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[MOM622]大阪経済大FW川崎一輝(4年)_昇格組のチャンスメーカー、人生初の全国へ

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大阪経済大FW川崎一輝(4年)

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.30 第48回関西学生サッカー選手権大会・3位決定戦 大阪体育大0-1大阪経済大 万博記念競技場]

 激しく雨が降りしきる中の一戦。序盤から迫力をもって攻撃を仕掛ける大阪体育大に対し、なかなかペースをつかめなかった大阪経済大だが、セットプレーからDF谷山洵貴(4年=金光大阪高)が先制。その後の決定機で追加点を奪うことはできなかったが、大体大の分厚い攻撃をしのぎ切り、関西選手権を勝利で締めくくった。

 この日は、当初相手の背後を狙うボールを多用していたが、なかなか主導権を握ることができなかった。そこで、「FWにボールが当たった時に両サイドがFWとの距離を狭めて、セカンドボールを拾えるようにしようと途中から変えたのが、上手くいった」と大経大FW川崎一輝(4年=東海大仰星高)が語ったように、チーム全体で柔軟に試合に対応したことが、結果へとつながった。

 大経大は昨年は2部Aリーグで優勝し、今季は1部リーグに復帰。粘り強く戦い、勝ち点を重ねてはいるものの前期を終わっての順位は10位。試合の出来に波があり、連勝することができなかった。しかし、関西選手権では立命館大や関西学院大、大体大といった能力が高い選手を揃えるチームを倒し、3位という好結果を残した。中田雄一朗監督は「リーグで結果が出せていないときは、選手間で批判が出てきてしまっていた。でも、そうじゃない。負けたのは選手が悪いではなく、僕らの采配のせい。だから、人を批判するよりもまずは自分が出るために努力しよう」と選手に伝え、各々が自らの役割を果たせるようになってチーム力が上がったと選手の成長を口にする。

 2トップの川崎とFW植村宥紀(3年=大阪産大附高)も相手をひきつけるプレーを惜しまない。二人の動きに敵が引っ張られて空いたスペースに、ボランチやサイドの選手が入ってきてシュートを狙うのが、大経大の得点パターンのひとつだからだ。「FWとして点を取りたい気持ちはあるけれど、そこは冷静にチームのためにプレーする」と話す川崎について、「下級生のころは、理解不足もあって好き勝手にやってた」と中田監督は振り返る。個人の能力が高く、大経大では止められる選手がいない分、わがままに走るところもあったが、上級生になり『チームのために』という意識が表に出てくるようになった。

 昇格したが、チームを残留させられなかった2年前の経験も大きい。「僕らの学年は2回生のときに1部で出場させてもらったメンバーが何人かいる。厳しさを知っているから、今年はその経験を活かしてみんなを引っ張ろうというのがある」と川崎も4回生としての自覚をのぞかせる。

 関西第3代表として臨む総理大臣杯に向けては「うちはフィジカルや球際のコンタクトが弱く、そこから数的優位を作られることが多い。1対1の強さがまだ足りない」と川崎は課題もあげるが、サッカー人生で初となる全国大会で、暴れる気は十分だ。「1対1では誰にも絶対に負けない」という強い気持ちを原動力に、前線からのプレスでチームに貢献し、がむしゃらに得点を狙っていく。

(取材・文 蟹江恭代)
●第97回関西学生リーグ特集

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