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U-18代表候補が34名での“サバイバル合宿”。「目の前の選手に勝つ」こと目指した巴戦で染野や武田がゴール

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U-18日本代表候補合宿、サイドで強烈な突破力を見せていたMF高田颯也(大宮U18)は3本目17分にもドリブル突破からアシスト

 代表生き残りを懸けた熱き戦いが繰り広げられている――。21年U-20ワールドカップを目指すU-18日本代表候補が福島合宿3日目の9日午後、参加34人を3チームに分けて巴戦形式で30分×3本のゲームを行った。合宿最終日の10日にはいわきFCと練習試合を行う。

 U-18日本代表は、今年11月に21年U-20ワールドカップのアジア1次予選に当たるAFC U-19選手権2020予選に出場。世界への戦いをスタートさせる。そのメンバーを争う今回の候補合宿では、各ポジションでタイプの異なる選手を3チーム分招集。コーチ陣からははっきりと「競争」というテーマを与えられている。

 代表常連のMF柴田壮介(湘南)が「(34人での代表合宿は)初めてでサバイバル感強いなという感じです。練習からバチバチで。練習から『目の前の選手に勝つ』という気持ちで行かないと残っていかないと思います」と語っていたように、大人数での“選考合宿”は気持ちで引くと生き残れない戦い。その中で、世代を代表する選手たちが、『ライバルを上回る』という明確な目標を持って熱い攻防戦を繰り広げた。

 1本目は終盤にAチーム(ビブス無し)のMF高田颯也(大宮U18)が鋭い突破からスルーパス。この日前線でボールを止める技術の高さを発揮していたFW染野唯月(尚志高、鹿島内定)が抜け出し、GKとの1対1を制して先制する。直後にBチーム(ビブス有り)はMF鵜木郁哉(柏U-18)からのパスを受けたFW細谷真大(柏U-18)が右足で右隅に流し込んで同点。激しいバトルが続く中でCB林田魁斗(C大阪U-18)の好守やMF中村龍雅(相模原U-18)のスルーパスからFW栗原イブラヒムジュニア(三菱養和SCユース)が決定的なシュートを打ち込むシーンもあった。

 2本目はこれが1本目のゲームとなったCチーム(ビブス無し)が、連戦となったBチーム(ビブス有り)を押し込む展開に。MF柴田壮介(湘南)やMF松本凪生(C大阪U-18)がその運動量によって中盤を活性化し、快足MF小田裕太郎(神戸U-18)の切れのあるドリブルやFW櫻川ソロモン(千葉U-18)のコンタクトの強さを活かしてゴールへ迫る。そして18分、柴田の右CKをFW藤尾翔太(C大阪U-18)がニアで合わせて1-0。Bチームも決定機を作り出していたが、相手の反撃をGK相澤ピーター・コアミ(千葉)の好セーブなどで凌いだCチームが1-0で勝った。

 3本目はCチーム(ビブス有り)とAチーム(ビブス無し)との戦い。Aチームは抜群の突破力を見せる高田のラストパスからFW晴山岬(帝京長岡高)や染野が抜け出してチャンスを作る。連戦となったCチームはCB木村誠二(FC東京U-18)らの身体を張った守りやGK小畑裕馬(仙台ユース)のファインセーブで凌ぎ、逆にチャンスを作っていたも。だが、相手GK相澤のビッグセーブに阻まれるなど得点することができず。そして17分、Aチームはこの日ドリブルが止まらなかった高田が、左サイドから斜めにエンドライン際まで切れ込んでクロス。これを逆サイドから走り込んだMF武田英寿(青森山田高、浦和内定)が左足ダイレクトで合わせてAチームが勝利した。

 試合後、U-18日本代表の冨樫剛一コーチは「思っている以上にみんなが勝つために何かをしていた。それはゴールを取りに行く、ゴールを守るというところだし、1対1のところで逃げないで競りに行く、奪いに行く、抜きに行くというところがあるから、オーバーラップで上手く2対1を使えたりとか、凄く何個も何個も出ていました。何もチームを作っていない中で良くやってくれた」とコメント。そして彼らが「対面の選手に勝ちたい」と本能むき出しにして戦い、競争する姿を喜び、感謝していた。

 世代トップ選手同士の戦いでできた選手、できなかった選手様々。それぞれがこの経験をチームに戻ってからどう繋げるかが大事になってくる。今回の合宿はいわきFCとの練習試合を残すのみ。それぞれ45分ずつのプレーとなる中、「大人相手にどのくらいできるか」(冨樫コーチ)をチェックされることになる。

 今回の合宿に参加できなかった選手も合わせた選考から、8月のSBSカップ(静岡)メンバーが決まる模様。生き残りを懸けた45分間で彼らがどのような力を見せるのか、注目だ。

(取材・文 吉田太郎)

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