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[MOM611]明治大MF瀬古樹(4年)_ぶっつけ本番のトップ下起用でゴール!

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控えの選手層も厚い明治大。レギュラー争いもまだまだ続く

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[5.11 東京都サッカートーナメント決勝 早稲田大0-2明治大]

 栗田大輔監督からの指示は意外だった。1点をリードした試合終盤、明治大はトップ下のMF持井響太(3年=滝川二高)を下げて、ボランチのMF力安祥伍(3年=広島ユース)を投入。そこでダブルボランチの一角だったMF瀬古樹(4年=三菱養和SCユース)のトップ下にポジションを上げるよう指示が出たのだ。

 練習ではボランチのもう一人であるMF安部柊斗(4年=FC東京U-18)がポジションを上げることはあったが、瀬古がトップ下に入ることはなかったという。ぶっつけ本番。しかし集中力を切らさずにいると後半アディショナルタイム、瀬古にビッグチャンスがやってくる。DF川上優樹(4年=矢板中央高)の落としで、DFの裏に抜け出し、GKと完全に1対1の場面を迎えた。

 緊張もなく、冷静に右足を振り抜けたという。GKの左側が空いていたこともしっかりと確認できた。得点が決まって歓喜の輪を作ったあと、リスタートと同時に試合終了。「決めることが出来てホッとした。時間も時間だったので、チームに力になれたのかな」。大学に入って公式戦初だという得点で試合を締めくくった背番号6は充実の汗をぬぐっていた。 

 厚い壁。明治大サッカー部に在籍する部員のレベルの高さは、大学サッカー界最高レベルにある。高校時代から有名な選手も多く、この日の試合でも4年前の高校選手権を沸かせたMF中村健人(4年=東福岡高)がベンチに控えていた。そんな中で瀬古ももまれてきた。昨年までボランチは大宮アルディージャに進んだMF小野雅史と安部が主力を成し、瀬古に出場機会が回ってくることはほとんどなかった。

 経験値のなさ。しかし今年のチームの不安材料のひとつでもあったが、今のところ感じさせることはない。だがこれは瀬古に言わせれば、「明治の固い守備を崩せない、伝統を繋いでいかないといけないというプライド」があるから問題ないのだという。その上にある「誰が出てもそん色なく戦えるのが強み」という仲間を信じることで生まれる自信。それが今年の明治大の安定した強さに繋がっている。

(取材・文 児玉幸洋)
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