beacon

[MOM2881]高知FW楠瀬海(2年)_「エゴイストに」の助言得て変わった2年生FW、後半ATの鮮やかな一撃で全国導く!

このエントリーをはてなブックマークに追加

後半アディショナルタイム、高知高FW楠瀬海が右足で決勝ゴール

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[5.27 インターハイ高知県予選決勝 高知高 1-0 高知中央高 春野運動公園球技場]

「エゴイストになりなさい」のメッセージを受けてストライカーに変わった2年生が、劇的な決勝点を決めた。0-0で突入した後半アディショナルタイム、高知高は右CKのクリアボールをPA外側でコントロールしたFW楠瀬海(2年)が、右足を振り抜く。

「練習で全く同じ感じのシチュエーションが一回あって、そのシュートを決めていたので、同じ蹴り方で打ったら入りました」。咄嗟にストレートではなく、アウトにかけて落とすようなシュートを選択。イメージ通りに放たれたボールが、ゴール左上隅を破った。

 背番号9は非常に落ち着いて放ったシュート同様に、決めた後も冷静な立ち振る舞い。右手を突き上げた後は「嬉しかったんですけれども、抑えていたという感じです」。興奮を抑えてすぐに試合に戻り、1分後に試合終了の笛が鳴ると、素直に先輩たちと喜びを分かち合っていた。

 先発で唯一の2年生。元々中盤の選手で見る力に自信を持つ楠瀬は、シュートチャンスでもより良い状態の選手を探してそこにパスを出すことができる選手だ。その楠瀬に対し、高橋秀治監督は「エゴイストになりなさい」とアドバイス。チャンスで遠慮して3年生にパスを出するのではなく、ストライカーとして自分が決めるんだ、という責任感も持たせようとした。

 その言葉は本人の心に響き、前日の準決勝で楠瀬はサポートする味方3人がフリーの状況でもシュートを打ち切ってゴール。この日も勝負どころで迷わずに右足を振り抜き、そのスキルの高さを感じさせる一撃でヒーローになった。

「ボクが2年生で一番前をやらせてもらって、ストライカーとしての気持ち、プライドもあるのでシュートを打てるところは打ちたいですし、3年生に譲った方が確率が高いのであれば譲りますけれども、自分が打てるならばFWなので打ちたかったですね」

 FW転向後、ドリブルのスキルも向上。より周囲に信頼してもらえるように、1本を決めきる力を身に着けたいと考えている。「FWなので決めれる選手になりたいし、中盤もサイドもどこでもできるような選手になりたいですね。(憧れは)デ・ブライネとか。前もできるし、守備もしっかりできるし、シュートもできる。そんなに選手になりたい」。全国での活躍次第では注目度を高める可能性も十分にある2年生が、よりレベルアップして全国の強豪相手にも個の力で勝負。そして、必ずゴールを奪う。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2019

TOP