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[MOM2838]大宮U18DF村上陽介(3年)_昇格組の王者喰い! 90+6分のスーパークリアは「一応ゴールの中にいたら…」

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終了間際のスーパークリアを見せた大宮U18のDF村上陽介(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[4.7 プレミアEAST第1節 大宮U18 1-0 鹿島ユース AGFフィールド]

 頼れる主将のビッグプレーが王者の希望を打ち砕いた。大宮アルディージャU-18は1点リードで迎えた後半アディショナルタイム、鹿島ユースの猛攻を一方的に受け続ける時間が続いた。だが、そこに立ちはだかったのはDF村上陽介(3年)。終了間際のオーバーヘッドシュートをライン上でクリアし、間もなく試合終了の笛が夕空に響いた。

 セントラル開催で2日間かけて行われたプレミアリーグEAST開幕節は、この第5試合でラスト。前回覇者の鹿島ユースに、2年ぶりの昇格を果たした大宮U18が挑むという構図だった。昨季の主力メンバーが多く残る大宮とは対照的に、鹿島は優勝を牽引した多くのメンバーが卒業。立ち上がりから大宮が優位に立つ形で時間が過ぎていった。

 ところが、1点リードで迎えた終盤は鹿島の猛攻が続いていた。「監督からハーフタイムに『鹿島はこんなもんじゃ終わらないぞ』と言われていた」(村上)。とりわけ脅威となっていたのはスカウティングでも相手の武器とされていたセットプレー。MF柳町魁耀(2年)のキックが何度も大宮ゴール前を襲った。

 すると後半アディショナルタイムも5分が過ぎた頃、最大の危機が訪れた。柳町の左コーナーキックが大宮ゴール前を襲うと、波状攻撃からMF栗俣翔一(3年)がオーバーヘッドシュート。これが飛び出していたGK石井飛雄馬(3年)の頭上を越え、ゴールマウスに向かってきたのだ。

「どこのチームもすごく徹底しているので、このチームが始まってからセットプレーの準備はしていた」(丹野友輔監督)という大宮だが、さすがに絶体絶命。しかし、そこに村上が立っていた。「一応ゴールの中にいたら来たので……(笑)」。ゴールライン際からクロスバー上に蹴り上げると、そこで終了のホイッスルが鳴らされ、オレンジのユニフォームが主将の下に集まった。

 終了間際のビッグプレーに、丹野監督も「ああいうシーンを凌げるか、決められるかが大きな違いだった」とホッとした様子。「1点取ってくれていたので、守備陣がゼロに抑えられれば負ける試合はない」(村上)。チーム全体の気迫がリーダーに乗り移ったかのようなワンシーンだった。

 2017年にプリンスリーグ関東に降格し、復帰した今季は2年ぶりの最高峰カテゴリ。挑戦者としての立場は自覚するが、“自分たちの代”として無駄にするわけにはいかない。「チームの目標は5位以内だけど、それは早めに達成してチャンピオンシップ(ファイナル)に行けるように戦いたい」。そんな野望を実現するためにも、王者を相手に大きな勝ち点3を獲得した。

(取材・文 竹内達也)
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