beacon

[MOM602]法政大FW佐藤大樹(2年)_背番号20の継承者

このエントリーをはてなブックマークに追加

FW佐藤大樹のゴールで法政大が勝利した

[4.28 関東大学L第3節 法政大1-0順天堂大 味フィ西]

 スコアレスで迎えた終盤、試合を決める得点は法政大の新背番号20の左足から生まれた。後半42分、FW上田綺世(3年=鹿島学園高)の浮き球パスで裏を取ったFW佐藤大樹(2年=札幌U-18)がGKと1対1の状況を作り出す。

「自分はああいうボールが来たらワンタッチ目でボールの前に入って、シュートを打つ前にゴールパターンが何個か浮かんでくる。トラップした時は右足で打とうかと思ったんですけど、GKの左脇が空いているのが見えたので、左足で打ちました」

 冷静な判断で左足アウトサイドに当てたシュートは思い描いた通りの軌道を描く。後半24分より途中投入されていた2年生が、値千金の決勝ゴールを奪った。

 開幕戦に続く2ゴール目。1得点のエース上田を上回る、堂々チーム得点王だ。ただし大学2年生で鹿島への入団内定を決め、東京オリンピック代表のエース候補と期待される1学年上の先輩は永遠の憧れ。プライベートから食事に連れて行ってくれることも多いという「優しい先輩」は、「練習から質が高い。すべてにおいて負けている」と一目も二目も置く存在だ。

 そんな先輩から今季を迎えるにあたって、託されたものがある。上田が1年時から背負っていた背番号20を今季は佐藤がつけることになった。いずれはつけたいと思っていた番号だが、18番に変更となった上田から「お前がつけろ」と直接渡されたのだという。「本人から貰ったからには、貪欲にゴールを目指さないといけない。自分の持ち味を忘れずに、綺世くんのようにゴールをたくさん決められる選手になりたいです」。

 花の18年入学組。昨年、入学直前の全国高校選手権を優勝した前橋育英高の主将だったMF田部井涼や大会得点王のFW飯島陸ら錚々たる顔ぶれが同時に法政大の門を叩いた。しかし話題性は十分だったが大学サッカーの壁は厚く、特に前線の選手がレギュラー争いに食い込むことは容易なことではなかった。

 また筑波大に進んだ札幌U-18の同期のMF井川空は開幕戦からスタメン、GK櫻庭立樹もシーズン中にレギュラーを獲得するなど、結果を残していた。一方でプリンスリーグ北海道で14得点の得点王を獲得した実績を持っていた佐藤は、関東リーグ戦の出場はわずか2試合と、「納得のいかない結果」に終わってしまった。

「悔しかった」

 今年は「ゼロから取り組む」という意識改革からスタートさせた。結果、開幕戦で先発のチャンスをつかむと、チームは敗れたものの、PKで大学リーグ初ゴールを記録した。「自信になった」という開幕戦。その自信が第3戦での勝負所での冷静さに繋がり、希望通りのチームに勝利を呼び込むゴールを奪うことに成功した。

「周りに有名な選手がいて、練習から競争が激しい。自分は知名度的にはあまり知られていないですし、周りに刺激をもらう側でしたが、自分もやらないといけないという思いにさせてもらっている。あいつらがいるから自分も成長できている。筑波の2人にも負けないようにやっていきたいです」

 上田が入学後の法政大は一昨年の総理大臣杯を35年ぶりに優勝。昨年は大学選手権を42年ぶりに制すなど、古豪復活の道を進んでいる。背番号20は出世番号として継承していきたいところ。また今季はエース上田は今季は代表活動に多く時間を割くことが予想される。新背番号20には、より成長が求められることになる。

「綺世くんが代表活動で抜けるときは自分のチャンス。綺世くんがいない時にチームを勝たせられるような選手になっていきたい。プロで活躍するために自分を磨きたい。札幌にはやっぱり戻りたいという気持ちがあります。でも成長しないと簡単に戻れるものでもないと思うので、努力していきたいです」

(取材・文 児玉幸洋)
●第93回関東大学L特集

TOP