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114億円の“掘り出し物”!リバプールOBが語るファン・ダイクという真のリーダー

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リバプールの守備の要、オランダ代表DFフィルヒル・ファン・ダイク

 リバプールのSDであるマイケル・エドワーズにとって、この先数週間は大きな意味を持つものとなる。

 彼がユルゲン・クロップとともに作り上げてきたチームは、国内外で大一番を控えている。この数週間が、夏の補強プランを決めると言ってもいいだろう。さらにエドワーズ本人にとっても、大きな目標がある。

 彼は4月末に、ロンドン・マラソンを走る予定なのだ。

 エドワーズは例年、ロンドンからアムステルダムへと向かうチャリティ・サイクルに参加していたが、今年は援助金を募った。彼はリバプールのスタッフ3人とともに、前立腺がん関連の活動をおこなう『Prostate Cancer UK』のために資金を集めている。寄付サイト『Just Giving』を覗いてみると、今のところリバプール主将ジョーダン・ヘンダーソンや、前のCEOであるイアン・エアーが寄付を行っている。

 面白いのは、エドワーズが寄付に関して書いたメッセージの締めくくりの文だ。

「リバプールFCのファンへ」というメッセージから始まる文章は、「どんな意見も歓迎する。メモ帳とノートパソコンはすでに準備してあるんだ…」といった文章が添えられている。

 これに対するファンの反応は予想通りのものであり、「イブラヒマ・コナテ、フセム・アワール、ルカ・ヨヴィッチはどう?」といったコメントや、「もしヨビッチ、(ティモ)ベルナー、(カイ)ハフェルツ、(ラファエル)バランと契約してくれたら100万ポンド(約1億5000万円)寄付するよ」といった声も寄せられている。その他にもジェイドン・サンチョや、もちろんマルコ・ロイスを推す声も上がっていた。

 現在エドワーズに対してリバプールサポーターが寄せる信頼は厚く、それはまったく不思議な事ではない。彼はチームの移籍活動の責任を担う仕事において、ここ数年でいくつかの大きな成果を上げてきたのだ。ロベルト・フィルミーノアンドリュー・ロバートソンモハメド・サラージョルジニオ・ワイナルドゥム……。彼は驚異的な精度で“当たり”を引き当ててきた。

 しかし、エドワーズが加入させた選手の中で、クラブに最も大きなインパクトをもたらしたのは、もちろんそれらの選手ではない。

 今となっては不思議なことだが、2018年1月当時、リバプールがフィルヒル・ファン・ダイクに対して大金を拠出することについては多くの疑問の声が上がっていた。それから15か月が経った今、サウサンプトンに対して支払った7500万ポンド(約114億円:当時)もの移籍金は格安だったように思える。27歳の“掘り出し物”は、リバプールのプレミアリーグとチャンピオンズリーグ(CL)における躍進を、最後方から支え続けている。

 リバプールがリーグ戦32試合で喫した失点はわずかに「19」、クリーンシート数は最多「17」だ。その堅守の立役者である彼は、今シーズンのPFA年間最優秀選手賞の有力候補としても名前が挙がっているほどだ。

 彼は母国オランダ代表ではキャプテンを務めており、クラブではチームを牽引している。そんな彼が世界一の選手であるかと問われれば、その答えは「イエス」かもしれない。

 ダニエル・アッガーは優秀なセンターバックを見分けることができる。8年以上をアンフィールドで過ごし、公式戦232試合に出場した経験した彼は、ファン・ダイクが最高のタイミングでリバプールに加入してくれたと考えているようだ。

「彼の加入の影響はとてつもなく大きなものだ」。アッガーは『GOAL』に対してそのように語っている。「彼がクラブにここまで大きなインパクトをもたらした理由は、彼こそがリバプールが長い間探し続けてきたタイプのディフェンダーであるからだ。彼が空いていたスペースを埋めたんだ」

「リバプールは彼をずっと求めていたんだ。リーダーシップがあって、最高のディフェンススキル、そして最高のフットボーラーである彼のような存在をね。フィルジルにはそのすべてが備わっている。あらゆるものを持っており、そんな彼がチームに大きな変化をもたらしたんだ」

