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悔しさがエネルギーに。青森山田の注目レフティー武田、欧州最終戦で「出たら点獲ってやろうと思っています」

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日本高校選抜MF武田英寿(青森山田高3年)は最終戦でゴールを狙う

 暫く味わっていなかったような悔しさがエネルギーになっている。MF武田英寿(青森山田高3年)は、昨年度の選手権で青森山田高(青森)の日本一に貢献。今年に入って青森山田の新チームで10番と主将を任され、U-18日本代表に初招集されている世代屈指のレフティーは、日本高校選抜でも有力な先発候補として活躍してきた。

 国内最終合宿のVONDS市原戦、そして欧州遠征初戦のユトレヒト(オランダ)戦といずれも先制ゴール。結果も出して“本番”のデュッセルドルフ国際ユース大会を迎えただけに、予選リーグ4試合で先発フル出場1試合、試合終了間際からの出場が1試合に終わっている現状に悔しさを隠さない。

「攻撃の部分で(朝岡隆蔵)監督が考えているポジショニングというのは自分の中でも結構やれてきているのはありますし、自分のチームとかではあまり点を獲れていないですけれども、ここ(高校選抜)に来て点を獲れている。こっち来ても点を獲りたいと思っていた」。

 ポジションを争うFWバスケス・バイロン(青森山田高→いわきFC)やFW宮崎純真(山梨学院高→甲府)が、欧州相手に推進力や強さを発揮しているが、武田には別の持ち味がある。技術レベルの高さやアイディアの部分を評価されることも多い武田だが、本当の武器は質の高いポジショニング。「自分としてはスペースを見つけてフリーで受けることができているから、楽にプレーできているだけという感じでやっている。特別止めて蹴るが上手いというよりも、ポジショニングでやろうという考えです。ボールを回すところは考えながら、そこで相手を上手く引き出したり、剥がしたりということをやっています」。

 フル出場したブレーメン戦ではチーム唯一のゴールに絡んでいる。0-3の後半終了間際、バイロンからのパスがわずかにズレたが、武田は距離を詰めてきたDFの内側を通す形でWB 豊島基矢(青森山田高→順天堂大)へパス。これで余裕を持って前を向いた豊島のマイナスクロスからバイロンがゴールを決めた。

 この試合ではGKのファインセーブに阻まれたものの、高い壁の下側を狙う左足FKでゴールを襲い、左サイドから個人技でDF2人をかわすシーンも。特に前半は上手くボールを引き出して攻撃にリズムを生み出していた。だが、前半20分に先制されたチームは失速。武田にとっては、守備面で欧州と国内との差を感じる試合になった。

「守備のポジショニングの部分で日本とぼかす(パスコースを切る)距離が違ってきて、あえてそこに出させてから追おうと思っているけれど、相手が速くて逃してしまっていた」。一度リズムを崩したチームのビルドアップも終盤まで好転しなかったことで完敗。宮崎、バイロンが欠かせない存在になっているだけに、武田は出番を増やせていない。当初、先発落ちから切り替えられていなかったことは確かだが、現在非常にモチベーション高く、再びチャンスを得られればその悔しさを結果で晴らすつもりでいる。

「出たら点獲ってやろうと思っています」

 青森山田の前任の10番MF檀崎竜孔(現札幌)やCB三國ケネディエブス(現福岡)という1学年上の先輩が早くもJリーグでプレーしている姿は刺激になっている。進路にも注目の武田は、高いレベルの中でサッカーをして先輩たちを越えていきたいという考え。今回の高校選抜ではMF 秋山裕紀(前橋育英高→新潟)や宮崎というJリーガーからプロと高校生との違いを教わり、青森山田と朝岡隆蔵監督(前市立船橋高)の戦術の違いを学んだ。高校選抜の活動で得られている部分も多いが、このままでは終われない。デュッセルドルフ国際ユース大会最終日のエバートン(イングランド)戦で必ず点を獲って今後に繋げる。

(取材・文 吉田太郎)
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