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“遠藤世代”以来の頂点へ…「優勝を目指す」横浜FMユース、愛媛U-18破って白星スタート

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2点目を決めた横浜F・マリノスユースFW松田詠太郎(3年、背番号11)

[7.21 日本クラブユース選手権U-18大会H組第1節 横浜FMユース3-1愛媛U-18 宮城総合]

 日本クラブユース選手権(U-18)大会が21日、群馬県内で開幕した。宮城総合運動場の第1試合では、関東王者の横浜F・マリノスユース(関東1)が愛媛FC U-18(四国)に3-1で勝利。自慢の両サイドアタッカーがそれぞれ得点を挙げる活躍を見せ、4年ぶりの全国制覇に向けて好スタートを切った。

 開催地・群馬は国内有数の酷暑地帯。キックオフは昨年より早い午前8時45分に設定され、グループリーグの試合時間も35分ハーフに短縮されたが、初日のコンディションは想定を裏切るものだった。降り続く小雨によって霧が発生し、反対サイドの視界は不十分。気温は25度にとどまったが、ピッチ状態も万全ではなかった。

 しかし、激戦の関東予選を制した横浜FMユースが盤石の強さを見せた。まずは前半8分、DF日隈雄作(3年)のクロスに反応したFWブラウンノア賢信(3年)のボレーは枠外。それでも同15分、PA右に走り込んだMF吉尾虹樹が中に折り返すと、相手クリアを拾ったMF井出真太郎(3年)がトラップから右足を振り抜き、先制ゴールを奪った。

「いきなり跳ね返ってきたので何をしようかと思ったけど、練習でも監督に『シュートをもうちょっと打て』と言われていたので、打って良かった」(井出)。そんな左ウインガーの一撃に感化されるように右サイドのFW松田詠太郎(3年)も活性化。マッチアップしたU-18日本代表DF三原秀真(3年)との対人戦は見所の連続だった。

 ところがその後は愛媛が主導権を握る時間帯も続いた。前半18分、MF奥田裕介(2年)が足を痛めてMF塩崎彰(3年)との交代を強いられたが、10番を背負う塩崎が中盤で存在感を発揮。同25分にはMF岡田蒼生(3年)のクロスにFW上岡陸(3年)が反応し、同28分にも上岡が華麗な裏抜けを見せ、決定機を立て続けに迎えた。

 それでもGK寺門陸(2年)のビッグセーブにも助けられた横浜FMは同点ゴールを奪わせず、前半を1点リードのまま終えた。筒井紀章監督は「自分たちの流れの時もあったが、クラブユースはレベルが高いし、必ずしもそのペースでは進まない。ああいう時間帯も守備から入ることでゼロで抑えられた」と述べ、選手たちの我慢を称えた。

 すると後半3分、大きな追加点が入った。中盤やや左寄りでボールを受けた吉尾が振り向きざまに縦パスを入れると、快足を飛ばした松田が反応。「得点に絡むことが一番大事」。そう意気込んでいた背番号11は再三ビッグセーブを見せていたGK草野真人(3年)との1対1を制し、落ち着いてゴールネットに流し込んだ。

 なおも勢いを増した横浜FMは後半7分、右サイドを切り裂いた松田の横パスにMF石井宏育(3年)が合わせたが、シュートは草野がビッグセーブ。その後もMF植田啓太(2年)、DF和田昂士(3年)の決定機が草野に阻まれる不運は続くも、同19分に井出のCKから植田がヘッドで叩き込み、試合を決定づける3点目が入った。

 対する愛媛は後半21分、相手のパスミスにつけ込んだFW柳下将野(3年)がPA右からシュートを狙ったが、ボールは惜しくも左外。同28分、上岡に代わってFW小嶋啓太(1年)を投入すると、同アディショナルタイムに小嶋のポストプレーから塩崎がつなぎ、柳下が一矢報いる追撃ゴールを記録したが、反撃はここまでとなった。

 試合後、筒井監督は「一番大事な試合だと思いますし、しっかり勝ちにつなげられたことが良かった」と述べ、「日頃は45分間でやっている中、35分ハーフの短時間で3点を取れた。前半は多少相手のペースもあったが、しっかりそういうところをしのいで、自分たちのペースで点を取れたのは評価できる」と前向きに振り返った。

 4年前にはトップチームで活躍中のFW遠藤渓太らを擁して全国制覇を果たした横浜FMだが、ここ3年間は17年度のベスト8が最高で、昨季はグループリーグ敗退。「一つの目標を可視化すると分かりやすいし、優勝を目指すというのは子供たちも意識している」(筒井監督)。昨季の悔しさを乗り越えた名門が7度目の頂点に向け、好発進を果たした。

(取材・文 竹内達也)
●第43回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会

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