beacon

[MOM2902]韮崎MF佐野太亮(3年)_成長した「7」、背中で名門を牽引

このエントリーをはてなブックマークに追加

韮崎高MF佐野太亮は存在感あるプレーで優勝に貢献

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.16 インターハイ山梨県予選決勝 韮崎高 0-0(PK5-4)日本航空高 中銀スタジアム]

 キャプテンが離脱する中、自覚を増したボランチが背中で名門校を牽引した。韮崎高のキャプテンマークを巻くMF佐野太亮(3年)は本来副キャプテンだが、キャプテンのCB雨宮修真(3年)が負傷、コンディション不良で先発を外れる中、ゲームキャプテンを務めてきた。決勝では雨宮が先発復帰したが、佐野がキャプテンマークを巻いてプレー。ベストコンディションではなかったようだが、それでも延長戦を含めた100分間、チームで戦う韮崎の中心であり続けた。

 本人は特別「俺が勝たせなきゃいけない」という気持ちを持っていた訳ではない。「チームでやろうとしていたので、周りに支えられた部分が多かった」と本音を口にする。ただし、「自分がやらないとチームが動かないかなと思います」という責任感は常に持ち続けていた。そして、ピッチで戦う姿勢を表現。優勝した関東大会予選や、準優勝した関東大会で自信をつけたMFは、その技術力でタメを作り、決定的な仕事をしていた。

 キックに自信を持つ佐野は強烈な右足ミドルで相手ゴールを1度、2度と脅かし、延長後半4分には枠を捉える右足FKを放った。「あれはナイスGKでした」と苦笑したように、わずかに狙いとズレて内側に飛んだボールは、日本航空高GK高橋剣(3年)に弾かれてしまう。それでも、後半開始直後に鮮やかなドリブル突破からポスト直撃のシュートを放つなど、誰よりも危険な存在に。厳しいマークを受ける中でも冷静な判断と技術を発揮し、目立つプレーを続けていた。

 そのMFについて今村優貴監督は「自分のメンタルコントロールができるようになって、大人になった。チームのためにやっている」と評価。ダブルボランチとしてコンビを組む後輩MF真壁龍輝(2年)も「チームの中心的存在ですし、中心として声をかけてくれたり攻撃で結果を出してくれたり一緒にやっていてやりやすい」と絶賛していた。

 佐野はまだまだ自分のプレーに満足していない。この日もまず口にしたのはチームメートや同級生たちへの感謝。「本当に日本航空も粘り強い守備で自分たちのサッカーがなかなかできなかったんですけれども、スタンドにいる人たちも声を切らさずに頑張ってくれたので、そういう力もあって運も自分たちの方に味方してくれたのかなと思います」と語っていた。

 対戦チームの指導者たちが賞賛するなど、周囲の評価は着実に上がっている。韮崎の「7」は、OBの元日本代表MF中田英寿氏も背負った番号だけにこれから注目度も高まりそう。本人も自分に期待して力を磨いていく。「ドリブルとキックは本当に自信があるので、全国で自分の名前もそうですし、韮崎の名前も轟かせたいと思います」。もっと勝利に貢献できる。より成長して全国へ。人間的にも成長した佐野が自分のやるべきことをより高いレベルでやり通し、全国でも勝ち上がる。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2019

TOP