beacon

“8戦4発”覚醒中…与勝高出身21歳、琉球MF上門「ここに来れたのは偶然」

このエントリーをはてなブックマークに追加

ここまで8試合4得点のFC琉球MF上門知樹

[4.13 J2第9節 東京V1-1琉球 味スタ]

 ここまで8試合に出場し、チーム2位の4得点を記録。FC琉球MF上門知樹が初経験のJ2リーグで存在感を放っている。「沖縄の選手が試合に出ることでホームの観客も増えるし、僕たちが結果を出さないといけない」。気鋭の21歳を支えているのは地元出身者としてのプライドだ。

 沖縄県うるま市に生まれ、「内地に出たいって気持ちは全くなくて、地元ってことだけで決めた」という県立与勝高出身。そんな地元愛あふれる少年をJリーグの舞台に引き上げたのは、2016〜18年に指揮を執っていた前監督の金鍾成氏(現・鹿児島ユナイテッドFC監督)だった。

 育成年代で経験した最大のビッグマッチは2015年度の全国高校選手権沖縄県予選の決勝戦。地元育ちで構成された部員28人の与勝高は、県内の有力選手が集まる那覇西高に0-5の大敗を喫したが、その試合を当時琉球のアカデミーダイレクターだった金鍾成氏が視察しており、試合後に声をかけられたのだという。

「自分がいまここに来れたのはたまたま。金鍾成監督が選手権を見てくれたからここに来ることができていて、それは偶然。金鍾成監督のおかげです」。

 そう謙虚に語るが、急速に若返りを図ったチームの中でなかなか出場機会を得られない新卒選手もいる中、初年度からJ3リーグ8試合に出場し、翌年も9試合に出場。そして3年目の昨季は開幕節でJリーグ初ゴールを含む2ゴール1アシストを記録し、ブレイクの年を思わせた。

 だが、昨季の活躍はそこまで。第5節を最後にレギュラーの座を失うと、その後はベンチ入りしても終盤のジョーカー起用が中心。シーズン終了時の先発出場は7試合にとどまっていた。「J3を優勝したけどチームの力になかなかなれなかった」というのが偽らざる本音だ。

 すなわち、J2に上がって初めて“覚醒”の時を迎えている。その要因として語るのは「入ったばかりはいっぱいいっぱいだったけど、今年は自信を持ってプレーできている」という点。またそうした精神面の成長に加えて、昨季の失敗で「覚悟が生まれた」ことも活きているのだという。

 また、初めて経験するJ2の舞台に「不安はあった」というが、「相手選手は有名な選手ばかりだし、どういう選手なんだろうと思っていた。いろいろな選手と対戦できる楽しみがあったので、不安より楽しみが大きかった」という挑戦心も後押し。そうした要素が重なり、8試合4得点という結果につながっているようだ。

 とはいえ、ここ2試合は先発落ち。途中出場のチャンスは得られているが、昨季の失敗を繰り返すわけにはいかない。「個人的にはまだまだだと思っているが、確実に良いペースで得点を取れている。ただ、ここで終わったら意味がないので満足せずにやっていきたい」。地元の誇りを背負う21歳はまだまだ成り上がる。

(取材・文 竹内達也)
★日程や順位表、得点ランキングをチェック!!
●2019シーズンJリーグ特集ページ
●“初月無料”DAZNならJ1、J2、J3全試合をライブ配信!!

TOP