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日本代表DFのアドバイスが転機に。福岡U-18が左SB田村の全3得点に絡む活躍で福岡ダービー快勝

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後半30分、左SBF田村奎人のゴールを喜ぶアビスパ福岡U-18

[6.29 高円宮プレミアリーグWEST第8節 福岡U-18 3-0 福岡U-18 福岡フットボールセンター]

 高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2019WESTは29日に第8節を行い、アビスパ福岡U-18(福岡)と東福岡高(福岡)の福岡ダービーは、3-0で福岡U-18が勝利した。

 今季初ゴールとなる先制点を皮切りに、3点すべてに絡む働きを披露。「得点ランキングの上位に顔を出したい」と口にする左SBF田村奎人(3年)が絶対に負けられない福岡ダービーでヒーローとなった。

 田村の本職は攻撃的なMFだが、DF加嶋英斗(3年)の負傷に伴い、第3節のガンバ大阪ユース戦からは左SBとしてプレーしている。井上孝浩監督が「対人の強さと左利きという強みを活かして、攻撃的なサイドバックというイメージで起用している」と話すようにコンバートの狙いは守備よりも攻撃面。G大阪では7失点を許し悔しい想いもしたが、適性はあったようで「思ったよりも裏に抜けられるし、やりやすい」と話す。

「福岡ダービーは皆の気持ちや意識が違う。絶対に負けられない」と挑んだこの日の東福岡戦でも、田村は新たな持ち場で躍動する。目を惹いたのは、試合中に微調整を加えながら繰り出す精度の高い左足で、最初の見せ場は18分に訪れた。

 FW石井稜真(2年)が倒され、PAの右外でFKを獲得すると、田村がキッカーを担当。「DFとGKが触れないようなボールをゴールに向かって蹴った」という低い弾道のボールが直接ゴールネットに吸い込まれた。この先制点でリズムに乗った田村は、前向きでのインターセプトからそのまま攻め上がるシーンを何度も披露。攻撃参加からキックを繰り出す自慢の左足に加えて、もう一つの武器であるロングスローでも攻撃を支えた。

 1点リードで迎えた後半は反撃に出た東福岡に押し込まれる場面が続いた。田村も途中出場のMF岩井琢朗(2年)に手を焼いたが、中央へのカバーリングでMF荒木遼太郎(3年)の決定機を封じるなど守備でもチームに貢献した。

 すると、後半30分にはカウンターからの連続シュートで右CKを獲得。「ちょうど風が吹いていたので、狙えるなと思った」と振り返る田村は、ゴール前のブラインド役として複数のチームメイトを立たせるとCKを直接叩き込んだ。40分に訪れた左CKのチャンスでも、「力まず前の壁に当たらないくらいのちょうど良いボールが蹴れた」と話す通り、ゴール前に絶妙なクロスを入れて、石井のヘディング弾をおぜん立て。昨季は2連敗したライバルを3-0で破る立役者となった

 高精度の左足を持ちながら、これまでは力を存分に発揮していたとは言い難い。これまでも得点チャンスありながら、得点を生み出せずにいた田村の転機となったのは、アカデミー出身で日本代表のDF冨安健洋(シントトロイデン)から受けたアドバイスだった。5月に冨安がクラブを訪れた際に、自分なりのルーティンを作る重要性を教えてもらい、起床時間と就寝時間を定め、食事にも気を遣うようになった。以前までは、緊張して試合にうまく入れないことも多かったが、ルーティンを守るようになってからは、調子は上がっている。「持ち味はキックしかないので、点に絡めたのは嬉しい。でも、まだプレミアリーグはあるので満足しちゃいけない。もっと上を目指していきたい」と口にする通り、ここからはより攻撃でチームに貢献していくつもりだ。

(取材・文 森田将義)
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