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ライバルに「申し訳ないというようなプレーはしない」。日本高校選抜GK飯田が好守連発、“顔面セーブ”も

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前半7分、日本高校選抜GK飯田雅浩(青森山田高→国士舘大)がファインセーブを見せる。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[4.20 デュッセルドルフ国際ユース大会 日本高校選抜 1-1 フランクフルト]

 後半残り4分で痛恨の失点。だが、日本高校選抜GK 飯田雅浩(青森山田高→国士舘大)は、他にも4度はあった決定的なピンチをことごとく防いでチームに貴重な勝ち点1をもたらした。

 試合序盤、日本高校選抜はビルドアップでのミスから、フランクフルトにシュートまで持ち込まれた。特に7分のシュートはゴール右隅を捉えたが、飯田が横っ飛びでパンチ。「この遠征で伊藤(竜一GKコーチ)さんから弾く場所と強さを言われていた」GKにとっては、強く弾き出すことができなかったが、すぐに体勢を立て直して至近距離からのシュートを止めてピンチをを脱した。

 後半4分にはゴールを守ることへの責任感の強さを感じさせるプレーがあった。コースを突いてきたシュートに横っ飛びで反応すると、至近距離から放たれた相手の連続シュートを「ボールに行っても間に合わないと思ったので、ゴールラインに向かっていって、体のどこかに当たったらいいと思って」体ごと投げ出し、顔面でセーブした。

 その後、ゴール前に倒れ込み、脳震盪も心配された飯田だが、意識ははっきりとしていてプレー続行。19分にもゴール方向へのシュート性クロスを強くパンチして弾くなど好セーブを見せた。“顔面セーブ”の影響で少し視界がボヤケていたという飯田をコーチ陣が心配し、試合が一時止められたが、本人は「試合中、大怪我以外では絶対に代わることはないと思っている」と気迫のフル出場。ゴール正面からフリーで放たれたシュートで同点に追いつかれたものの、引き分けに持ち込んだのは飯田の好守に依るところが大きかった。

 それでも3試合で失点5という数字を守護神は納得していない。「合格点ではないなと思っていますし、試合数以下に抑えたいなとも思っています。自分のプレーができていないか、というとそうでもない。それでも、攻撃の部分やチームを動かすというところが足りていないのかなとも思いますね」。好守に満足することなく、課題をより改善してゼロを目指すだけだ。

 実力差のないライバルに“申し訳ないというような姿”は見せられない。今回、日本高校選抜に選出されているもうひとりのGK松田亮(東福岡高→東京国際大)は、飯田と遜色無い実力の持ち主だ。だが、今大会は3試合全てで飯田がフル出場。松田は謙虚にサポート側に回っているが、出場機会を得たいという気持ちは当然強い。

 飯田は「自分と亮はこの高校選抜で初めて会ったんですけれども、この1年、東と西で高体連を代表するGKという自覚もあったので、一緒にプレーしてみたいという気持ちの半面、亮とスタメンを争うのは凄く厳しい争いになると思っていました。今、自分が出れているのは、優勝チームのキャプテンというアドバンテージもあると思う。フラットに見られた時に、自分が勝っているかというとそう言い切れないでしょうし、亮も悔しい思いをしていると思うので、『亮にも申し訳ないというようなプレーはしない』ことを心がけている」。飯田の好守で勝ち点を積み上げていることもあって、GKを代えにくい状況になっていることは確か。その中で予選リーグ最終戦も先発の機会を得られれば、飯田はライバル・松田の分も責任感を持ってゴールを守り抜く。

(取材・文 吉田太郎)
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第57回デュッセルドルフ国際ユースサッカー大会公式サイト(別サイトに移動します)

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