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元Jコンビの“超攻撃策”的中…慶南キム監督「試合前に考えていた」

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DF関川郁万を苦しめたDFイ・グァンソン(写真右)

[4.24 ACLグループE 鹿島0-1慶南 カシマ]

 慶南FCのスイッチを入れたのは後半16分、残された交代カードを全て使っての配置変更だった。直後の同18分、それぞれポジションを変えていた元Jリーガー2人の動き出しから決勝点を奪取。対する鹿島アントラーズはそこから用兵に着手したが、反撃に出ることができなかった。

 慶南は後半18分、残された2枚の交代カードを全て使い、両サイドハーフの選手を総替え。最終ラインに入っていたDFイ・グァンソンを最前線に入れ、ボランチのMF邦本宜裕を左サイドハーフに移すという大胆な作戦を打ち出した。

 キム・ジョンブ監督によれば、これは「試合前に考えていたもの」だった。イ・グァンソンは192cmの身長を誇り、かつて所属した神戸や福岡でもパワープレー時に前線起用されていた選手。対応したDF関川郁万を「普通にやっても競り勝てない。高校生だと勝てたけど、プロの選手はでかいだけじゃない」と大いに苦しめた。

 また、邦本は「正直サイドはあまり好きじゃない」というものの、かつて浦和や福岡でプレーしていた時代から攻撃を持ち味としてきた選手。実際に後半18分、右サイドを攻めたMFジョードン・マッチのクロスがイ・グァンソンを超えると、ファーに飛び込んだ邦本が的確なシュートセンスで叩き込み、試合を決める先制点が入った。

「グァンソンが来ていたけど、高さを見て来るかなと思ったし、来るような予感がしていた。狙いどおりかと言われたら狙いどおりじゃないかもしれないけど、グァンソンが来てからこぼれ球を狙うのは練習している」(邦本)。そうした“勝負手”を活かしたゴールだった。

 一方、鹿島は失点時の後半18分、ようやく最初のカードでFW安部裕葵を投入。同26分にはFW山口一真を投入することで安部を右サイドに回し、同34分にはFW伊藤翔を投入してFWセルジーニョをボランチ気味に下げる布陣も採用したが、いずれの陣形でも攻撃の形を作れず。そのままタイムアップを迎え、今季のACL初黒星を喫した。

 試合後、慶南のキム・ジョンブ監督は「邦本がサイドや攻撃的なポジションに入って良い形を作ってくれた」と交代策に手応え。クラブ史上初のACL勝利について「鹿島はディフェンディングチャンピオンとしてアジアでの経験もあるが、CBが出場停止という状況で良い試合ができた。苦しい状況になったが、勝ててよかった」と喜んだ。

(取材・文 竹内達也)
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