 アッガーは、ファン・ダイクのように絶対的に信頼できる男の存在が、今シーズンのリバプールをトップ4を争うチームからタイトルを争うチームへと引き上げたカギとなったと信じている。

「周りにいる選手たちが、みんな彼を信頼しているのが見て取れるよ」アッガーは続ける。「選手たちは彼の声に耳を傾け、彼を信じている。そしてそれが、個々の能力を向上させることにとても良い影響を与えている。真のリーダーの存在は、こうした効果をもたらすんだ」

「僕がリバプールに加入した時、チームにはそうしたタイプの選手がたくさんいたよ。当時のリバプールはリーダーに事欠くことがなかったんだ。逆に、リーダーがたくさん存在しすぎていたのかもしれないね!」

「もちろんこれはいいことだよ。リバプールのようなクラブでは切磋琢磨が必要で、それが望まれている。多くのリーダーの存在は、そうした環境が整えられることを意味しているからね。練習では毎日高いクオリティが求められ、誰一人として手を抜くことはないんだ」

「そうしたリーダーを欠いたリバプールはまるで別のチームだけど、フィルジルの存在が明らかにチームのメンタリティに変化をもたらしたんだ」

 リバプールにとって最後のタイトルとなっている2012年のリーグカップ。優勝メンバーであるアッガーだが、クロップの下で躍動するレッズ(リバプールの愛称)が数週間後にはタイトルへの渇望を満たしてくれることを願っている。

「正直に言えば、数週間前の方が自信があったんだ。きっと今年のリバプールはタイトルを獲ってくれると思っていたよ」

「でも、最近マンチェスター・シティのゲームをいくつか観て、彼らの強さを感じたよ。それでも五分五分だと思うけど、どんな結末になるのかはまったく分からないね」

 ケガによって引退した後、アッガーはほとんどの時間をスペインで過ごし、多くのビジネスや慈善事業をおこなっている。

 彼は引退後も、かつて所属したクラブをとても気にかけており、良好な関係を保ち続けている。彼は昨年のCL決勝に先立って、リバプールのファーストチーム・メンバー全員をマルベーリャにある彼の自宅でのディナーに招いたことでも知られている。

「ユルゲンについても少しだけ知ることができたよ。もし一緒にプレーしたい監督を選ぶとすれば、絶対に彼のようなタイプを選ぶね。ただのショーマッチではあったけど、1度だけ(2017年に)オーストラリアで彼のもとでプレーしたことで、彼の監督としての才能を感じたよ」

「彼は情熱にあふれていて、その言葉を聞けば彼がどんな人間なのか理解できるよ。彼が何を言いたいのかがすぐに頭に入ってくるんだ」

「歯に衣着せぬ発言や、時には攻撃的になることもあるけれど、そんなところも好きなんだ。彼は自分の立場を理解していて、選手が自分の求めるプレーをしてくれる場合は全力でサポートしているのだから、むしろそうあるべきだよ」

「彼もチームも進化している。欲しい選手についてクラブから大きなサポートを得ているようだが、彼こそがクラブにとって最も重要な人物なんだ。彼の存在によって、チームはすべてがうまくいっているんだよ」

 リーグ戦も残り6試合。1試合消化が多いながらも、リバプールは2位マンチェスター・シティに2ポイント差をつけて首位に立っている。先日には強敵トッテナムを90分の劇的勝ち越し弾で2-1と下し、アンフィールドは熱狂に包まれた。サポーターの29年ぶりの悲願に対する思いは、日に日に強くなっている。

 プレミアリーグ最終節が行われる5月12日、アンフィールドが笑顔と涙が入り混じりながら「You'll never walk alone」を歌っているとしたら、ドイツ出身の熱血漢、エドワーズSD、そしてファン・ダイクのおかげと言えるだろう。

 5日にファン・ダイクの古巣サウサプトン戦を終えた後、9日にはCL準々決勝ファーストレグのポルト戦、14日にはプレミアリーグ第34節チェルシー戦が待ち受ける。これから最も重要な数週間が始まるのだ。彼らが最後に笑うために――。

取材・文=ニール・ジョーンズ/Neil Jones

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