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女子W杯直前、高倉監督インタビュー!「若手はメンタリティが違う」

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高倉麻子監督

 女子ワールドカップが7日に開幕。なでしこジャパン(日本女子代表)の世界一への挑戦がいよいよ始まる。6日発売の月刊少年マガジン(講談社)に高倉麻子監督のインタビューが掲載されているが、残念ながら収めきれなかったお話をゲキサカで紹介する。

■若手選手が多いなでしこジャパン
―高倉監督の現役時代から比べると、選手たちの技術レベルは相当上がっている。
「私たちが代表選手だった時は、フィジカル的な要素を上回れるほど、戦術的な要素を持っていなかったですし、そこまで根付いていませんでした。でも何かが繋がったときというのは、例えばアメリカ相手でも勝てるということもありましたけど、ズドンとパワーで決められていました。結果、4点、5点取られて負ける試合ばかりでした。でも私自身はちゃんとやれば出来るのではと現役の時から思っていました」

―今の選手の強みは何だと思いますか?
「今の若い選手は世界一を狙うのが当たり前になっています。澤(穂希)選手が(女子W杯の)トロフィーを上げたとか、杉田妃和が(U-17女子W杯のトロフィーを)上げたり、昨年は南萌華が(U-20女子W杯のトロフィーを)上げたのを見てきたので、世界一を現実として捉えています。世界が対等というか、どちらかというと日本の方が優位に試合を進めた経験を持っています。だから苦手意識が薄いし、やれないと思っていません。ベテランの選手は力を持っているますが、若手選手の方が自信を持っています。メンタリティが違う。怖いもの知らずというか。今回のW杯でもそれがいい風に出ればいいなと思っています」

―世界のサッカーレベルが向上する中で、女子選手もどんどん海外を経験する必要が出てくると思いますか?
「今はヨーロッパのレベルアップが凄い勢いで進んでいます。バルセロナ、マンチェスターシティといったチームがみんな女子に力を入れてきています。海外クラブへの移籍は男子もそうですが、大事なのは選ぶチームとタイミングだと思います。例えば女子の場合はアメリカがプロリーグですけど、正直若い子にはあまり勧められません。ベテランはそれでコントロールできますが、シーズンが短くて練習があまり出来ません。それと縦に早いチームが多くて、ボールがこないから自分の良さを出せない可能性があります。ヨーロッパに行くにしてもスタイルの合ったところ、それととにかくトレーニングがしっかりと出来るところを選ぶことが大事だと思います。チャレンジはいいことですし、人間的にも成長できる、友達も増えるし、社会勉強にもなりますが、一番大事なのはサッカーのレベルアップだよという話はしてあげるようにしています」


■指導者像
―高倉監督も指導者として多くの経験を積まれてきました。
「あくまでも指導者は、わき役だと思っています。選手が成長するための背中を押してあげる人。言葉のタイミング、同じ言葉をみんなに言うこともありますし、そうじゃなくて人に合った言い方、スタイルも違うと思うので、常に考えながら選手には接するようにしています。その選手が世界一になりたいのであれば、それを助けてあげられる人になりたいです。選手が育てば、その選手が育ったわけであって、私が育てたわけではない。みんなには『自分で育っていけ』、『人の言うことばかり聞いていても絶対に上手くならないよ』という話はよくします。自分で選んで、指導者もいっぱいいるので、ああそうだなと思えば真似ればいいんです。ほかの種目からも学べると思うし、自分で視野を広げて、自分のスタイルを作っていくことが大事かなと思います」

―かける言葉、タイミングは非常に重要ですね。
「選手は指導者の言葉を聞いていますし、それによって左右されます。いつもダメだダメだと言われている選手が反発して伸びてくる場合もあって、それも指導者の力ではありますが、最後はその選手自身が持っているパーソナリティです。綺麗に育っていかないじゃないですか。本田圭佑選手も15歳でガンバ(のユース)に上がれなくて星稜高校に行って、その反発心でやってきた。中村俊輔選手もそう。逆にクラブではエースと呼ばれていても鳴かず飛ばずで終わった選手は星の数だけいる。メンタリティの強さがその選手のプレーを決めるのかなと思います」

―高倉監督をみていると、指導者を楽しんでいらっしゃるように見えます。
「本音を言えば、選手でいることが一番です。引退した時、指導者は絶対にやりたくない、絶対にやらないと言っていましたから。そもそも性格が指導者向きではないと思っていました。指導者になるきっかけは、女子のトレセンを手伝ってくれないかという話があったからです。それがいつの間にかこんな感じに(笑)。でも選手の真剣な顔をみれば、自分もやらないといけないと思いますし、勝たせてあげないといけない。だから別の意味で今は自分自身のサッカー感が深くなったと思っています」

―なでしこジャパンではいろいろなポジションを経験させることで、選手の可能性を引き出そうとされている。
「適正ポジションはありますが、FWだって守備をしますし、DFだって攻撃します。ということは、局面で何を見て、何を判断するかは一緒です。まるでおかしなところをやらせているつもりはありません。適性があってチャレンジしたら、いいものが出てきそうだなという話を選手たちにはします。選手は、本当はボランチがいいとかあると思いますけど、自分の幅を広げる、可能性を広げると思ってやってほしいです。若い選手は柔軟性も高いので、それをやる中で意外なことも見えてきます。ヨーロッパや南米のように、サッカーを始めた時からずっと同じポジションでやってスペシャリストを作るというやり方も分かりますが、私の考えはそれとはちょっと違うかもしれません」

―女子ワールドカップでは世界一奪還が期待されます。
「難しい挑戦ではありますが、優勝は目指さないかぎり手に入れることはできないので、優勝を目指したいです。令和という新しい時代に、新しい光、強い光を持ってこられるように全員で戦っていきたいと思います。応援をよろしくお願いします!」

(取材・構成 児玉幸洋)
●U-20ワールドカップ2019特集ページ

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