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ユース取材ライター陣が推薦するインターハイ予選注目の11傑vol.3

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土屋氏が推薦するFW山本航生)(國學院久我山高)

特集企画「ユース取材ライター陣が推薦する『インターハイ予選注目の11傑』」

 ゲキサカでは、熱戦展開中の令和元年度全国高校総体(インターハイ)「感動は無限大 南部九州総体2019」サッカー競技(沖縄)都道府県予選の注目選手を大特集。「インターハイ予選注目の11傑」と題し、ユース年代を主に取材するライター陣にインターハイ予選注目の11選手を紹介してもらいます。第3回は(株)ジェイ・スポーツで『デイリーサッカーニュース Foot!』を担当する傍ら、東京都中心にユース年代のチーム、選手を取材、そしてゲキサカコラム『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』も連載中の土屋雅史氏による11名です。

土屋雅史氏「例年通りの流れではありますが、今回も取材させていただく機会も非常に多く、『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』でもテーマにすることの多い東京の総体予選二次トーナメントに臨む選手たちの中から、11傑を選出しました。こちらの縛りも昨年同様に“1チーム1名”と“過去にご紹介したことのない選手”。今回の全国総体は沖縄大会ということで、メディアや選手たちの間にも少しワクワクするような雰囲気が確かにあるような気がしますが(笑)、そんな南国の地で躍動する選手が、ここでご紹介した11人の中から現れてくれることを期待しています!」

以下、土屋氏が推薦する11名
GK冨田篤弘(帝京高3年)
「昨年のシーズン途中から大久保択生(鳥栖)や古島圭人(YS横浜)も託されてきた名門のレギュラーポジションを掴むと、好守を連発して選手権予選の決勝進出へ大きく貢献。最後は駒澤大高に屈したものの、新チームになって体感しているプリンスリーグ関東での戦いも含め、経験値の高さでは今年の東京の中でも群を抜いている。決して上背がある訳ではないとはいえ、山下高明GKコーチの下で磨き続けてきた実力はどのスキルも平均して高く、とりわけ何度も味方を救ってきた1対1になってからのシュートストップには定評がある」

DF原田大渡(駒澤大高3年)
「体の強さと突出したシュートセンスを買われてフォワードにコンバートされ、選手権でも全国の舞台でゴールを奪った男は、今シーズンから『正直ディフェンダーに戻るとはあまり思っていなかったですね』と話したように、本職のセンターバックへ“再コンバート”。その高さと強さはやはり都内でもトップクラスにあり、フォワードの気持ちも理解できたことで、一段階レベルアップしたディフェンダーになりつつある。ただ、本人は『もともと後ろの選手だったので、あまり違和感はないです』と今の役割をまっとうしているが、個人的にはあの得点感覚を考えると、最前線でのプレーを改めて見てみたい想いは隠せない」

DF田中大生(関東一高3年)
「1年時からサイドバック、サイドハーフ、ボランチと様々なポジションを高水準でこなしてきた田中が、キャプテンに指名された最終学年で託されるのはセンターバック。攻撃型のチームの中で「『もう後ろは大丈夫だぞ』と言って、前の選手に思い切りやらせている感じです」と頼もしいリーダー像を構築。持ち前の高いサッカーIQを生かしたカバーリングや正確なビルドアップで、体格のハンデを感じさせないプレーは安定感に溢れている。以前から小野貴裕監督は『サッカーの上手な子。感覚の良い子です』と高評価を与えており、どのポジションになっていくとしても、これから先のさらなる成長が非常に楽しみな選手」

DF馬場裕(多摩大目黒高1年)
「ルーキーながら早々に定位置を確保し、遠藤雅貴監督も『普段の練習から意識が高いので、いるだけで存在感があって頼れますね』と信頼を寄せるセンターバック。自ら『体を投げ出してプレーすることと、リーダーシップを発揮して、試合の中で誰よりも声を出すというのは自分のストロングポイントだと思います』と言い切るように、常にチームを引き締める声を出し続けられるメンタルは1年生離れしている。ちなみに憧れの選手はジェンナーロ・ガットゥーゾ。『体を張って泥臭いプレーをするのに、足元もあるので、そこも含めて凄いなと思います』と笑った顔は、まだまだ15歳のあどけない表情そのもの」

DF下田将太郎(東久留米総合高3年)
「久しぶりに関東大会出場を決めた“都立の雄”を率いるキャプテンは、『勝つために必要なことは何でもやっていきたい』と意気込むように、逞しいメンタルを携えたセンターバック。既に2年時から最終ラインの中央を任されており、『チームが沈んだ時に、自分の声で鼓舞できるように考えてやっています』とリーダーとしての自覚も十分だ。関東大会予選の準決勝ではセットプレーからヘディングでゴールを陥れるなど、大事なゲームでの持っている男ぶりも証明済み。『強い代とは言われてこなかったんです』と語った今年の東久留米総合を攻守両面で引っ張る覚悟はできている」

