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軽さは機能だ!ミズノ新スパイク『レビュラ3』開発者に聞いてみた

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ミズノの新スパイク『レビュラ3』について開発者に聞いてみた

 ミズノは、サッカースパイクREBULA(レビュラ)の最新モデル『REBULA 3(レビュラスリー)』シリーズを6月14日に全国のミズノ商品取扱店で発売する。2017年7月にデビューした『レビュラ』は、“決定的なプレーを生み出すためのシューズ”をコンセプトに、スピードとボールタッチの機能を追求したサッカースパイクだ。新スパイク『レビュラ3』についてスパイクマイスターKoheiが開発責任者の陳賢太(ちん・けんた)氏にインタビューを実施。開発秘話、機能性の特長、知られざる進化ポイントなど、新スパイクの魅力を存分に語ってもらった。

ミズノ『レビュラ3』開発責任者の陳賢太氏

――まず『レビュラ3』のコンセプトをご説明していただけますか?

「『レビュラ3』では初代レビュラから続いている“スピードとボールタッチを両方コントロールして、決定的なプレーを生み出すためのスパイク”というコンセプトは継承しながら、今回はよりスピードにフォーカスしてバージョンアップを図りました。それはなぜかというと、現代サッカーというのは本当に高速化しているからです。ダッシュのスピードのみならず、状況判断やプレー選択のスピード、パススピード、攻守の切り替えのスピードなど、あらゆる局面でスピードが求められるようになっています。その高速化している現代サッカーのトレンドに対して『レビュラ』がどういうことができるか、『レビュラ』を履いたらどういうプレーを引き出すことができるか、ということに焦点を当て、スピードをテーマに進化させることが『レビュラ3』のコンセプトになりました。


――『レビュラ』シリーズもついに3代目モデルとなりましたが、2017年7月にデビューした初代モデルから2代目モデル、3代目モデルまでの流れの中で、それぞれの進化の変遷や特長を教えていただけますか?

「初代モデルと2代目モデルはどちらかというと、ボールコントロールスパイクとしての顔がやや強かったかなと。改めてスピードを高めるために何が大事か?ということを考えたときにシンプルにスパイクが重かったらダメだと思いました。スピードに対してまずは軽量性が重要で、初代モデルと2代目モデルでは叶わなかった軽さという部分を『レビュラ3』では実現することにしたのです。軽さは一番わかりやすい価値で、プレーヤーにも伝わりやすいですし、持った瞬間や履いた瞬間に軽いと感じることも大事です。ミズノのサッカースパイクでは“軽量・柔軟・素足感覚”というモレリアのコンセプトが根付いていて、この精神というのはモレリアだけでなく他のスパイクにも通ずるものがあります。そこでミズノでは“軽量=機能”と捉えて『レビュラ3』の軽量化を図りました。しかしただ単に軽くするだけではダメなのです。耐久性度外視で軽くしただけのスパイクというのは軽いけれどもすぐに壊れますしより良いパフォーマンスには繋がりません。土でも人工芝でもハードに履ける耐久性やパフォーマンスをキープしつつ、さらにスピードやボールタッチを高める機能を搭載しながら軽くしないと良いスパイクにはなりません。それは正直なところ至難の業だったのですが、『レビュラ3』ではシリーズ史上、最軽量となる約215g(27.0cm片方)という軽さを実現することができたので、この軽さによって『レビュラ』がさらなる進化を果たしたと言えるでしょう」


「『レビュラ3』では軽さのみならず、プレーやパフォーマンスが向上するさまざまな機能も搭載しています。試合中にスピードが必要な場面は何か、と考えたときに攻守の切り替えや、裏への抜け出し、ルーズボールの取り合いなど長短のスピードだけでなく、あらゆる局面で360度行きたい方向へ最速のスピードで走れる、到達できることがベストです。そういった360度のスピードを高めるためにソールの屈曲性やねじれやすさを高める屈曲溝を配置し、硬い芯によってたわみにくいスタッドとローテーションリブの組み合わせが力強い蹴り出しを導いてくれる機能も搭載しています。軽さ×機能による相乗効果が得られるのが以前までのレビュラとは違う、『レビュラ3』ならではのストロングポイントです。」


