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「呼ばれる立場ではない」からの再挑戦、36歳GK川島永嗣「ゴールの前で見せる」

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GK大迫敬介に笑みを向ける日本代表GK川島永嗣(ストラスブール)

 窮地を幾度となく救ってきた守護神が日本代表に帰ってきた。ロシアW杯以来の代表復帰を果たしたGK川島永嗣(ストラスブール)は「チームでの状況は厳しいものだったし、呼ばれる立場ではないと思っていた」と正直な心情を吐露。それでも36歳の挑戦を有意義なものとすべく、変わらぬメンタリティーで日の丸を背負うつもりだ。

 ロシアW杯を終えて前所属のメスからストラスブールへ移籍。「チームでの状況は厳しいものだった」と認めるように、決して望ましいシーズンではなかった。公式戦出場は最終節の1試合だけで、ベンチ入りも10試合。今回の代表招集もある種の「サプライズ」という扱いだ。

 ただ、森保一監督は2010年の南アフリカW杯、14年のブラジルW杯、18年のロシアW杯で正ゴールキーパーを務めてきた経験を評価。「プレーの面でチームに貢献することがまず第一だが、彼らが持っている経験というものを、プレーとピッチ内外のコミュニケーションで経験が浅い選手に伝えてもらえれば」と期待を込めて抜てきに至った。

 しかし、川島自身はサポートに徹するつもりはない。GK川口能活、GK楢崎正剛と比較する声を「荷が重い気がしますが……」とさらりとかわせば、「経験を伝えることの前に自分が今までやってきたことをゴールの前で見せることが大事」とキッパリ。アドバイザー役はあくまでも付随的な役割だと捉えている。

 だからこそ、この場所に変わらぬ想いで帰ってきた。「情熱はまったく変わっていないし、自分の中での目標もまったく変わっていない。監督が求めるものはあると思うが、こういう場所に呼ばれた以上は自分自身がまずアピールすることは変わらない」。大事なのはピッチでのパフォーマンス。1年ぶりのA代表89試合目を貪欲に狙いに行く姿勢を強調する。

 ただ、川島がそうした姿勢を見せることが周囲に良い影響を与えるのも間違いない。今回の合宿ではGK大迫敬介(広島)が初選出。19歳の台頭を「そう言われると(年が)離れているなと思うけど、自分の中では全然」と冗談交じりに受け入れつつ、「僕が19歳の時よりも技術はしっかりしている」と太鼓判も。大先輩の姿勢を見て学ぶものはあるはずだ。

「日本代表は年齢関係なく、サッカー選手にとって憧れの場所。こういう場所に関われるのは光栄だし、幸せは感じているし、生まれ育った国のために貢献したい思いは今までも持っていたし、これからも変わらない」。生まれ変わったサムライブルーに加わった36歳の守護神は、自らのキャリアを広げるためにも、後進の台頭を煽っていくためにも、これまでどおりに日本のゴールを守り続ける。

(取材・文 竹内達也)

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