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[MOM617]日本体育大FW飛鷹啓介(3年)_3戦連発、初ハットの“絶賛売り出し中FW”

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ハットトリックを決めたFW飛鷹啓介

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.1 関東2部第8節 東京国際大2-3日本体育大 東総]

 最終的には3-2と接戦になった東京国際大戦。日本体育大に勝利を引き寄せたのは、FW飛鷹啓介(3年=JFAアカデミー)の3ゴールだった。

 いずれのゴールも飛鷹のポジショニングは抜群。1点目は、左SB稲積大介(4年=滝川二高)のクロスにドンピシャのヘッド。2点目はゴール前の混戦のこぼれ球に詰め、3点目はGKが弾いたボールをそのまま頭で押し込んだ。

「ゴールをすぐに決められる位置取りは、常日頃から意識しています。それが形になってよかった」

 3試合連続ゴール、そして自身リーグ戦となる初ハットトリックを達成。2部リーグ得点ランキングトップに躍り出た男は、胸を張ってそう答えた。

 昨季はわずか2試合の出場に終わったが、今季はスタメンの座を勝ち得てリーグ戦初となる開幕戦ゴールも挙げた。しかし続く2試合はノーゴールで、ついに第4節からはベンチを温めることに。「もう一度、自分自身と向き合ってほしかった」という矢野晴之介監督の配慮が奏功し、スタメン復帰したのは第6節。以降、第6節に1ゴール、第7節は2ゴール、そして3試合目となるこの試合では3得点と、着実にゴールを重ねている。

 実はもともとはボランチだった。FWに転向したのは、高校3年生のとき。JFAアカデミーで1トップをやったことをきっかけに、「点を取ることの楽しさに目覚めた」と笑う。「日体大ではFWを極めようと思った」が、昨年までは決定機を決めきることができなかった。「昨年、出場した試合でもビッグチャンスがあったのに、それを外してしまった」。そう語る指揮官だが、今年の評価は違う。「得点への嗅覚がある。セカンドボールにもきちんと詰めているし、最後まで集中しているのがわかる」と上々だ。

 飛鷹自身は昨年との違いを「90分間、常にゴールを意識しているから」とシンプルに答えた。去年もゴールを狙ってはいたが、「下の位置に降りて、自分からボールをもらおうとしていた。ボールをもらっていいプレーを見せようとしていたのだと思う」と振り返る。けれど今年は「FWは点を取ることが仕事」と、強い気持ちで試合に臨むようになった。点が取れずにスタメンから外された2試合の期間も、その考えはブレなかった。「外されたからといって、自分のプレーを変えてしまったら昨年と同じ。常に得点を狙うという姿勢を崩さず、練習試合でもゴールを狙って結果で示すしかないと思っていた」。

 2トップを組むFW山下諒也(4年=磐田U-18)との関係性も好調の要因のひとつだ。「互いの特長を活かし合っている」と矢野監督が言えば、飛鷹も「諒也くんが裏に走り込んで、自分がその下のスペースを使う。自分が相手を食いつかせた裏のスペースを、諒也くんが使うこともある。タイプが違うからいい関係性で動けていると思う。自分が点を取れているのは諒也くんのおかげ」と絶大な信頼を寄せる。

 だが、その山下も今月半ばには教育実習でチームを離れる予定だ。リーグ戦はこの試合を最後に中断期間に入り、翌週からは夏の全国大会・総理大臣杯出場を懸けて32チームが戦う『アミノバイタルカップ 関東大学サッカートーナメント大会』が始まる。

 日体大ではこの時期、ほとんどの4年生が教育実習に向かうため、『アミノバイタルカップ』は3年生以下中心で戦うことになる。山下をはじめ、4年生がいないこの大会こそ、飛鷹のストライカーとしての真価が問われる大会になるだろう。大学では全国大会を経験したことがない“絶賛売り出し中”のFWが、全国区になれるかどうかの分岐点に立つ。

(取材・文 飯嶋玲子)
●第93回関東大学L特集

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