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「挑戦」し続けたU-16日本代表、逆境跳ね除けてルーマニアにPK戦で勝利

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後半33分、U-16日本代表は交代出場FW千葉寛汰が同点ゴール

[6.12 U-16インターナショナルドリームカップ第1節 U-16日本代表 1-1(PK4-2)U-16ルーマニア代表 ユアスタ]

 “03ジャパン”がルーマニア破る――。「U-16インターナショナルドリームカップ2019 JAPAN presented by 朝日新聞」が12日に宮城県仙台市のユアテックスタジアム仙台で開幕し、U-16日本代表がU-16ルーマニア代表と対戦。後半33分に交代出場FW千葉寛汰(清水ユース)のゴールで追いついた日本は、1-1で突入したPK戦を4-2で制した。2年ぶりの優勝を狙う日本は、14日の第2節でU-16ナイジェリア代表と戦う。

 山橋貴史監督が今回のU-16日本代表に求めているのは「挑戦」だ。「まだまだこれからの選手なので、ここで縮こまってプレーして欲しくない。(挑戦は)もっと上を目指して自分の良さを出すし、できないことにもチャレンジするというメッセージ。思い切ったプレーをして欲しい」と選手たちに「挑戦」することを求めている。この日はできたこと、できなかったことがそれぞれあったが、苦しい時間帯でも挑戦し続けたことが結果にも繋がった。

 日本は4-4-2システム。GKは高橋一平(神戸U-18)で4バックは右SB森田翔(FC東京U-18)、CB諏訪間幸成(横浜FMユース)、CB工藤孝太(浦和ユース)、左SB松木玖生(青森山田高)。中盤は山根陸(横浜FMユース)と豊田晃大(名古屋U-18)のダブルボランチで右MF中村仁郎(G大阪ユース)、左MF山崎太新(横浜FCユース)。2トップは原直生(湘南U-18)と河野孝汰(山口U-18)がコンビを組んだ。
 
 その日本は序盤からボールを支配。山根や豊田がサイドへボールを動かすと、切り返しで再三DFを剥がしていた中村や森田が右サイドを打開。シュートやクロスに持ち込んでいた。守備面では8分には相手MFクラウディウ・ネゴエスク(F.C.S.B.)のシュートをGK高橋がファインセーブ。また諏訪間と工藤が果敢に前に出て相手の起点を潰していた。

 ルーマニアは守備に重きを置いた戦い。球際ではそれほど激しく来ていなかったが、日本が攻撃のスイッチを入れようとした際にはパスを足に当てて通させない。日本は24分、豊田、河野と繋いでスルーパスで抜け出した中村が決定的な左足シュート。直後にもPA付近での奪い返しから原のラストパスで豊田が抜け出す。だが、いずれもシュートをGKロベルト・ポパ(ACSフラカラホレズ)に阻まれて先制することができない。

 ルーマニアはネゴエスクとMFロメオ・ニタ(F.C.S.B.)の両翼が抜群の速さ。力の加えどころを心得ていた印象のルーマニアは、日本の寄せが甘ければショートパスを繋いでクロスまで持ち込んでくる。迎えた40分、日本は左サイドからコンビネーションで崩そうとしたが、相手にクリアされると、これがニタの足下へ。一気にPAまでボールを運ばれた日本は、切り返しからのシュートを決められて先制された。

 日本は山橋監督が「もうちょっと横幅を使いながら相手を揺さぶって中央のコンビネーションとかも使えれば良かった」という展開。ゴールを意識しすぎるがあまり、中央からの攻撃が増え、それを奪われてしまっていた。

 日本は後半開始から山崎と原に代えてボランチに三木仁太(G大阪ユース)、FWに勝島新之助(京都U-18)を投入。豊田を左MFへ移した。投入直後の勝島が相手の背後を強襲したほか、コンビネーションから河野が決定的なシュートを放つなど反撃。だが、相手DFの伸びてくる足やフィジカルの強さに苦戦した日本は組み立ての段階でのパスミスも増え、思うような攻撃のできない時間が続いた。

 それでも日本は攻め続ける。18分には中村と河野に代えて右MF東廉(清水ユース)、千葉を同時投入。攻めた一方、相手にセットプレーやカウンターからチャンスも作られた。だが、松木が対人守備の強さを発揮するなどDF陣が食い止める。

 そして、これから世界と戦って行く上で逆境を跳ね返す力も求められている03ジャパンは、1点をもぎ取る。33分、日本は山根の縦パスを受けた千葉が勝島とのダイレクトのワンツーにチャレンジ。リターンを受けて抜け出した千葉が左足で決めて1-1とした。

 自分たちの強みでチャレンジして奪った同点ゴール。日本は直後に豊田とMF大迫蒼人(FC東京U-18)を交代させる。すると、大迫が終盤にチームを活性化。エンドラインでボールを奪い返して決定機に繋げたり、突破力を発揮した。だが、日本は35分以降5度の決定機を迎えながらもシュートの精度を欠いて勝ち越すことができず。1-1のままPK戦に突入した。

 それでも、PK戦でGK高橋が相手の2人目をストップ。一方、先攻の日本は森田、大迫、千葉、勝島と決めて相手にプレッシャーをかける。すると、ルーマニア4人目のシュートがクロスバーを叩き、日本が勝利を決めた。

 山橋監督は「諦めずに、最後まで焦れずに同点にしてくれたのは良かったなと思いますし、PKもみんなが集中して決めてくれて、(PK戦勝利による)勝ち点2を取ることができて良かった」と微笑。最後までチャレンジし続けた日本が逆境を跳ね返して白星を勝ち取った

 今回のU-16日本代表は03年生まれ以降の選手たちで構成。彼らは23年のU-20ワールドカップなどを目指す世代だ。だが、アピール次第では今秋のU-17ワールドカップメンバーなどに食い込むチャンスがある。山根は「17ワールドカップは全員が目指していると思いますし、そういった中に食い込んでいくためにはまず目の前のことを一つ一つ全力でやっていくしかないと思う。今大会結果を出すことで色々な状況が変わってくると思うので、まず目の前のことを全力でやっていきたいと思っています」と宣言。山根が「オンとオフの切り替えは凄く早い」という“03ジャパン”は「競争」「挑戦」で互いに刺激し合いながら結果を残し、チャンスを掴む。

(取材・文 吉田太郎)

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