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2年越しの挑戦で高校選抜入り果たしたGK松田の“リベンジ”はこれから

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日本高校選抜GK松田亮(東福岡高→東京国際大)は出場へ向けて準備に集中

 リベンジへ向けて、全力で取り組みを続ける――。欧州遠征中の日本高校選抜は現地時間20日、第57回デュッセルドルフ国際ユース大会2日目でブレーメン(ドイツ)、フランクフルト(ドイツ)と戦う。18日に行われたボルシアMG(ドイツ)との開幕戦を2-1で制している日本高校選抜は5チームで争う予選リーグ首位突破へ向けて大事な2連戦となる。

 20日のブレーメン戦とフランクフルト戦との間は約3時間半しかなく、その間に30分ほどのバス移動も入ってくる。それだけに、この2連戦が18人全員での総力戦となることは確か。GKでは初戦で好守を見せたGK飯田雅浩(青森山田高→国士舘大)に加え、GK松田亮(東福岡高→東京国際大)も準備を整えている。

 同大会はサブ組がピッチサイドのゴールとコーナー間でウォーミングアップをするシステム。開幕戦で松田は他の選手同様、すぐ近くにいる味方選手たちの集中を促し続けていた。チームは追いつかれても再び突き放す力を示して勝利。加えて、松田は大会2日目に向けて「『味方のミスするのも自分がしっかり言っていなかった自分の責任だと思え』と(監督の)朝岡(隆蔵)さんも言っていたので、(ピッチの)中でも外でもしっかり集中を切らさずにやって行く」と力を込めた。

 松田は福岡の名門・東福岡高で2年時からゴールを守る注目守護神だった。中学時代にFWからGKに転向してすぐにナショナルGKキャンプメンバーに選出され、U-16日本代表候補合宿にも招集された異色のGKだ。

 FW時代に磨かれた多彩なキックは、特にパントキックは十分に観衆を沸かせることができるもの。また高校3年時の選手権予選でPKを3本連続でストップしているが、瞬発的なシュートセーブや滞空時間の長い跳躍などポテンシャルは非常に高い。

 日本高校選抜では伊藤竜一GKコーチ(市立船橋高)の下、徹底的に基礎から反復してきた。伊藤GKコーチも彼の貪欲さを認めていたが、良いと思ったことをどんどん自分のものに。コーチ陣は荷物を率先して運ぶところなど、ピッチ外の姿勢も高く評価していた。

 松田は「(これまでの指導者にも成長させてもらったが、)伊藤さんから言われたことは自分のためになる。とにかく基礎から一番見つめ直せてこれたGKコーチだと思っている。しっかり受け入れる部分は受け入れて、自分が続けてきたものはしっかり続けるようにしていきたい。新しいことを取り込んで自分のものにしていくことは嫌いじゃないので、しっかり自分のものにできるものはして、身近なことから変えるようにしています」

 彼は昨年も日本高校選抜候補に入ったが、選考合宿でミスが増えてしまうなど落選。そこからまた1年間努力を続け、今回の欧州遠征メンバー入りを勝ち取った。ただし、デュッセルドルフ国際ユース大会初戦はベンチ。彼の“リベンジ”はまだ達成されていない。

「(正守護神としてプレーするという)自分の思い通りに行っていないというのがありますし、正直リベンジという立場、役を掴むことができていないので。そこはしっかりともらえるまで自分がやるべきことをやって行こうと思っています」

 高校選抜での目標は試合でチームの勝利に貢献すること、デュッセルドルフ国際ユース大会で優勝すること。2年越しで目指してきた舞台でピッチに立ってこそ、昨年の“リベンジ”だと考えている。初戦の先発は選手権優勝GKの飯田に譲ったが、遜色ない実力の持ち主は先発を勝ち取るために19日のトレーニングも意識高く臨んでいた。そして、GK練習でクロスから右足ダイレクトボレーを決めると、現地の見学者から「ニューストライカー!」との声も。もちろん、GKとしてもシュート、クロスへの準備から止める部分で力を発揮していた。

 派手なプレーが目立つGKでもあるが、常に口にしているのは自分だけの力では勝てないということ。チャンスを得た際には「自分がやるべきことは最低限絶対にやって、サッカーはみんなでやるものなので、全員で力を合わせて、自分たちは高校生の代表なのでそこはしっかりと責任を持ってやっていきたいです」と誓った。まずは変わらずに目の前のことにしっかりと取り組み、“リベンジ”の機会を掴んで仲間とともに勝つ。

(取材・文 吉田太郎)
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第57回デュッセルドルフ国際ユースサッカー大会公式サイト(別サイトに移動します)

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