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31歳差カズも賞賛…“内定先”苦しめた仙台大FW松尾佑介「本当に勝ちたかった」

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横浜FC加入が内定している仙台大FW松尾佑介(4年=浦和ユース)

[7.10 天皇杯2回戦 横浜FC2-1仙台大 ニッパツ]

 4日前に身を包んだばかりのユニフォームが、今度は敵となって立ちはだかる。仙台大の攻撃を牽引したFW松尾佑介(4年=浦和ユース)は「モチベーション高くて楽しみにしていた。やりづらい部分もありながら、あっちもやりづらさは少し感じていたと思う。本当に勝ちたかった」と落ち着いた様子で振り返った。

 松尾の天皇杯2回戦は思わぬ因縁の舞台となった。対戦相手の横浜FCはいわば“内定先”。それも来季から所属することが決まっているというだけでなく、すでにトレーニングにも帯同し、特別指定選手としてJ2リーグ戦への出場も経験させてもらっているクラブだ。

 7月6日、松尾は横浜FCのユニフォームに身を包み、J2第21節・東京V戦が行われた味の素スタジアムに立っていた。そこでは初先発という立場ながら勝利につながるアシストを記録し、すでにチームの戦力であることをアピール。それが4日後、今度は対戦相手の大学生として、将来のホーム三ツ沢にやってくることになったのだ。

 クラブレジェンドのFW三浦知良は苦笑い混じりで明かす。「クラブハウスではロッカールームが僕のちょうど横だったので、話していたら『やりにくい』って言っていましたね。『やりにくいよー』って(笑)」。そんな52歳は試合前の整列時、“31歳年下”の若者を気遣って肩を叩く仕草を見せていた。


 ところが試合がいざ始まれば、背番号10の輝きは一目瞭然だった。

 [5-2-3]とも呼べるフォーメーションの左ウイングに入った松尾は序盤から前線でボールを引き出し、仙台大の攻撃起点として君臨。前半13分のFW嵯峨理久(3年=青森山田高)への斜めのパス、同19分の右サイド攻撃につながったポストプレー、同31分のロングドリブル、同34分のFW樋口颯太(2年=浦和ユース)へのスルーパスとあらゆる決定機を演出した。

 この奮闘ぶりには同じピッチに立ったカズからも賞賛の言葉。「あらためて素晴らしい選手だと思います。これから経験を積んでいけばもっともっと良くなる選手だと思いますし、楽しみにしています」。松尾をスカウトした下平隆宏監督も「ひと際輝いていて、少し相手としてはいやらしいというか、相手にしづらかった」と名指しで称えた。

 もっとも、そうした期待あふれる言葉とは裏腹に松尾自身は冷静だった。「こっちのほうがチャンスが多かったのに仕留められなかった」からだ。前半の決定機はすべて得点には至らず、後半の先制点直後に放った決定的シュートは同い年のGK辻周吾正面。そうしたチームに報いがあるのはサッカー界の常識。チームはその後、逆転を喫した。


「最後はプロの意地を感じた」。

 そのように試合を総括した松尾は「カウンターで持っていくところはできたが、ネットを揺らすところだけが足りなかった」と敗因を指摘。「前半は思い通りに戦って、流れもうちにあったが、そこで少なくとも1点を取りたかった」と因縁試合の惜敗を素直に悔やむしかなかった。

 試合後、仙台大の吉井秀邦監督は横浜FCでの経験に触れて「ほかの選手と落ち着きが全然違ったし、別格になった。そういう意味では成長させていただいた」と感謝。松尾自身も「守備のところ、運動量や強度のところをすごく意識してやらせてもらっている。この1〜2週間でもかなり成長した」と手ごたえを口にする。

 しかし、この試合を経てさらに突きつけられたのは「入るか入らないかで、チームが勝つか勝たないかが決まる」という現実だ。「トップの選手は決め切るか、決め切れないかでキャリアが決まる」。そんな教訓を述べた21歳は「フィニッシュのところは決め切れていないので、落ち着きとか、決めてこその成功体験を増やしていければ」と先を見据えた。

 ちなみにこの日、同じ時間帯に行われた試合では法政大が東京ヴェルディを2-0で撃破。そこで先制点を“決め切った”FW松澤彰は浦和ユースの同期だった。「立正大の中塩(大貴=甲府内定)がプロに決まったし、一緒にやっていた奴らが他のところでも頑張っているのは刺激を受けるし、自分ももっと頑張らないといけないと思う」。正式なプロ入りまで残り半年余り。横浜FC期待の大学生は友の活躍からも刺激を受け、さらなる成長を遂げていく。


(取材・文 竹内達也)
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