――軽量化やアウトソールの進化のみならず、アッパーも大きく進化した印象を受けます。『レビュラ3』のアッパーの特長や機能性を教えてください。

「まず、アッパーの素材にはカンガルーレザーを採用しています。カンガルーレザーによる抜群のフィット感や足なじみを生み出しながら、シューズのタン部分にはレビュラシリーズの中では最薄設計のSTタングを採用して足とスパイクとの一体感も高めました。さらにカンガルーレザーの内側に3D CTフレームという低反発スポンジのフォーム材を内蔵してボールタッチをサポートする役割も備えています。CTフレームという機能自体は初代レビュラやレビュラ2でも搭載していましたが、レビュラ3では低反発スポンジのフレームと人工皮革のフレームをクロスさせてより立体的に仕上げた3D形状にアップデートさせました。これによって、アッパーがよりブレにくく安定性や保形性が高まり、なおかつ、ボールタッチしたときのボールクッション性も前作から約9%向上させることに成功しました。


 実は『レビュラ3』ではCTフレームのスポンジの素材から見直し、今までよりもさらに柔らかな低反発スポンジを採用したのです。従来の低反発スポンジは冬場など寒いコンディションのときにスポンジ自体がアッパーの内部でやや硬くなったりやや固まったりする傾向がありました。『レビュラ3』ではどのシーズンでも柔らかさやクッション性を維持するために従来よりもさらに柔らかな低反発スポンジを採用しボールクッション性を9%向上させ、人工皮革フレームをクロスさせた3D形状によってアッパーの保形性も高めてより型崩れしにくいアッパーへと進化させました。『レビュラ3』に採用している低反発スポンジは裸の状態だとくるくると自然に丸まってくるぐらい柔らかでソフトです。これがボールクッション性を高める源で、『レビュラ3』の3D CTフレームの知られざるポイントだと言えると思います。」


――『レビュラ3』開発中に最も苦労した部分やエピソードなどはありますか?

「やはり軽量化ですね。ミズノのスパイクはすべてのサーフェス(グラウンド)に対応しないといけません。なぜかというと、日本のサッカー場は土もあれば人工芝もあり、天然芝で試合をすることもあります。そういった日本特有のサッカー環境のなかではどんなグラウンドでも使用できるスパイクが求められます。他社は天然芝用のFGソール、土用のHGソールといった風にサーフェスごとにソールを分けて開発し、FGソールは軽量だけどもHGソールは重かったりするのが実情としてあります。FGソールならスタッドを細くしたりソールを薄くして樹脂の量を減らせば簡単に軽量化できるのですが、それは日本発のブランドであるミズノのモノ作りの精神やコンセプトには合いません。ミズノのスパイクはすべてのサーフェスに対応して、どんなグラウンドコンディションでも確かな耐久性や強度を発揮しながらより良いパフォーマンスを導いてあげられるクオリティーの高さを実現することを命題にしています。それでもなお軽くするというのは非常に難しいミッションでしたし正直かなり苦労しました。ですが『レビュラ3』では数々の試行錯誤やテストを重ねてシリーズ史上、最軽量となる約215g(27.0cm片方)を実現することができたので自信をもっておすすめできるスパイクに仕上がっています。」


――『レビュラ3』はかなり期待できるスパイクということですね。ミズノといえばモレリアシリーズも有名ですが、中高生など部活プレーヤーが『モレリアNEO2』と『レビュラ3 JAPAN』のどちらを購入すればいいのか迷うときがでてくる場合もあると思います。そういったときに開発者からの目線で選び分けのポイントはありますか?

