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先発抜擢組が活躍!積み重ねてきた粘り強さ、自信も発揮の北越が前回王者・新潟明訓撃破!:新潟

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前半14分、北越高FW庄内碧が勝ち越しヘッド

[6.1 インターハイ新潟県予選準決勝 北越高 3-1 新潟明訓高 五十公野公園陸上競技場]

 北越が12年ぶりの全国出場に王手――。令和元年度全国高校総体(インターハイ)「感動は無限大 南部九州総体2019」サッカー競技(沖縄)新潟県予選準決勝が1日に行われ、12年ぶりの全国出場を目指す北越高が前回大会優勝の新潟明訓高に3-1で勝利。北越は2日の決勝で日本文理高と戦う。

 就任5年目の北越・荒瀬陽介監督は「今までだったら、最後崩れていた。粘る、やらせないは現在のウチの良さだと思う」と語っていた。インターハイ出場2回、選手権出場5回の北越は09年度の選手権出場を最後に全国から遠ざかり、近年は県決勝に進む前に惜敗することの連続。だが、昨年度の選手権予選で荒瀬監督就任から初めて県決勝まで勝ち上がった。

 判断しながら全員で攻めて、守って、ハードワークする部分とともに、粘り強く戦う部分の積み上げが一つの要因。また、荒瀬監督は「(以前は準決勝まで勝ち上がっても)自分たちのやり方ややってきたことを信じられないところがあったかもしれない。それが臆することなく、自信がついてきたと思う」と自信の部分の影響も口にしていた。この日、自信を持って戦った前半に先発抜擢組の活躍もあって3ゴール。後半は守勢へと一変したものの、着実に身に着けてきた粘り強く戦う部分を発揮した北越が凌ぎ切り、秋夏連続で県決勝へ勝ち上がった。

 前半10分、北越はMF浅野俊輔(3年)の展開から右サイドへ抜け出したMF加藤雅久(2年)が、エンドラインギリギリの位置で身体を投げ出してクロス。これを今大会初先発のFW五十嵐翔(3年)がダイビングヘッドで合わせて先制点を奪う。

 五十嵐は「普段は全然ベンチスタートとかなんで緊張もあったんですけれども、初めてスタメンだったので決めてやろうという気持ちがありました。いいボールを上げてくれたので気持ち込めて打とうと思った。(体ごとボールに行ったが)最後は気持ちかなと思って」とコメント。彼の「鳥肌立ちました」というゴールでスコアを動かした。



 新潟明訓は失点の3分後、MF藤田梢紘(3年)の右FKを180cmCB竹内豊(2年)が豪快なヘディングシュートでゴールに叩き込んで同点。だが、北越は失点直後に奪い返す。ショートパスを繋いで左サイドへ展開すると、2年生の長身ドリブラー・MF安藤颯士がDFのマークを外して右足でクロス。これを中央のFW庄内碧(3年)が、DFの頭上から頭で撃ち抜いてゴールを破った。

 ボールの握り合いとなった前半は、中盤の攻防戦で主導権を握った北越のペースに。加藤がボールに多く絡んで動かし、トップ下の五十嵐やMF三島旭陽(3年)がギャップで受けてオープンスペースへ展開する。そこへ50m走5秒9の快足SB藤吉玲依主将(3年)が走り込み、安藤のキレのあるドリブルやコンビネーションでの崩しも交えて相手にプレッシャーをかけた。

 24分には先発復帰した左SB土田永遠(3年)の左足クロスがファーサイドのポストを叩いてゴールイン。その後も安藤のカットインシュートなどで攻める北越に対し、新潟明訓も10番MF田中想人(3年)のスルーパスがPAのFW阿部凛太郎(3年)に通るシーンがあったが、北越は決定打を打たせない。

 新潟明訓は後半開始からボランチにMF高橋祥太(3年)を投入して流れを変える。相手を見て、判断しながらボールを前進させる中で、特にプレー判断と技術の高さ光るMF高橋一誠主将(3年)が存在感。7分にインターセプトした高橋がそのままPAへ切れ込み、10分にはMF反町太郎(3年)の右クロスがゴール前の阿部に入った。

 ただし、ややゴール前での大胆さが欠けていた部分もあった新潟明訓はPAまでボールを運びながらシュートチャンスを逸するシーンも。一方の北越は藤吉のスピードを活かしたカウンターからクロスにまで行く場面こそあったが、全体的に前に行くのか、2点リードを守るのかの判断が曖昧でボールを繋ぐことができない。

 後半20分以降は交代出場の下級生たちも絡んでボールを動かす新潟明訓に飲み込まれかけていた。それでも荒瀬監督が「今まで出ていなかった子が良く頑張ってくれた」と評したCB棚橋怜央(3年)やチームリーダーの藤吉、CB下間蔵之介(2年)、183cmGK平山颯太(2年)がゴールを死守。相手のパワープレーも跳ね返した北越が決勝へ駒を進めた。

 藤吉主将は今年の北越について、「去年に比べると、一人一人の個人の強さは落ちているんですけれども、やっぱり全員が走るとか気持ちの面とか強いと思う」と分析する。2日の決勝では選手権予選で逃したあと1勝に再挑戦。今年は、これまでルーキーリーグやフェスティバルも含めて2位続きだったという代だが、「歴史を作れれば良い」(藤吉)、「試合の入りから集中して出たら試合を決めてやるという思いをもってやりたい。ゴールを決めて勝利に貢献したい」(五十嵐)という意欲を持って決勝に臨む。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2019

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