beacon

3分間で逆転2発!!芸術ループの伊藤翔「右足で浮かす選択肢しかなかった」

このエントリーをはてなブックマークに追加

FW伊藤翔は右足アウトサイドでボールを浮かし、決勝点を決める

[5.22 ACLグループリーグ第6節 鹿島2-1山東魯能 カシマ]

 電光石火の2ゴールでチームを逆転勝利、そして決勝トーナメント進出に導いた。引き分け以上が自力でのグループリーグ突破の条件だった鹿島アントラーズだが、前半11分に先制を許す展開。引いて守りを固める山東魯能(中国)を攻めあぐね、前半を1点ビハインドで折り返したが、ベンチで試合を見守っていたFW伊藤翔には「攻撃に手詰まり感はなかったし、90分間の戦いで見たらいずれ点は入るだろうと思っていた」と焦りはなかった。

 後半18分、ピッチに投入されると、わずか5分後だった。MFレオ・シルバの左CKをニアでDF山本脩斗がそらし、相手選手がクリアミスしたこぼれ球を伊藤が右足で押し込んだ。出場から5分で試合を振り出しに戻すと、さらにその2分後、カウンターから中央をレオ・シルバがドリブルで持ち上がり、オフサイドラインぎりぎりで駆け引きする伊藤に絶妙なタイミングでラストパス。正確なトラップでボールを前に運んだ伊藤は飛び出してきたGKの動きをよく見て、右足アウトサイドでボールを浮かし、鮮やかなループシュートでゴールネットを揺らした。

「(レオ・シルバが)いいボールを出してくれたし、コントロールもうまくいった。(相手DFの)タックルも来ていたけど、右足で打てば当たらないと思った。左足なら当たっていたかもしれないけど、右足で浮かす選択肢しかなかった」。ACLでは3月12日にアウェーで行われた山東魯能戦(△2-2)で2ゴールを決めて以来の得点。リーグ戦を含めても3月17日のJ1札幌戦(○3-1)での2ゴール以来、公式戦約2か月ぶりの得点となった。

「前にいつ(点を)入れたか覚えてない」と冗談交じりに苦笑いした伊藤。リーグ戦は開幕から10試合連続で先発していたが、直近の2試合はベンチスタート。「体の状態、足の状態が芳しくなかった。この2試合ぐらい休ませてもらって、体も足も良くなってきていたので、自分のゴールで勝利に貢献したい気持ちがあった」。この日も途中出場となったが、限られた時間の中で値千金の2ゴール。チームをグループリーグ敗退の危機から救った。

 6月18日、25日に行われる決勝トーナメント1回戦では広島と対戦する。ラウンド16での日本勢対決に「ACLという大会でこの段階で日本のチームと当たるのはもったいない」と残念がったが、アジア連覇に向けて乗り越えていかなければならないハードルの一つには違わない。「去年、自分はいなかったけど、このチームは2連覇を合言葉にやっている。一戦一戦突き進んでいくだけ」と力を込めた。

(取材・文 西山紘平)
●ACL2019特設ページ

TOP