MF藤井一志(東海大高輪台高3年)
「『人としても素晴らしいし、プレーも素晴らしいし、あの子はタマがちょっと違うと思います』と川島純一監督も絶賛するキャプテン。右サイドバック、ボランチ、右ウイングなど複数ポジションを兼任しつつ、入学早々から2年半に渡って主力を担ってきた。自ら語るストロングポイントは『ボールを持った時の推進力のある仕掛け』。フィジカルと技術の結び付いたドリブルは、サイドでも中央でも高輪台の重要なアクセントになっている。前所属はヴィッセル神戸伊丹U-15。当時のチームメイトで、既にルヴァンカップでベンチに入った山内翔(ヴィッセル神戸U-18)を意識しており、『早く自分も追い付けるようにと思っています』と一層の成長を誓う」

MFブワニカ啓太(修徳高2年)
「『自分は他の人と比べて足がちょっと長めで、届く範囲がいろいろあるので、それを武器にいつも戦っています』。ウガンダ人の父を持つハードワーカーが強豪校で頭角を現しつつある。松戸第六中時代はバレーボール部と迷って、結果的にサッカー部を選んだような選手だったが、修徳に入学してからスイッチが“オン”に。いろいろなポジションを試された中で、今はボランチにトライ。『エリート系じゃなくて、泥臭く走るみたいな感じのタイプなので、がむしゃらに走って、守備も頑張ってみたいなプレースタイル』と自ら分析するプレーには、辛口の岩本慎二郎監督も『職人肌だよね。よく走れるし、競れるし、マジメにできるし』と太鼓判を。修徳の復権はブワニカの躍動と共にあるのかもしれない」

MF宮脇茂夫(大成高3年)
「都内屈指のレフティは、昨年から司令塔として中盤で圧倒的な存在感を披露。ドイスボランチの右側を担当することが多いが、視野を確保するポジショニングも絶妙で、個性溢れるアタッカー陣を得意の左足で操りつつ、正確なプレースキックに加え、ゲーム全体をコントロールする力も兼ね備えるなど、トータルバランスに優れた好選手だ。チーム自体も昨年度の選手権予選で準優勝、関東大会予選でベスト4と確実にブレイクスルーの時を迎えており、その中心に君臨するこの8番がより輝く時に、悲願の初タイトルが見えてくる」

FW恒川俊輔(日大豊山高3年)
「『ゴリゴリ行くしかないですね(笑) それができなくなったら終わりって感じです(笑)』と明るく話す笑顔が印象的。確かに“ゴリゴリ”が彼の特徴ではあるものの、『恒川みたいな選手がいると、後ろも自信を持って中に付けられる』と海老根航監督も評した通り、体幹と気持ちの強さを存分に生かしたポストワークも、攻撃時の欠かせないポイントに。自身は『あまり点を取るタイプじゃないんですけどね』と言いながらも、T3(東京都3部)リーグ開幕戦や総体予選の一次トーナメント決勝でも得点を挙げるなど、勝負強さも身に付けつつある。今年の日大豊山は周囲からの評判も非常に高い。大物を食い続けるためには、この9番のゴールと笑顔が必要不可欠か」

FW吉長真優(成立学園高3年)
「テクニックに優れた選手が揃う成立学園で、1年時からメンバー入りを果たしてきた逸材が、いよいよ最高学年になって主力としての自覚を前面に打ち出し、チームを牽引している。今までは左サイドを務めることが多く、縦に仕掛ける形とカットインを巧みに使い分けていたが、今年はよりゴールに近い位置取りを任されるように。ツエーゲン金沢でプロの道を歩み出した窪田稜の背中を見続けてきた彼が、どれだけ決定的なシーンに絡めるかが『自分たちでボールを握ってサッカーをやりたい』と太田昌宏監督も掲げるスタイル結実のカギを握ってくることは疑いようがない」

FW山本航生(國學院久我山高3年)
「驚異的な覚醒と言っていいだろう。関東大会予選の5試合とT1(東京都1部)リーグの4試合。新チームになって、ここまでの公式戦9試合すべてでゴールを記録。昨年まではウイングや3トップ下を担当していたが、『自分の中で武器はシュートを打つことだと思っていて、どんな体勢でもシュートを打てる自信はあります』と口にする山本航生は、ストライカーとして目覚ましい進化を遂げている。もともと小学6年の時に初めて見た久我山のサッカーに衝撃を受け、その段階で進学を決意していただけに、『見ている人が楽しめるような攻撃的なチーム』へのこだわりも強い。彼がゴールを奪い続ける限り、間違いなく久我山も勝ち続けるはずだ」

■執筆者紹介:
土屋雅史
「(株)ジェイ・スポーツに勤務。Jリーグ中継担当プロディーサーを経て、『デイリーサッカーニュース Foot!』を担当。群馬県立高崎高3年時にはインターハイで全国ベスト8に入り、大会優秀選手に選出。ゲキサカでコラム、『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』を連載中。著書に「メッシはマラドーナを超えられるか」(亘崇詞氏との共著・中公新書ラクレ)。」
SEVENDAYS FOOTBALLDAY by 土屋雅史
●【特設】高校総体2019

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