チームのムードメーカーでもある主将が毎試合「85パーセント以上」を実現すれば、確実に勝利にも近づく。だからこそ、平松はその数字をピッチ上で目指し続ける。

 新チーム発足直後は怪我の影響で出遅れたが、アジリティの部分により取り組むなどコンディションを向上。サニックス杯国際ユース大会(3月、福岡)では1ボランチを務め、韓国王者の慶煕高戦では身体を投げ出すようにして戦い、ボールを奪えばサイドへの展開も見せていた。

 昨年はインターハイ優勝後、チーム全体的に挑戦者という気持ちが足りなくなってしまっていた。なかなかチームが好転しないまま、選手権予選は準決勝でまさかの敗退。プリンスリーグ関東では最下位に沈んでしまった。それだけに、新主将はまず波なく戦うチームにすることを意識している。

「練習から厳しく言いますし、声の掛け方とか人によって変えたり、今コイツはこういう状況だからこういう声の掛け方をしようとか、コイツは強く言ったらもっとやってくれるとかあるんで、もっと周りに気を遣える選手になっていきたいです」

 慶煕戦はチーム全体が一つになって勝利を目指し、後半終了間際の劇的な決勝点によって1-0で勝利。平松は「3年生とかからも色々頑張れと言われて、勝つためにどうしたら良いんだろうと自分自身考えたりして、(新監督の)長谷川さんが言っているピッチ外の部分とかを大切にしていくことが、きょう(慶煕戦)みたいに最後の最後で決まってくるのかなと思います」。長谷川新監督は「学業、サッカー、生活、チームワーク」の4本柱を口にしていたが、新主将も日々の行動からこだわり、山梨学院がピッチ内外で「真の日本一」のチームになることを目指していく。

 この一年の大目標はインターハイ連覇、プリンスリーグ関東復帰、そして選手権優勝だ。「簡単に口にできることではないことは分かっているので、その目標を言えるだけの行動、プレーをチーム全体でしていきたいと考えています」。結果を出すのに相応しい集団、リーダーへ。その姿になるために闘将は、自身とチームが掲げた目標達成に全力でこだわる。

(取材・文 吉田太郎)

TOP