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[MOM606]立正大FW人見拓哉(4年)_強豪校から声がかからなかった“無名FW”が2戦連続ハット

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2戦連続となるハットトリックを記録した人見

[5.2 関東大学1部第4節 順天堂大0-3立正大 浦安]

 創部以来、初となる関東1部リーグ昇格をはたした立正大が好調だ。

 開幕戦では昨年度王者の早稲田大を3-1で下して鮮烈な“1部デビュー”。第2節で初黒星を喫したものの、第3節では専修大に4-0で勝利し、続く第4節でも3-0で順天堂大を退けた。

 4試合を終えて3勝1敗の勝ち点9、11得点2失点は“1部新入生”としては十分すぎる好成績といえるだろう。

 そんな好調・立正大のエースとして、2試合連続のハットトリックを達成したのがFW人見拓哉(4年=矢板中央高)だ。2度のハットトリックは、奇しくも“平成最後のハットトリック”と“令和最初のハットトリック”にもなった。

 足元の技術もさることながら、ゴール前では冷静な判断力が光るストライカーだ。

 この日の1点目は「相手が自分たちの深さに対してラインを下げたところに、右SBの鈴木(康孝・3年=矢板中央高)がボールを入れてくれた」と全体を見渡す視野の広さを活かし、絶好のポジショニングに飛び込んだ。2点目は局面での確かな判断力と技術で奪ったゴールだった。一度GKとの1対1を制したあと「GKがゴールのほうに戻るのが見えたけれど、逆サイドにはDFのカバーがなかったので」と、即座に切り返してゴールネットを揺らした。3点目はFW見原慧(4年=新潟西高)が相手のハンドを誘って獲得したPKだったが「3点目を取りにいけ、と譲ってくれました」。エースへの絶対的な信頼感が、2試合連続ハットトリックという偉業の達成につながった。

 実は前節の3得点は大学に入ってはじめてのハットトリック。それどころか「高校時代にも、公式戦でハットトリックをした覚えがない。1年生のときのLookie Leagueの開幕戦、高校2年のときの練習試合くらい」だと笑う。

 そもそも「高校時代は、いつも試合に出られるような選手ではなかった」という。高校卒業時に関東リーグに所属する大学から声がかかることはなく、悩んだ末に、高校のひとつ上の先輩である関岡亮太がいる立正大を選んだ。

 入学当時の立正大は東京都1部リーグ所属。しかも人見はトップチームに入ることすらできなかった。それでも関東2部リーグに昇格した2年時に、自身もトップチームに“昇格”すると「今度は1部に上がって、高校時代のチームメイトと対戦したい」という“プラン”を心に描くようになった。そのプラン通り、昨年には見事1部昇格をはたし、今季は1部の晴れ舞台に立った。

 リーグ戦前に負傷し、開幕戦は欠場したが、待ちに待った1部デビューは第2節の駒澤大戦。後半21分からの交代出場だった。相手チームの主将は高校時代のチームメイトであるDF星キョーワァン(4年=矢板中央高)。まさに“プランどおり”の展開となったが、結果はシュート1本も放つことすらできずに敗戦。「監督の信頼に応えられなかった」と唇を噛む。
 
 だが、その悔しさが次の試合で爆発した。第3節の専修大戦では自身の1部初ゴールとなる先制点を決めると、後半にも2得点を追加してハットトリックを達成。さらに第4節でも3ゴールを挙げ、現在6得点をマーク。得点ランキングのトップに躍り出た。

 しかし本人はいたって冷静だ。「3点をとっても、試合のプレー内容はまだまだ。ボールキープもできていないし、パスの成功例も低かった」と、課題を口にする。2試合連続ハットトリックについても「うれしいけれど、まだ目標に達したわけではない」と控えめだ。自身で設定した今季の目標は10得点。「去年は2部で6得点。10点を取れずに悔しい思いをした」ことから設定した数字を、まずは目指す。

 第4節を終え、立正大は筑波大、中大の首位グループを勝ち点1差で追う3位につけている。だが、今季のチームの目標であるインカレ出場のためには「もっともっと勝たないと」と人見。そのうえで「後期に駒大と対戦したら、今度はキョーワァンとしっかり競り合いたい」と、悔しい思いしか残らなかった旧友との対戦のやり直しに意欲を見せた。

(取材・文 飯嶋玲子)
●第93回関東大学L特集

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