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[関東大会予選]埼玉栄が「どうせ、昌平だろ」の声覆す!2度のビハインド取り戻し、延長戦で新人戦王者撃破!:埼玉

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延長後半5分、FW海津遼馬の決勝点を喜ぶ埼玉栄高の選手たち

[4.14 関東大会埼玉県予選2回戦 昌平高 2-3(延長)埼玉栄高 昌平高G]

 埼玉栄が昌平撃破! 2019年度関東高校サッカー大会埼玉県予選2回戦が14日に行われ、県新人戦優勝校の昌平高埼玉栄高が対戦。埼玉栄が延長戦の末、3-2で逆転勝ちした。埼玉栄は20日の準々決勝で武南高と戦う。

 埼玉栄の右SB井上孝太朗主将(3年)は「自分たちは昌平に勝つことを目標にしていないので、(昌平戦も)通過点という話をずっとしてきた。優勝を目指してきたので、まだまだ満足していないです」と言う。それでも、強敵を破った喜びは格別だった。100分間の死闘の末に勝利を決めると、サブ組が一斉にピッチへ飛び出し、まるで優勝したかのように歓喜を爆発させていた。

 対戦した昌平は2月の県新人戦4試合を計25得点無失点で優勝。前日の関東大会予選1回戦も18得点と圧倒的な力を示していた。日本高校選抜MF須藤直輝(2年)やFW小見洋太(2年)が怪我を抱えるなど万全ではなかったことは確か。だが、埼玉栄は昌平の指揮を執った村松明人コーチに「(埼玉栄は)守備のところでしっかりギュッとしてきた。やり方が上手かったです」と言わしめる戦いで、V候補筆頭に黒星をつけた。

 試合は立ち上がりから昌平がボールを握る展開。須藤やJ注目のMF大和海里(3年)が個人技で埼玉栄応援席をも沸かせていた。埼玉栄は7分にCKからのピンチを井上がゴールライン上でクリアしたが、12分に失点。昌平MF須藤が左サイドからドリブルでPAを攻略し、GKまでかわしかける。左中間にこぼれたボールを左SB大竹琉生(3年)が左足を振り抜き、最後はファーの小見が詰める形でスコアを動かした。

 埼玉栄にとっては痛恨の失点。個々の技術が高い昌平は、MF柴圭汰(2年)や日本代表FW鎌田大地を兄に持つMF鎌田大夢(3年)が少ないタッチでボールを動かし、小見が繰り返し相手の背後を狙うなど2点目を狙って仕掛けを繰り返す。だが、埼玉栄は可能な限りDFラインを高くしながら、ディフェンシブボランチのMF渡邊大祐(3年)やMF桑田祐輔(2年)らが中央の守りに人数をかける形で相手の得意なパス交換、ドリブル突破を防ぎに行く。そして井上、左SB中谷隼(3年)のロングクロスやCB久志本大地(3年)の好フィードから攻め返した。

 そして24分、縦パスに反応した10番FW大倉良太郎(3年)が、PAでDFと競りながらわずかに前に出て右足シュート。ポストを叩いたボールを「最初に1点取られて、もう1点取られる前に決めないと試合の流れが昌平に行ってしまうので、絶対に決めてやろうと思っていました」というMF藤巻大世(3年)が1タッチでゴールに押し込み、同点に追いついた。

 埼玉栄は縦への速い攻撃だけでなく、MF小山翔(3年)や大倉が絡んでビルドアップする部分も発揮。ワンツーなどコンビでの崩しやFW海津遼馬(3年)のカットインシュートなどにもチャレンジする。一方の昌平は大和が圧倒的なスピードで1人、2人とかわすシーンが前半だけでも3、4度あったが、埼玉栄は守備範囲広く守るCB石束駿典(3年)らが身を挺しての守りで決定打を打たせない。

 昌平は後半12分に怪我の須藤に代えてMF小川優介(2年)を投入。ここからボール支配をより高め、遅攻する回数が一気に増えた。ゆっくりとボールを繋ぎながら、じわりじわりと相手DFにプレッシャーをかける。そして攻守の切り替えの速さでも相手を圧倒。30分には、左サイドから仕掛けたMF紫藤峻(3年)がドリブルで打開し、大和がPAへ抜け出す。だが、埼玉栄はGK高橋彬人(3年)がコースを消して死守。“いつでも得点できる”ような雰囲気を醸し出しながら攻めていた昌平は、直後にも大竹がポスト直撃の左足ミドルを放った。

 苦しい時間帯となった埼玉栄だが、稲垣忠司監督が「選手は気合が入っていた。良いゲームができた。コーチがしっかりと分析してくれていた」と振り返ったように、試合開始時から気合十分で昌平に挑戦していた埼玉栄はサイドを破られても、中央で渡邊や石束がギリギリのところで足を出してボールを引っ掛けるなど食い下がる。そして、カウンターから交代出場の俊足FW岡田滉士(2年)や海津がスプリントしたり、MF鈴木湧大(3年)が打点の高いヘッドを繰り出すたびに応援席が大いに沸いていた。

 試合は1-1のまま延長戦へ突入。その前半3分、昌平は好キックを連発していた大竹が、右中間からの左足FKをクロスバー下側に当てながらもねじ込む。だが、埼玉栄は5分、海津の右FKから「海津くんのFKが自分のところに来ると思った。相手もデカくないので合わせれば勝てると思ったので頭にしっかり合わせて、GKもデカくないので上を狙いました」という久志本がGKの頭上を破るヘディング弾。2-2とする。

 そして、ピンチを凌いで迎えた延長後半5分、埼玉栄は連続攻撃から右の海津が強引に右足シュート。これが昌平DFのハンドを誘い、PKの判定となった。キッカーの海津が緊張のPKを右足で決めると、応援席からピッチサイドへ飛び出してきた控え選手たちとともにオレンジの大きな輪を作った。

 昌平は猛反撃に移るが、埼玉栄は時間を使いながら逃げ切り、3-2で勝利。新人戦は支部大会で敗退し、県大会に進むことができなかったチームが王者・昌平を破った。稲垣監督は「チャレンジャーという気持ちで臨めたと思う。選手が良くやってくれた」と語り、井上は「周りからは『どうせ昌平だろ』とか、『何点入るんだろう』という声があったので『何が何でも勝つ』という気持ちでした。全員が同じ気持ちで戦えたのがこういう結果になった。負けないチームを目指してやってきたので、きょうもそういう粘り強い戦いが出たんじゃないかなと思っています」と胸を張った。

 目標はあくまで関東大会出場権獲得、そして優勝。新人戦の敗退から負けないチームを目指してきた埼玉栄が、この日のような戦いを続けて埼玉のタイトルを獲得する。

(取材・文 吉田太郎)

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