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[関東大会予選]先輩たちに続く躍進!都立国分寺が粘り強く勝ち切り、東京8強で「経験値」得る機会掴む!

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前半27分、国分寺高は左SB寺川正太郎(18番)が決勝ゴール

[4.13 関東大会東京都予選2回戦 保善高 0-1 国分寺高 駒沢2]

 都立国分寺が東京8強入り! 2019年度関東高校サッカー大会東京都予選2回戦が13日に行われ、保善高対国分寺高戦は都立勢の国分寺が1-0で勝利。国分寺は20日の準々決勝で関東一高と戦う。

 国分寺は昨年度の選手権東京都Aブロック予選で17年ぶりとなるベスト4進出。東京Bブロック予選を含めてベスト4に食い込んだ8校のうち、都立勢は国分寺だけだ。先輩たちは素晴らしい成績を残した世代だった。

 今回の関東大会予選は31校が参加。新人戦で出場権を獲得したチームもある中、国分寺は先輩たちが獲得したシード権によって出場している。それだけにMF村木岳琉主将(3年)は「あれだけ結果を出してくれて、そのお蔭でこの関東予選も出れている。一個上のお陰で出れただけじゃ……。ここで結果を残さないといけないと個人的には思っていました」と語っていたが、先輩たちの姿を見て意識を高めてきた国分寺が今年も東京のトーナメント戦で上位に食い込んでいる。

 初戦は粘り強い守備からのカウンターで大森学園高に4-0で快勝。この日も相手を圧倒して勝利した試合ではない。リーグ戦で快勝している保善との再戦だったが、彼らは80分間気を緩めることなく戦い抜いた。

 序盤からシンプルに相手の攻撃を跳ね返し、村木らがセカンドボールを回収。そして前半27分にFW鈴木元貴(3年)の強烈なシュートから、こぼれ球を拾って右サイドを崩し、最後は鈴木の折り返しをゴール前まで駆け上がっていた左SB寺川正太郎(3年)が左足でゴールに叩き込んだ。

 大きな先制点。だが、直後に昨年から出場しているFW小林尚史(3年)が負傷のために交代するアクシデント。カウンター攻撃の起点となるエースを欠いて長い時間を戦うことになった。村木のミドルシュートやMF村山央太郎(3年)のスルーパスで抜け出したMF鮫島大希(3年)の決定的な一撃などを保善ゴールに浴びせたものの、相手GK永井勇吾(3年)の好守に阻まれて2点目を奪うことができない。

 保善は永井やCB黒岩蓮(3年)らが後方を支え、キープ力の高い10番MF近藤優名(3年)を中心に反撃。試合終盤にかけてセットプレーの数を増やし、国分寺にプレッシャーを掛け続けた。終了間際には右サイド後方のFKにMF佐々木春人(3年)らが決定的な形で飛び込むシーンもあった。それでも、国分寺はCB寺内大和(3年)やCB梅田悠平(3年)、GK大磯慶一郎(3年)を中心に全員で1点を死守して勝ち切った。

 元木明監督は「これまでの彼らだったらあっさりとやられていたところ。粘り強さは先輩たちから教えてもらった」と頷く。先輩たちの姿から学んだ強みを、東京8強入りをかけた一戦で発揮。先輩たちの“お陰で”出場した大会で、彼らは自分たちの力によって準々決勝への切符を掴み取った。

 昨年の選手権予選準決勝で先発している村木は「(新チームの)最初は一個上とのギャップがあって、苦労したところがあった」と明かす。練習の強度、意識の差があった。それでも元木監督の言う「一歩一歩の積み上げ」によって、彼らは粘り強く走り続ける力、守り切る力、そして得点を奪い切る力を少しずつ積み上げてきている。

 次は準々決勝で2連覇中の関東一と対戦。この経験は大きい。昨年の先輩たちは関東大会予選に出場することができず、インターハイ予選は支部大会で敗退。都内上位のチームとトーナメント戦で戦う機会は、選手権予選までなかった。そして、選手権予選は準決勝まで勝ち上がったものの、味の素フィールド西が丘で開催された一戦で国士舘高に0-2で敗戦。先輩たちが感じたのは経験の差だった。

 元木監督によると、結果を残した先輩たちは「三送会」で「(選手権予選準決勝で敗れた際に)痛感したのは経験の差。経験値を積むことが大事」と後輩たちにメッセージを送ったという。今秋、選手権予選で再び勝ち上がり、昨年敗れた準決勝で勝利するためには「経験」も大きな要素になる。それだけに、東京のベスト4を懸けた準々決勝で関東一と対戦する意味は大きい。「当たって砕けるくらいの気持ちでやっていきたい」と村木。もちろん勝つことを目指しながら、例え敗れたとしても必ず秋に繋がる試合、経験を積む試合をする。

(取材・文 吉田太郎)

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