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大成、6発発進。“真の挑戦者”となった新鋭が全国初出場に挑戦:東京

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大成高の攻撃的ボランチMF内田康平は中央突破などから攻撃に絡み、1ゴール

[5.19 インターハイ東京都1次予選2回戦 大成高 6-0 日大鶴ヶ丘高 実践学園高G]

 “真の挑戦者”となった大成が全国初出場に挑戦する――。令和元年度全国高校総体(インターハイ)「感動は無限大 南部九州総体2019」サッカー競技(沖縄)東京都予選1次トーナメント2回戦2日目が19日に行われ、大成高が日大鶴ヶ丘高に6-0で快勝。19チームが戦う2次トーナメント進出を決めた大成は、同2回戦(6月8日)で実践学園高と戦う。

 大成は昨年度の選手権東京都予選で同大会初のベスト4、決勝進出(準優勝)。今年の関東大会予選でも代表決定戦である準決勝まで進出した。いずれも1点差で惜敗したものの、昨年、今年と東京都の壁を破る間際のところに到達。数年前までは、ベスト16などで強豪相手に好勝負を演じながらも惜敗が続いていたが、先輩たちが積み重ねてきたものが力となり、現在は全国区のチーム相手でも名前負けせずに勝負できるようになってきている。

 帝京高でプレーしていた高校生時代に全国準優勝を経験している豊島裕介監督は「(今年の選手たちは)自信を持って、ビビってはいないです。負けてもいい(の姿勢で臨む)、ではなくなっています」と語る。徐々に結果を出していることで得た自信も大きい。挑戦者の立場は以前と変わらないが、格上の相手にあわよくば勝つというチームから、彼らはどの試合も全力で勝ちに行く“真の挑戦者”へ変化。昨年から先発メンバーの多くを残す今年、「謙虚に、隙を見せないチーム作りをやってきました」(豊島監督)という大成は、全国出場を本気で狙っている。

 そのインターハイ予選初戦は日大鶴ヶ丘と対戦。MF下造座悠太(3年)やMF渕沢愛斗(3年)を中心に徹底してボールを繋ぎ、最前線の大型FW嶋根礼斗(3年)や最終ラインから攻め上がりを見せるCB伊藤碧斗(2年)もアクセントに攻める相手に対し、大成は取り組んできたボール奪取からの切り替え速い攻撃で勝負を決める。

 前半8分、ロングスローのこぼれから右SB加藤竜吾(3年)が先制ゴール。さらに11分にはMF今西奏真(3年)の右CKを左SB丸山大哉(3年)が合わせて2-0。15分にもMF宮脇茂夫(3年)の左足FKがGKとクロスバーを弾いてこぼれ、これをFW平川優大(3年)が押し込んだ。

 相手ボールを奪うとMF内田康平(3年)やFW杉田健(3年)らが切り替え速く中央突破。内田は「自分は縦に行って勝負できる方。(奪った後、中央のスペース)そこはチャンスと言われていたので、ボールを獲ってからの切り替えの速さは意識して試合をしていました。スピード感を持って相手の嫌なところを突いて(前半に)5点獲れたのは大きかったと思います」。前半34分にはMF大石勇冴(3年)とのパス交換で中央を抜け出した今西がGKもかわして4点目。アディショナルタイムにも、宮脇が左サイド後方から蹴り込んだ左足FKをファーサイドの内田が右足ダイレクトでゴールに叩き込んで5-0とした。

 メンバーを入れ替えた後半は攻撃が停滞。日大鶴ヶ丘のボールを奪い切ることができず、ポゼッションされる時間が増えた。セットプレーやミスからピンチを迎え、決定的なシュートも打たれている。それでも相手のキーマンである嶋根にCB佐藤イライジャ(3年)が対応。また、CB金井渉(3年)が的確なカバーリングを見せて得点を許さなかった大成は後半23分、左サイドを突破した交代出場MF片原崇也(2年)の折り返しをFW尾崎元(2年)が右足1タッチで合わせて6-0で勝った。

 大成は準々決勝進出を懸けた次戦で、2年前に夏冬全国出場を果たしている実践学園と対戦。全国に出場するためには、インターハイ予選3連覇中の関東一高やプリンスリーグ関東所属の帝京などが待ち構える激戦ブロックを勝ち抜かなければならない。内田は「次は実践ですけれども、そこは全然ビビらずに、自分たちのサッカーをやっていく。勝ち上がっていけば、どんどん強い相手が出てくると思うんですけれども、奢らずに、自分たちが全国に出るという気持ちでやっていきたいと思います」と力を込めた。

 内田が「同じラインに立てるというつもりでやっています」と言い切る強豪との連戦。まだまだライバルを圧倒するだけの力はない。それでも、自分たちを見つめ直しながら強豪に近づく存在、“真の挑戦者”に成長してきた大成が今夏、東京の壁を突破する。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2019

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