「どちらもフィッティングというのは遜色ないくらい良いですし、どちらを履いても履き心地は気に入って頂けると思います。F・トーレス選手が『モレリアNEO2』から『レビュラ3』に着用スパイクを替えましたが、彼は履いた瞬間に快適かどうかを最も重視しています。そういったフィッティングや履き心地にこだわってスパイクを選んでいるF・トーレス選手が『レビュラ3』を選んだというのは一つの参考にはなると思います。あとはレビュラとモレリアでの大きな違いとしては『レビュラ3』では履いてプレーする上でフィット性や履き心地の良さはもちろんのこと、さらにプラスの機能が搭載されているというところです。『レビュラ3』では360度のスピードを高めるソールのクイックネス機能や柔らかなボールタッチをサポートする機能を盛り込んでいるのが特長としてあり、今ミズノが考えうる最新のテクノロジーを詰め込んだスパイクが『レビュラ3』です。その最新のテクノロジーや機能性を求めるプレーヤーにぜひ履いてほしいです。一方のモレリアシリーズは本当に“軽量・柔軟・素足感覚”を突き詰めたスパイクで、まるで素足のようにそのままフィットしてくれる抜群の履き心地がストロングポイントです。そういった違いを把握してから選び分けると、より良いスパイク選びに繋がると思います。」


――『レビュラ3』ではJAPAN(ジャパン)、ELITE(エリート)、PRO(プロ)、SELECT(セレクト)という4つのランクがラインナップされていますが、それぞれどういうプレーヤーにおすすめですか?

「まず『レビュラ3 JAPAN』はメイドインジャパンの高品質さにこだわった最高峰スパイクですので、例えば高校生や大学生だと、一生懸命サッカーを頑張っているプレーヤーの試合用スパイクとしてぜひ履いてほしいです。『レビュラ3』シリーズのポテンシャルの高さを存分に味わうことができるスパイクが『レビュラ3 JAPAN』です。とはいえ、定価25,000円+税という値段になっているので、普段の練習でガンガン履く用としては耐久性に優れた人工皮革アッパーを採用している『レビュラ3 PRO(定価14,000円+税)』を選んでもらうといいのかなと。一番下のランクの『レビュラ3 SELECT(定価8,700円+税)』は例えば中学生の層や、ジュニア用モデルも出していますので、これからサッカーを始める子たちや小学生プレーヤーにもおすすめです。ちなみに私の子供には『レビュラ3 SELECT』を履かせています(笑)。余談ですがレビュラシリーズの中でも一つのストーリーを作りたいと思っています。サッカーを始める小学生ぐらいはSELECTジュニアを履いて、そこから中学に上がったらSELECTの大人モデルを履いて、そこからレベルが上がってきたらPROを履いて、高校生になったら練習ではPROを履いて、試合ではELITEやJAPANを履く、という風にそういう繋がりやストーリーを思い描いて4つのランクをラインナップさせています。」


――陳さんが『レビュラ3』の4つのランクの中で個人的に好きなランクと、一番推すランクはどれになりますか?

「それは『レビュラ3 ELITE』です。もちろん『レビュラ3 JAPAN』がレビュラシリーズの中では唯一の日本製としてトップオブトップのクオリティーを有していますが、そのJAPANとまったく同じアウトソールを搭載して、アッパーにもカンガルーレザーを採用。さらにシリーズの中で一番軽量なのが『レビュラ3 ELITE』です(片方約210g)。一番おすすめなのはELITEですし、前作の『レビュラ2V1』が定価20,000円+税だったのに対し、『レビュラ3 ELITE』は定価17,000円+税になってコストパフォーマンスの面でも非常に優れているスパイクです。」


――それでは最後に、部活生に向けてメッセージをお願いします。

「ミズノはJAPAN SPIRITの精神のもとに、みなさんの活躍や夢をサポートしたいと思って全身全霊でモノ作りに励んでいます。ぜひミズノのスパイクを履いて一生懸命練習してサッカーを楽しんでほしいですし、これからもみなさんのサッカー人生に少しでも寄り添うことができるよう日々努力していきます。今後もミズノフットボールにご期待ください。」

★ミズノ『レビュラ3』の詳細はこちら

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