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不調名古屋で風間監督も喜ぶ若手の台頭…ルーキーDF藤井陽也「楽しかった」超満員豊スタで堂々デビュー

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デビュー戦をフル出場で飾ったDF藤井陽也

[7.20 J1第20節 名古屋2-2G大阪 豊田ス]

 連敗は止まったものの、未勝利は9戦に伸びた名古屋グランパスにあって、唯一ともいうべき明るい話題だ。DF藤井陽也がプロ初出場をフル出場で飾った。

 主将DF丸山祐市、MF米本拓司といったキーマンが故障離脱。負の連鎖を断ち切りたい名古屋の風間八宏監督は、18歳ルーキーに希望を託した。「若い選手にどんどん出てきてほしいという願いを込めた」。 練習や練習試合のパフォーマンスが評価されての抜擢。そして見せた堂々としたプレーぶりに、「積極性もあったし、大観衆の中でよくやっていた」と目を細めていた。

 スクール時代から名古屋の下部組織で過ごし、U-18に在籍した昨季は2種登録されて、ルヴァン杯でトップチームデビュー。一時は大学進学も考えたが、トップチーム昇格を決めた。しかしルーキーイヤーの今季はリーグ戦の出場はおろか、ルヴァン杯でも出番なし。完全にプロの壁にぶつかっていた。

 ただその間も気持ちを切らすことだけはしなかった。「ひたすらに練習した」と振り返る通り、個人戦術を高めることに明け暮れたという。そしてついに巡ってきたチャンス。風間監督も「トレーニング、トレーニングマッチのパフォーマンスが良かった」と話したように、自らの力でスタメンの座をもぎ取った。

 相手には世代別代表でともに世界と戦い、この試合を最後にオランダに旅立つMF中村敬斗がいた。試合前や試合後にも言葉を交わし合ったという。「久しぶりだね」「オランダで頑張ってね」「お互い頑張ろう」。そして試合では「負けたくなかった。意識は十分にしていた」という通り、何度もマッチアップ。前半13分の1対1の場面では、藤井がファウルを誘発した。

 守備では右WBのMF宮原和也とバランスを取りながらプレーした。前半40分には藤井が中村にかわされたが、宮原がカバーに入る場面があった。宮原は「裏のボールはある程度任せていた」という。ただ「デビュー戦でしかも満員のスタジアム。ああいうプレーが出来たのは凄いなと思います。自分の時は出来なかったので」と後輩DFの台頭を素直に喜んだ。

「正直、先発するとは思っていなかった。思い切ってやるしかないと思いました。素直にプレーしていて楽しかったです。やろうとしていた守備は出来たので、あとはもっと攻撃的にという部分で課題にしていきたいです」

 試合後のミックスゾーンでは、多くの報道陣に囲まれた。話の途中で、「質問なんでしたっけ?」と聞き返してはにかむ場面があるなど、まだまだ初々しさを残す。しかしピッチで見せた姿は年齢を感じさせない堂々としたものだった。「半年間やってきたことを出せたのかな」。プロ入り半年で感じたという「苦しみ」を必要だった――。確信を得るためにも、今後は継続的な活躍が必要になってくる。

(取材・文 児玉幸洋)
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