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[MOM614]桐蔭横浜大FW山田新(1年)_川崎F産ルーキーのデビュー戦ハット、次戦はFC東京

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ハットトリックの活躍をみせたFW山田新

[5.25 天皇杯1回戦 桐蔭横浜大8-0山形大医学部 BMWス]

 桐蔭横浜大の期待のルーキー、FW山田新(1年=川崎F U-18)が、天皇杯でトップチームデビュー。次々とゴールを決め、勝利に大きく貢献した。

 出場を言い渡されたのは、前半終了間際。FW篠原友哉(2年=関東一高)が負傷し、「心の準備はできていたけど、体のほうは全然」という状態でピッチに送り出された。普段は大学サッカーの教育リーグにあたるIリーグでプレーしているが、ここ2試合で4得点をマーク。調子を上げてきていた。だが「できるだけ長い時間プレーさせたいと思っていた」という安武亨監督だったが、この時間帯での投入はさすがに想定外だった。

 しかし後半15分、コーナーキックから展開したボールを、ペナルティエリア内で上手く収めると、そのままシュート。前半ですでに3-0とリードしていた桐蔭大だったが、山田のゴールで点を重ねて山形大医学部を突き放す。

 さらに後半27分には、左サイドからペナルティエリアに切れ込んだFW楠大樹(1年=桐生一高)のパスに「利き足ではない左足」のヒールで流し込む。終了間際の後半アディショナルタイム2分にもFW寺沼星文(1年=FCトリプレッタユース)のパスを受けてクリーンシュートを突き刺した。終わってみれば、桐蔭大は山田のハットトリックを含む、大量8得点を挙げて快勝を収めていた。

 ハットトリックには本人も「驚いた」というが「本番には強いところがある」と自身を評する。「まずは守備から入ろうとは考えていたが、チャンスがあればゴールを狙おう」という気持ちも忘れなかった。3ゴールはいずれも、「DFとの駆け引きの部分で、自分の得意とする部分が出せた」と手応えを感じた様子。

 安武監督は「もっとゴリゴリ抜いてくるタイプなので、今日みたいなゴールはちょっと意外だった」と笑いながらも、期待に応えて結果を出したルーキーに満足顔だった。しかし一方では「今日は、後半になってから相手の足が止まってきたのでうまくいったが、1対1ではまだまだの部分もある」と課題を挙げることも忘れない。「持ち前のスピードに、体の強さと決定力がともなえば、もっといい選手になるはずだ」。

 鮮やかなトップチームデビューを飾った山田だが、しばらくはトップチームの主戦場である関東大学サッカーリーグ戦ではなく、Iリーグでプレーをさせるつもりだという。「まずはIリーグで、試合経験を積ませることを優勢して鍛えたい」と安武監督。そして「いずれは、この代(1年生)のエースにしたいと考えている」と期待を寄せる。

 本人は「4年後には、川崎フロンターレに戻れるような選手になりたい」と古巣への帰還を熱望。そのためにも「どんな状況でも点を取れるよう、得点力に磨きをかけないと」と意気込む。次の対戦相手はJ1首位を走るFC東京。Iリーグで着々と経験を積む桐蔭大の”秘蔵っ子”が、プロ相手にどこまでその成長を見せられるか。

(取材・文 飯嶋玲子)
●第99回天皇杯特設ページ

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