[6.5 インターハイ熊本県予選決勝 大津高 1-0 熊本学園大付高 熊本県民総合運動公園陸上競技場]

　大津高のキャプテンはコーチ陣から認められるリーダーだ。平岡和徳総監督は「ウチは濃野がしっかりしている。頭も良いし、気持ちも持っている」と語り、古閑健士監督も「濃野というキャプテンが良くまとめている」とコメント。プレミアリーグWESTで2位につけるなど好調なチームをリーダーとして牽引しているのが、MF濃野公人主将(3年)だ
　
　濃野は選手権でも短い時間でテクニックを示した注目アタッカー。脛の疲労骨折によって新人戦を欠場したが、プレミアリーグ開幕前に復帰すると、プレー、そして精神面でも大津の力になっている。

　今大会は試合後に宿舎でミーティングを重ね、チームの課題を次の試合で改善することを目指してきた。プレミアリーグの対戦相手とは全く異なる相手。プレスをかけてくるタイミングも違い、大会当初は慣れない部分もあったというが、古閑監督は出た課題が次の試合では必ず改善されていたと説明する。

　これは選手たちがこだわって、時間をかけて話し合ってきた成果だ。濃野は「去年よりも個がない分、チームで戦うところをしっかり意識してやっています。宿舎でのミーティングだったりは本当に時間をかけて徹底してやりました」。時には語気を強くして指摘することもあったという濃野だが、ポジティブな声がけを増やしてチームを盛り上げてきた。そして熊本制覇。まとめ役としてチームに貢献するMFは今後、プレーでもよりチームにプラスアルファをもたらすつもりでいる。

　今大会は怪我に苦しみ、この決勝も前半のファーストプレーで膝を負傷。その中でも鋭いドリブルなどを見せていたが、思うように走れずに後半27分に交代した。チームに迷惑をかけたと感じているだけに、全国大会では「コンディションをしっかりと整えて、本来の自分の良さというものを出して、点に絡むプレーをもっと出せたら良いと思います」ときっぱり。悲願の全国制覇へ貴重な「まとめ役」濃野が、貪欲にチームを成長させてインターハイを迎える。
　
(取材・文　吉田太郎)

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