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[MOM2920]G大阪ユースFW大谷優斗(3年)_「一応詰めてみたら…」の決勝弾、手繰り寄せた献身性

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ガンバ大阪ユースFW大谷優斗(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.24 日本クラブユース選手権U-18大会D組第3節 G大阪ユース 2-0 鹿島ユース 前橋フB]

 味方のパスワークを助けるハードワークが報われたか、ヒーローになるためのボールは目の前にこぼれてきた。

 ガンバ大阪ユースFW大谷優斗(3年)は0-0で迎えた後半16分、FW唐山翔自(2年)のシュートがポストに跳ね返ったのを見逃さず、先制ゴールを押し込んだ。「翔自が決めると思ったけど、一応詰めてみたらたまたま足元に来た」。そう照れ笑いを浮かべつつも、「FWなので『毎試合1点』と決めているので嬉しい」と振り返った。

 引き分け以下でグループリーグ敗退が決まるという状況で、相手は堅守の鹿島アントラーズユース。「去年からセットプレーが強く、声を出してくるチーム」(大谷)。そうしたリスペクトもあり、守りを固めてくる相手の戦い方も想定していたものの、だからこそチームは「勢いにのまれずにやろう」という前向きな姿勢で臨んでいた。

 試合は想定どおり、相手が守備を固めてくる展開。そうした戦況を助けたのが大谷の献身性だった。意識していたのは「相手を疲れさせるために裏に抜けること」。絶え間なくスプリントを繰り返したことで、リスクを避けたい鹿島守備陣は自陣に下がるしかない。その蓄積疲労が守備の乱れを誘発し、自身の先制ゴールにつながった。

「自分たちのパスサッカーで、後半は相手も声が出なくなって、チャンスがなくなっていったので良かった」(大谷)。そうした一戦を振り返って「狙いどおり」としてやったりの表情。2トップを組んだ唐山とのコンビネーションを「翔自が足元で受けて、自分がギャップで受けたりすれば相手は怖がる」と誇った。

 世間の注目はU-17日本代表のエース候補と目される唐山に集まるが「単純に悔しいけど、負けず嫌いなので負けていないと思っている」。またG大阪U-23の一員としてJ3リーグに2種登録されていないことも「悔しかったけど、J3組がいなかったら負けないように練習からモチベーションを上げて取り組んできた」と力に変えてきた。

 そんな大谷が憧れるのはトップチームから欧州移籍が決まったFWファン・ウィジョ。「スタジアムで見ていると、ボールが来なくても裏に抜けることを繰り返していてすごい。そしてボールが来たらしっかり決める」と自らのスタイルに照らし合わせて学ぼうとしている。そうした努力が実って奪ったこの日の決勝トーナメント進出弾。決勝トーナメントでも「1試合1点」の目標を胸に、ゴールを奪い続けるつもりだ。

(取材・文 竹内達也)
●第43回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会

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