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「橋岡の穴を感じさせない」菅原、小林、瀬古らU-20代表“00ディフェンス陣”の強み

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 U-20ワールドカップに臨むU-20日本代表は核だった一部主力が抜けたため、より一体感とまとまりが重要な状況になった。DFラインに関しては、橋岡大樹 (浦和)が直前の負傷でメンバー外。本職のセンターバックは瀬古歩夢(C大阪)、小林友希(神戸)、三國ケネディエブス(福岡)の3人となったが、瀬古の言葉は頼もしかった。

「今まで(橋岡)大樹に引っ張ってもらっているところも正直、多々ありました。大樹がいない中で、自分たち2000年生まれの3人がどれだけその穴を埋められるか。大樹の穴を感じさせないくらい、自分たちがプレーで引っ張っていきたい」(瀬古)

 橋岡不在の状況だからこそ、それぞれの自覚は増しているようだった。小林も「センターバックはリーダーシップが大事なので、2人がお互いにリーダーシップを取っていければ。どちらかがDFリーダーということはなく、協力してやっていきたい」と表情を引き締めた。今回は、センターバック3人を含むDF登録の7人全員が1学年下の2000年生まれで構成されている。

 そのうち4人は2017年秋にU-17ワールドカップで世界と渡り歩いた経験を共有している。同大会のフランス戦(後半)、イングランド戦の最終ラインは右から喜田陽(福岡)、菅原由勢(名古屋)、小林、鈴木冬一(湘南)。大会前の負傷で瀬古を欠いたため、菅原がセンターバックを担った。

「“00”のメンバーだけになって不安かといえば、今までずっとやってきた強みもある」と菅原が話せば、小林も「お互いにどういうプレーをするのかはよく分かっているので、コミュニケーションもやりやすいと思います」とポジティブに語った。

 W杯経験者たちは世界との差を感じたその2試合を振り返り、「悔しさを晴らしたい」とそれぞれが口にした。彼らにとって今大会はU-17W杯の“続き”。W杯の雪辱をW杯で晴らす位置付けであり、この1年半で世界との差をどれだけ縮められたのか、その成果を見せる場でもある。

 同大会のフランス戦はアミーヌ・グイリ(リヨン)の2発に屈したが、イングランド戦は個の力に圧倒されつつ、90分間を無失点に抑える死闘を演じた。菅原は1対1の強さを見せ、体を投げ出したスライディングで何度もピンチを救った。限界突破の走力でフィル・フォーデン(マンC)を抑えた鈴木が「今までで一番疲れましたね。食欲もなくなった」と話せば、喜田は「今までで一番長く感じた90分間だった」と振り返った。

 今回、メンバーに選ばれなかった当時の中心選手も「もうボールを受けたくないくらい、激しいプレッシャーが来た」と振り返るほど、プレスのスピード、球際の迫力に差はあった。それでも、組織的な守備で粘り、走り負けなかった。0-0のままゴールは遠く、最後はPK戦で敗れたが、5万3302人の大観衆の前で格上に負けなかった90分間は成功体験ともいえる。

 瀬古、東俊希(広島)の2人は負傷のためU-17W杯に出場できなかったが、そこに向かっていた“00ジャパン”の一員。森山佳郎監督がポテンシャルを高く評価し、U-17W杯に連れて行きたかった2選手でもあった。そうした土台に、FWからCBに転向した三國という192cmの“高さ”も加わった。

 主力を欠く逆境だからこそ一体感を持ち、DF陣は“オール00”の強みを発揮できるか。菅原は「あの試合があったから僕はここまで成長できた。またそういう試合がしたいし、もう2度と悔しい思いはしたくない。またW杯で戦える。しっかり日本のために走ります」と力強く言った。

(取材・文 佐藤亜希子)

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